京都の中国料理人が集結 世代やジャンルを越えた繋がり

社団法人 日本中国料理協会 京都支部

京都支部は2006年に発足。現在は中国料理に携わる料理人、サービスなどの個人会員、約70名が所属している。

中国料理業界唯一の、公益法人として昭和53年に発足した、「(社)日本中国料理協会(前・全日本中国料理調理師協会)」。会員は、中国料理の調理等に従事する人々が中心で、全国各地に約20の支部を持つ。そのなかの、京都の中国料理人を中心とした集いが、「日中協 京都支部」だ。

幹事長の魏 禧之さん(創作中華 一之船入)は京都支部の役割をこう話す。「料理人同士の情報交換や技術の向上はもちろんですが、それだけに留まりません。例えば若い料理人たちを育成することや、ボランティアなどの社会貢献。さらには料理のジャンルを超えた繋がりを作っていきたいと考えています」。

当会の勉強会は、年に4回開催される。魏さん曰く、「『フカヒレについて』や『ダックの釜焼きの手法』など、素材や技法をテーマにした会。そのほか、京都の中国料理店で食事をしながら、その料理について激論を交わす会。このふたつが主です」。前者の場合、中国料理の伝統細工である『彫り物教室』も開催した。「おおよその技術は厨房で覚えられますが、彫り物はそういうわけにはいきません。彫り物をやる料理人が減少しつつある今だからこそ、熟練の技が求められる繊細な彫刻を、若い世代に伝承すべきなんです」と魏さん。『彫り物教室』は今年から、月に1度のペースで実施するという。

年に1度開催される総会においては、08年より「ワンポーション料理コンクール」もスタートさせた。「第一回目のテーマは『前菜』でした。皿の中の美しさを、若手も先輩陣も一丸となり全会員で投票し、評価を付けるのです」。このように、世代の垣根を越えて会員同士が切磋琢磨し合うのが、当会ならではの特徴といえよう。

また、料理のジャンルを越えた繋がりも、当会ならでは、京都ならではと言えるのかもしれない。たとえば、「京都イタリア料理研究会」の勉強会にて、魏さんは「乾物」を使った料理をレクチャー。そのほか、09年10には、京都の伊・仏・日本料理のグループとともに、料理人の屋台イベント「京の大屋台村」を行ない、大盛況のうちに幕を閉じた。

「今後は京都支部独自で海外派遣制度も作っていきたいし、この会から、世界に誇る料理人を輩出するのが目標です。そして、京都ならではの、料理人同士のネットワークの強みを、中国料理の視点で発信できれば」と、魏さんは話してくれた。

総会の際に行われた「ワンポーション料理コンクール」。『前菜』をテーマに、見た目の美しさが競われた。
時には、別ジャンルの料理人の集いに参加することも。この日は、幹事長である魏さんが「京都イタリア料理研究会」の勉強会にて、「乾物」についてのデモンストレーションを行った。
上海から有名シェフが来日し、上海料理についての勉強会を実施。
09年7月に開催された「彫り物教室」では、大阪から有名な「彫り物師」を招き、熟練の技が披露された。
「今後は年に4~5回開催したいですね」と魏さんが話すボランティア活動。この日、福祉センターでは、前菜からデザートに至るまで全7品の中国料理が提供された。
幹事長の魏 禧之さん(創作中華 一之船入)
社団法人 日本中国料理協会 京都支部
発足 2006年
会員 主に京都で中国料理の調理等に従事する者
連絡先 創作中華 一之船入
京都市中京区河原町二条下ル一之船入町537-50
TEL.075-256-1271
http://www.jaccc.or.jp/

[ 掲載日:2010年1月25日 ]