追い風となるサイトのネット通販

佐々木 晨人氏
株式会社芦島 代表取締役

私がゼネコンに入社した1990年代、すでにコンピュータは企業活動に欠かせない存在で、文系出身の私も社員として否応なく使い慣れなくてはなりませんでした。やがて通信技術と組み合わさることで個人向けのパソコンが一挙に普及し、世界の誰とでもつながるインターネットの時代が始まりました。こうして幸いにも、私はIT(情報通信技術)のその後の発展を横目で追いながら自らに必要と思えるスキルを身に付けていけたのです。

ITは、旧来の伝統的な方法をコンピュータとインターネットによって革新させてゆく動きそのものです。40歳を前に好きなコーヒーをもとに起業を思い立ち、喫茶店の開業に向け時間をかけて準備している期間、個人のブログを開始。日本の新たな伝統となる喫茶店を目指す私の思いや考え、それに開業準備の進み具合を文章にしたため公開してゆきました。

ブログは、無償で利用できるソフトウェアに登録するとインターネットに文書を掲載できますが、一方的な発信が難点でもありました。「喫茶葦島」を開業した後は、独自のWebサイト(いわゆるホームページ「葦島公式サイト」)を起動させ、同時に利用者同士が交流できる会員制サービス(SNS)にも登録。現在は、ブログに替わるものとして映像や動画も掲載できるツイッター、フェイスブック、インスタグラムの各SNSサイトそれぞれの特徴をふまえて活用しています。

喫茶店の新規オープンに際し、チラシやDMといった既存の媒体を使った販促活動は行わず、インターネットを通じたコミュニケーションに賭けたのには理由があります。コーヒーは嗜好品であるため、個人の好みが色濃く反映されます。数は少なくても、コーヒーに関心をもちかつインターネットで検索するなど自分好みのコーヒーを探すような人に当店の存在に気がついてもらうだけでもマッチング効果は絶大です。そうして「喫茶葦島」を見つけ、実際に来店していただき、気にいってもらうことでコアなファンになっていただくのです。

SNSサイトにはフォロワーという閲覧者の実数が示され、マーケティングの目安にもなりますが、Webサイトの利点に掲載内容を随時調整するのが容易であることも挙げられます。例えばツイッターでは、通常のメニューにはない珍しい豆やスイーツが用意できた日には裏メニューとして案内、来店を促します。

また、ネット販売にも早くから取り組んできました。しかし、当初は決済の方法をはじめ、利用条件なども逐次試しながらでシステムもサイトも何度かリニューアルさせているうちにコロナ禍になってしまいました。ところが、コロナ以前には売り上げ全体の10%だったネット販売がこの1年半の間に25%を占めるまでに成長。休業など厳しい営業を強いられたなかで、ありがたいことに当店の大きな柱になっていました。

ネット販売に取り組んでいるうち、毎月定期的にコーヒー豆を購入してくださる顧客の定着がその素地になっていたようです。配送先は日本各地、なかにはマカオなど海外にまで及ぶのがインターネットならではと思われます。この11月には「葦島公式サイト」を思い切ってフルモデルチェンジ。オンラインの通販サイトでも、商品をより選びやすく、カートに入れるだけで購入しやすいように仕組みもデザインも全面改訂しました。

当店のコンセプトは「時間を紡ぐ珈琲」。日常生活で絡み合った思考や進めている物事のわだかまりなどを、一度立ち止まり自ら整理整頓すること。そうして、心穏やかに最高の寛ぎを体感していただくこと。いよいよ本来の日常が戻ろうとしているなか、皆様のご来店をスタッフ一同お待ち申し上げます。

フルモデルチェンジした「葦島公式サイト」トップページ
オンライン通販サイトの全商品紹介ページ例
オンライン通販サイトのコーヒー豆購入ページ例
佐々木晨人(ささき あきひと)プロフィール

1970年京都府生まれ。大学卒業後ゼネコンの社員、専門学校の教員などを経験して一念発起。2009年に株式会社芦島を設立。コーヒー生豆の仕入れ、自家焙煎、ドリップなど独学で習得し翌2010年喫茶店「喫茶葦島(あしじま)」を京都河原町三条にて創業。飲食サービス業として提供できる最高の寛ぎを追求する日々が続く。その手段にITをフル活用。2013年には珈琲豆や厳選スイーツなどの販売専門店「葦島珈琲」を創業、ネット通販にも積極的に取り組んでいる。

葦島公式サイト:https://ashijimacoffee.com

葦島珈琲通販サイト:https://ashijimacoffee.online

[掲載日:2021年12月3日]