これからの外食

これからの外食はどうなって行くのか。
少し長い目で見ると、飽食の時代から、食べることも必死な状況になると考えている。
厚生労働省から発表された将来推計人口によれば、現1億2000万の人口が、50年後には8800万人にまで減少する。その時には、60歳以上が45%、就労前が30%、労働人口が25%。想定自給率は19%。
日本国の経済発展は、危ぶまれるだろう。今のように外食を楽しむライフスタイルには変化が訪れているかもしれない。
別の視点でみると、今、和食は世界的にブームである。世界の日本料理店は、2013年に5万5千軒、2016年11万4000軒。この3年で倍以上に増えている。しかも、そのうちの99.8%が、日本人が働いていない店だ。日本を知る人も、来たことがない人も、和食の価値、魅力を見出し、口にする時代だ。
このように我々がいる外食という産業をとりまく基盤が、今までにない速さで変化している。
我々のお客様も日本の方々はもちろんだが、海外からのお客様もますます増えて行くだろう。多種多様なお客様が何を求めてレストランに来られるのか。それを敏感に感じ取り、満足していただける食事、サービス、空間を提供して行くことは必須である。
おいしいものを作っていたら、お客様は来てくれる、という時代ではなくなっている。変えていかねばならないこと、変えてはいけないこと。不易流行を念頭に、日本の食のさらなる発展にむけて働いていきたい。
[掲載日:2017年12月4日]
吉岡 勝美氏が何度も読みたい本
雑誌などは売れているがその寿命も短い、活字だけのいわゆる読み込ませる本が売れなくなった、若い年代に限らず文字離れの傾向は強くなる一方との声を聞く。
私たちは本から料理以外にも先駆者の料理人、人としての軌跡や哲学など多くを知る機会を得る。
読後に自分にとり良書と思える本の文面からは誠実さがにじみ出て、言葉が突き刺さるように迫ってくる。語句が裂け、その隙間から飛び散る稲妻のような火が心を熱くする。
本の著者、そして本の推薦者などのひととなりにふれ、彼らを理解すればするほどに自己理解が深まる。
本は知らないことを教えてくれるばかりでなく、教えた内容についてもっと自分で考えてみなさいとそれとなく自分自身の考え方を生み出すところまでの奥深い思索の世界があることを暗示してくれる。
推薦書籍
- ①「エスコフィエ 偉大なる料理人の生涯」辻静雄著/復刊ドットコム
- 料理人としてのあるべき姿を改めて考える機会となる書である。
- ②「お菓子コツの科学」河田昌子著/柴田書店
- 技術の科学的根拠を分り易く解説している。
おいしさとは何か、その本質を考える一助となる。
「辻調理師専門学校」中国料理技術顧問
吉岡 勝美氏