京都フランス料理研究会

「京都フランス料理研究会」という名のもと、フランス料理店のオーナーシェフやホテルの料理人たちが集まり始めたのが約30年前。当時、フランス料理店の存在は、京都でも稀少であった。「発足当初は人数も限られていたので、みんなでワインでも飲みながら情報交換しあう会でしたね」と、会長の大溝隆夫氏(「ボルドー」オーナーシェフ)。交流を兼ねた集いは、やがて参加する人数も増え、大きくなっていった。そして現在は、「メンバーにとって勉強になる会やイベントでなければ」という意義のもと、京都と滋賀の料理人たちを中心に、約40名の会員を抱える会へと成長している。
活動は、料理人向けの勉強会と、一般客向けのイベントに分かれる。
前者は、店の営業終了後に開催される「講習会」や、年に数回実施する「朝食会」などが挙げられる。京都調理師専門学校でおこなわれた「講習会」には、会員はもちろん、それ以外の料理人も含め、150人もの参加者が集まった。当会メンバー4人が、自店のスペシャリテを披露。調理技術を惜しげもなく披露し、試食もおこなわれたという。
また、メンバーのレストランで朝食を提供しながらおこなわれる「朝食会」は、異業種のゲストも招いて催されることも。「ゲストは映画監督だったり、ときにはテレビで馴染みのあるアナウンサーだったり」と大溝さん。「ゲストがどんな業種であれ、その道を極めた方の生き様から学び取ることは多くあると思うのです」。料理人が、料理のことだけを学んでいてもダメ、と大溝氏は熱く語る。
一般客参加型イベントも多岐にわたる。2011年1月から3月にわたり、大阪ガスクッキングスクール京都において、「料理セミナー」を実施。1月は大溝氏、2月は中埜智史氏(ホテル日航プリンセス京都)、3月は澤井健司氏(「フランス料理オペラ」オーナーシェフ)。この3名が、「家庭で簡単に作れるフレンチ」をテーマに、料理教室を開催。京野菜である小カブや、洛北産の玄琢ネギなど、地素材の良さを活かした料理を披露した。いずれの会も、即、定員に達する盛況だったという。「飲食店という視点でのアプローチも必要ですが、一般客参加型の活動などにも、今後も取り組んでいきたいです」。
当会発足後、関西日仏学館で開催している大イベントも。フランス農水省が、毎年6月第一木曜日を「アペリティフの日」と提唱し、「アペリティフin京都」を実施する。昨年、第8回目のイベントがおこなわれた。当日は、メンバーである、京都と滋賀のフレンチのシェフ35名が勢揃い。関西日仏学館の館内や庭園にブースを設置し、アペリティフに合うアミューズを提供。27名のソムリエやバーテンダーも集まり、フランス産ワインのほか、ハッピーアペリティフカクテルコンペの優勝作品も提供された。また、シャンソン歌手によるミニコンサートなどもおこなわれ、1000人近くの参加者が集まった。このように、大使館を巻き込んだ料理人のイベントは、東京と京都のみだという。なお、2011年は6月2日(木)に実施予定だ。
「京都は小さい町ですが、飲食店も多く、世界から観光客が訪れます。そんなこの町で、京都ならではのフランスの食文化を、伝え続けていきたいですね」と大溝さんは話してくれた。






発足 | 1980年 |
---|---|
会員 | 京都と滋賀のホテルやレストランで、フランス料理に従事するオーナーシェフおよび料理人 |
[ 掲載日:2011年3月31日 ]