最適調理と料理

最適調理とはその食材の美味しさを見極め、それが一番引き出される形に調理する事、と定義づけて逆算的に調理を施してきた。最近は実験や研究を重ねた結果、科学的な意味を知ることが出来るようになり、既存の調理方法とは必ずしも同じではない調理の最適化が自分の中で飛躍的に進んだ。調理の最適化とは物理的・科学的なもので、ゆえに、世界共通語である。食の国籍やジャンル、地方性などとは次元が違う。つまり、調理は最適化していく必然があり、その理由付けは極めて合理的かつ科学的・物理的なので、ある意味がんじがらめである。ゆえに料理人の個性が入り込む余地はないと言える。
現在は、その一つ一つをひも解いて解明している段階であり、新しい発見といえども、自然の理を改めて知ったにすぎない。
それに対して、僕の考える料理とは最適調理済の食材(最適調理にはただ切り方をくふうすることや、温度を最適化することなども含まれる)を単体もしくはいくつか組み合わせ、味付け、香りづけなどをし、一皿に仕上げることを呼ぶ。
料理を作るという行為には、食材同士の組み合わせや味付け、香りづけに料理人の記憶や嗜好性、経験、国籍、地域性と云った様々な要素、そして個性が強く発揮されるべきである。
例えば香り一つをとっても、どのような香りを抽出するのか、全体にまとわせるのか、時間差で香りが出てくるような工夫をするのか、香り同士の組み合わせをどうするのかなど考えられる手法は無数にある。
どの要素に注目し、どう表現するかの自由度、デザイン性は無限にある。
だから、料理をすると言うことは非常にクリエイティブな行為である。同時にとてもパーソナルなものとも言える。何故なら、無限にある様々な選択の理由は突き詰めれば料理人自身の好き嫌いに起因していたりするからだ。
[掲載日:2017年4月28日]
山根 大助氏の今注目する料理人
彼(須賀 洋介氏/SUGALABO Inc. 代表、シェフ) とはRED U-35の仕事で出会った。
フランス料理に対する知識、調理、トレンドに対して非常に造詣が深く、興味を抱いた。
仕事柄、色々な店で食事をする機会は多いが、正直なところ「コレは・・・!」と感じさせられる店や人物にはなかなか出会えていない。
「ふーーん!!」と感心したり、「やられたっ!」と残念がったりしたいという私の期待に応えてくれる才能やセンスが、彼の言葉の端々に見え隠れする。
彼の店にはまだ足を運べていないのだが、是非とも行きたいと思っている。