ジャンルや世代を超えたメンバーが常にニュートラルな視点で食環境を探求

日本食学会(にほんしょくがっかい)

2007年6月の例会は和歌山・岩出町へ。「宮楠農園」で畑を見学した後、イタリア料理店「ヴィラ アイーダ」に訪れた。

あらゆる環境を具に視察、探求、吟味しまた交流することにより独自の研究結果を生み出すと同時に会員同士の関係を深める。また食業界の活性化にも務める。
会の目的はこう記されている。

2003年1月から始まった『日本食学会』は「梁山泊」の橋本憲一さん、「祇園さゝ木」の佐々木浩さん、「神戸北野ホテル」山口浩さん「フランス料理 Sakura」のドミニク・コルビさん、「あやむ屋」永沼功さんなど、京阪神のジャンル・地域を超えた料理人を中心に、マスターソムリエ・編集者・調理専門学校教授・カメラマン・ワインエキスパートなどが集まり、毎月第一日曜日に例会を開催する。

毎月テーマが決められ、それに沿って例会を実施。多くは料理店で食事をしながら、その料理について激論を交わすことが多い。また年に一度は地方学会も行う。これまでは大分・由布院温泉に出向き「亀の井別荘」の料理人とコラボレーションを行い、食後「これからの旅館の料理考える」というテーマで交流会を催したり、山形・庄内の「アル・ケッチャーノ」に出かけ生産地ツアーを敢行したこともあった。今年は香川・高松のフランス料理店「トモシロイノウエ」で「地方都市でレストランを行うことの課題」という議論をたたかわせた。

また会員同士のコラボレーションも行う。代表的な例会は佐々木浩さんとドミニク・コルビさんのコラボレーションが興味深い。数皿のコース料理を作るのだが、佐々木さんとコルビさんが交互に料理を作るのではなく、一皿の料理を二人が共同で作り上げた。例えばメインの食材を佐々木さんなら、ソースはコルビさんというようなスタイルだ。この試みはお互いのスタッフにとっても学ぶことや刺激することが極めて多いようだ。この例会は「ホテルニューオオタニ大阪」での晩餐会にまで発展することとなった。

ある時は偉大なるワインを90年から00年まで、それぞれの特徴にあった料理とともに吟味することもあった。そのときは各年の綿密な資料が配付され、マスターソムリエの詳細な解説が加わり、料理とのマリアージュについて種々の意見が飛び交った。

とあるイタリア料理店での例会のこと。パスタについて会員同士で議論が起こった。日本料理の人達とフランス料理の人達では、麺に対する考え方が異なる。前者は喉ごしを重要視し、後者は歯応えを考える。また塩分濃度については常に和と洋の差異が明らかになる。
常にニュートラルな視点で、食環境を探求することが目的である。ジャンルや世代が異なるとそれぞれのネットワークもちがう。それを共有することで、視点が広がり深みも増すこととなるのだ。

「宮楠農園」の宮楠仁之さんからレクチャーを受けながら、畑を見学。
パリ在住の料理人・佐藤伸一さんを迎えての例会。会場は大阪・土佐堀の「トゥールモンド」。
2009年1月に開催された海外学会では、バスク豚生産地へ。純血バスク豚の生産者「PIERRE OTEIZA」の元へと出向いた。
佐々木 浩氏とドミニク・コルビ氏のコラボレーションを、「祇園さゝ木」にて行った。
メンバー(氏名/店舗名)

橋本 憲一氏/梁山泊
木村 篤司氏/料亭 いか里
佐々木 浩氏/祇園さゝ木
美木 剛氏/元・ジャンムーラン
山口 浩氏/神戸北野ホテル
ドミニク・コルビ氏/フランス料理 Sakura(ホテルニューオータニ大阪)
高山 龍浩氏/トゥールモンド
永沼 功氏/あやむ屋
魏 禧之氏/一之船入
岡 昌治氏/リーガロイヤルホテル大阪
ハリー中西氏/カメラマン
本郷 義浩氏/毎日放送・テレビプロデューサー

ほか

日本食学会
発足 2003年
会員 京阪神で店を営む、料理人を中心とした、食の仕事に携わる男性。
連絡先 株式会社ジオード
大阪市北区堂島2-1-5
サントリーアネックス1202
TEL.06-6341-7101

[ 掲載日:2009年12月25日 ]