77会(なななな会)

2010年8月8日。燦々と西日が差し込む夕方4時。大阪・北加賀屋にある造船所の跡地が、異様な熱気に包まれていた。至るところに、背番号「77」入りの赤いTシャツを身に纏った、料理人やサービススタッフたちの姿。会場には、大阪の飲食店14軒の屋台ブースがズラリ。そしてカウンターバーには、ソムリエがサーブするシャンパーニュやワインが何十本と並んだ。この日、人気レストランの料理を一度に楽しめるだけあって、ゆうに350名を越えるお客さんたちが客席を埋めたのだ。
大盛況だったこの食イベントは、その名も「1日限りの夜台村presented by77会」。『77会』とは、「1977年生まれの料理人・サービス人による集い」だ。メンバーは77年・78年生まれが中心。そして彼らが従事する飲食のジャンルは、イタリアン、フレンチ、中国料理、和食、串揚げにワインバー…とじつに様々。イベント会場ではカスレ、ガスパッチョ、スズキや鴨の炭火焼から麻婆豆腐やホルモン焼きうどんに至るまで、各店渾身のフード約30種がラインナップ。また、珍しいところでは、大阪産のデラウェアを使ったスパークリングワイン「タコシャン(カタシモワイナリー)」など、稀少かつ話題性のある、地元のワインも提供されたのだ。
そもそも当会の始まりは約5年前に遡る。当初は、ビストロの店主や料理人、イタリアンのマネージャーなど、メンバーは数人だった。彼らは終業後、メンバーの店で集まって飲むことが多く、調理師学校の同期や街場の繋がりが元となり、友が友を呼んだ。そして今や、同世代の約20名が集まる大きな会へと発展。活動は月1回、テーマをもたせた勉強会や、ときにはざっくばらんな飲み会も。ビストロ『羽山料理店(大阪・靱公園)』のオーナーシェフ・羽山智基さんは、会の役割をこう話してくれた。「同世代の同業者が集うということは、いい意味で刺激し合えるし、発見も多いです。でもせっかくなら、それぞれのお店のお客さんも巻き込んで、何か面白いことやろうよ!という提案が、メンバーから持ち上がったんです」。そうして、2009年11月に初イベント「1日限りの屋台村」が開催され、今回が第2回目となったのだ。「昨年の集客は約300人でしたが、今年は350名以上のお客さんにお越し頂けたんですよ」と、フレンチ店『le Caneton(大阪・谷町六丁目)』のオーナーソムリエ・田代 啓さんは嬉しそう。その理由は、各店の人気っぷりはもちろんだが、メンバーそれぞれが、ブログやツイッターで情報発信をした。そんな、今の時代を象徴する告知方法も、前売チケットが1週間でソールドアウトした理由のひとつかもしれない。
「それぞれの店に来て頂いているお客さんに、普段のお店とは違うかたちで楽しんでもらい、なおかつ違う77メンバーのお店にも足を運んで頂けるきっかけになれば」と田代さん。「同じ世代だからこそ結束力のある、「77会」にしかできない取り組みを、今後も広げてきたいですね。そして、大阪の飲食業界の盛り上がりに少しでも繋がることができれば」と羽山さんは話してくれた。






◆酒中花 空心(大阪・新町/中国料理)
TEL.06-6532-7729
◆Bistro a Vin DAIGAKU(大阪・東心斎橋/ビストロ)
TEL.06-6241-5431
◆Cerchio[チェルキオ](大阪・南船場/イタリアン)
TEL.06-6244-1700
◆ヴィネリア・リンコントロ(大阪・西天満/ヴィネリア)
TEL.06-6311-7007
◆kamekichi bistro(大阪・谷町四丁目/ビストロ)
TEL.06-6947-0063
◆Le Caneton[ル カネトン](大阪・谷町六丁目/フレンチ)
TEL.06-6761-1717
◆なかなか(大阪・北新地/串揚げ・ワイン)
TEL.06-6345-1088
◆Marble Tre[マーブルトレ](大阪・淀屋橋/イタリアン)
TEL.06-6221-3223
◆Le Cinq[ル サンク](大阪・心斎橋/ワインラウンジ)
TEL.06-6245-6115
◆ランジュヴァン(大阪・北新地/ワインバー)
TEL.06-6341-5502
◆キッチン 和[ニコ](大阪・東心斎橋/居酒屋)
TEL.06-6213-1626
◆つばめいろ(大阪・大淀中/居酒屋)
TEL.06-4797-2266
◆さんぽ(大阪・難波/居酒屋)
TEL.06-6631-3353
◆羽山料理店(大阪・靱公園/ビストロ)
TEL.06-6449-6369
発足 | 2005年 |
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[ 掲載日:2010年8月26日 ]