食べ手と作り手を、地引網がつなぐ。大阪・名店の料理人による集い

大阪酒飯会

2009年5月に開催された【大阪酒飯会「地引網」】の様子。大荒れの天候だったが、スタッフも含め総勢500名を超す大イベントとなった。

約20年前。「地方食材を使って、そのエリアを盛り上げる会をやろう」と、料理人が集い始めた。メンバーは大阪・北新地「カハラ」の森義文氏を筆頭に、森氏と親交の深い料理人たち。フィールドは京阪神だけに留まらない。例えば三重・新宮の浜辺まで出向き、地元漁師の地引網漁に参加したことも。揚がった地魚を用い、料理人たちが腕を振るう。ときには店のお客さんも連れて地方に出かけ、交流を深めることも。当時、料理人が主体となるイベントは、まだ珍しかった。そのほか、「塩豆の会」という名のもと料理人が集い、ワンコインで食べられる屋台イベントを実施したこともあったという。

「そんな料理人とお客さんとの交流が、『大阪酒飯会』発足のきっかけでしたね」と、当会の名誉会長・川添雅嗣氏は話す。現在、コアメンバーは、「カハラ」森義文氏をはじめ、「川添」川添雅嗣氏、「竹中酒飯店」竹中秀行氏、「うずら屋」宮本幹子氏、「あやむ屋」永沼巧氏、「クロ・ド・ミャン」宮永久嗣氏、「鮨処 多田」多田幸義氏、「川と山」佐々木 隆氏の計8名。
当会の目玉となる集いが、大阪・泉南の岡田浦漁港で開催される、【大阪酒飯会「地引網」】だ。第3回目を迎えた2009年には、大阪の人気店36店舗が出店し、500名を越える一般客が集まった。お客さん参加型の地引網にはじまり、料理人たちは泉南の地魚を用いた屋台料理も披露。また、魚以外にも、仔豚の丸焼きなどのバーベキューや参加店舗自慢の一品も登場し、料理はいずれも屋台とは思えないほどの完成度。料理人同士の交流はもちろん、客と店との交流もさらに深まり、大いに賑わいをみせたのだ。
現・会長の宮本氏は、イベントの趣旨をこう話してくれた。「素晴らしい志をもつ有志料理人が年に一度集まります。料理人同士の交流はもちろんですが、日頃の感謝をお客さんに返す一日なのです」。第4回目となる【大阪酒飯会「地引網」】は、2011年5月15日(日)に開催予定だ。

まずは恒例の地引網から。子どもたちや料理人も混じり、大きなかけ声とともに網を引き揚げる。
お店さながらの、レベルの高い屋台料理の数々。鮮魚を握ってもらえるのも、浜辺のイベントならでは。
魚介たっぷりのスープに、パスタ、天ぷら、寿司、バーベキューの一品ほか、ゆうに30品を超える料理が披露された。
「いつもお店をご愛好くださる、お客さまと共に楽しむためのイベントです」と、名誉会長の川添雅嗣氏。
川添氏のサポートに携わる、現・会長の宮本幹子氏(大阪・京橋「うずら屋」)
大阪酒飯会
発足 2008年(大阪酒飯会という名が付けられた年)
会員 大阪で店を営む料理人を中心としたコアメンバー8名。

[ 掲載日:2010年12月27日 ]