料理、京の文化をはじめタイムリーな話題を研究 ジャンルを超えた京都の料理人による集い

蘖の会(ひこばえの会)

歓談中のメンバー。このようにアットホームな雰囲気のなか「蘖の会」はスタートする。

「蘖」は「ひこばえ」と読み、「孫(ひこ)生え」の意で、樹木の切り株や根元から生えてくる新芽(若芽)のこと。つまり、どんな状況になろうとも諦めることなく、力強く活動しようということで名付けられた。

きっかけは、スローフード運動に興味を抱いた「菊乃井」の村田吉弘さんを中心に料理人有志が集まった。イタリアのスローフード運動の情報収集を担当したのが「ミホプロジェクト」の武智美保さん。「京都は1200年も前からスローフードの精神を守り続けている街」ということから自分達で、定期的に集まり情報交換をしようと「蘖の会」の設立になった。「ミホプロジェクト」が事務局を運営し、プログラムを決めてゆく。

月に一度、京都のジャンルを超えた料理人。つまり、京料理、フランス料理、イタリア料理、中華料理等、また料理に興味のある人達が集まる。夜の10時開始で、一応午前1時が終了となっている。これまでは京都の歴史や文化を知る必要があるということで、狂言の茂山千之丞さんが「狂言における声の使い方」を解説したり、古美術商の梶高明さんが、茶道具から現代の器までの鑑賞方法をレクチュアするなど、料理の背景に広がる事象を学んだ。

また、メンバーである料理人が季節の食材を使った料理を披露し、それを食し意見交換をすることも多い。もちろん料理だけに限らず、オーストラリアワインのインポーターが試飲会をするなど、ドリンクの研究にも余念がない。

加えて「日本料理アカデミー」の所属する日本料理のメンバーが多いこともあり、「日本料理アカデミー」主宰の海外から著名なシェフを招いてのフェローシップに参加したシェフが加わり、「蘖の会」のメンバーであるフランス料理やイタリア料理のシェフ達と交流することも定期的に行われている。

このように、決まったルールがあるわけではなく、その都度タイムリーな話題に関連することを企画するのが「蘖の会」の大きな魅力となっている。

この日のテーマは、「鮨割烹 なか一」さんによる「寿司」。
「一之船入」魏さんによる「仏跳湯」(ぶっちょうたん)。
メンバー(氏名/店舗名)

村田吉弘氏/菊乃井
橋本憲一氏/梁山泊
佐々木 浩氏/祇園さゝ木
高橋拓児氏/木乃婦

滝本将博氏/ヴィ・ザ・ヴィ(京都ブライトンホテル)
魏 禧之 氏/一之船入
笹島保弘氏/イル ギオットーネ
ほか約80名

蘖の会
発足 2003年
会員 京都で店を営む料理人を中心とした文化サロン
連絡先 mihoproject(ミホプロジェクト)
京都市上京区寺之内通り浄福寺西入中猪熊町332
TEL.075-417-4870

[ 掲載日:2009年10月28日 ]