関西の料理店70店舗が集結した、東日本大震災チャリティーイベント

立ちあカーレー OSAKAID 2011

「清風学園」の校庭にて、スタッフ全員が集合。飲食関係者のほか、ボランティアも含めスタッフは約250人近くに。全スタッフが黄色いTシャツで統一。

2011年7月17日、大阪・上本町にある「清風学園」で開催された「立ちあカーレー OSAKAID 2011」。京阪神に店を構える70以上もの飲食店が参加し、関西で最大級ともいえる、料理人による東日本大震災チャリティーイベントとなった。運営メンバーである、トラットリアパッパの店主・松本喜宏さんは、当イベントの主旨をこう話してくれた。「料理人が個人で義援金を出すよりも、皆が集えばもっとスケールの大きな形が作れるのではないか? 料理人には技があります。その技をもって、義援金を3倍、4倍にして被災地に届けたいと思ったのです」。

当会のはじまりは、料理人と彼らの仲間が集うプライベートの飲み会「JOK」(後に当イベントの実行委員)が発端だった。「東日本の被災者に向けて、何か自分たちにできることはないか」と、皆がアイデアを持ち寄った。藤原晋介さん(カメラマン)曰く「誰もが好きなカレーがいいんじゃない?と。お題がカレーなら、料理人も気軽に参加できそうだし、いろんなジャンルのお店が集まることで、カレーメニューのバリエーションも広がりそうだなと」。

「JOK」メンバーは飲食店の店主はもとより、カメラマン、医師など、その道のプロフェッショナル達。彼らの繋がりによって友が友を呼んだ。食材費や人件費は各店舗自己負担。しかし、「義援に対して関わり方を考えていた頃、この話を頂いたんです。彼らのスタンスにとても共感したし、タイミングがすごく良かった(焼きとんyaたゆたゆ店主・川端友二さん)」など、いろんな料理人たちの共感を得た。そうして70店舗以上の飲食店が集う、イベントへと発展した。

事前に販売された2500人限定のチケットは、あっという間に完売。当日、校庭に設置されたブースでは、「鱧カレー」「魚介カレーつけめん」「鉄板カレーナポリタン」「オマール海老のロースト カレーソース」ほか、各店渾身のカレーメニュー約50種(各300食限定)がラインナップ。客が長い行列を作るブースも続々と現れ、開始わずか1時間で完売をする店も。このほか、大阪のワインショップやバーによる、アルコール類の提供、そしてチャリティーオークションやライヴも行われ、大いに盛り上がりをみせた。運営側は料理人やボランティアを含み、約250人ものスタッフが集結したのだ。

「今回のイベントは、飲食業界のなかの異業種交流とでも言いましょうか。いろんなジャンルの人と繋がりができて面白かったですし、みんなが優しい気持ちになれたと思います」(運営メンバー「Wassy’s」鷲谷良亮さん)

「『JOK』のメンバーは、職種も様々ですが、料理人、マスコミ関係者、企画・運営のプロ…と、いろんなスペシャリストの集まりです。彼らをはじめ参加者全員が同じ方向を向いて、こんなに熱くなれたのが一番良かったです。“縁と縁”そのひと言に尽きます」(運営メンバー「トラットリア パッパ」松本喜宏さん)

「面白い企画を考える人、それをまとめる人、そして実行に移す人。運営に携わるメンバーは、適材適所という言葉、そのものでしたね」(運営メンバー「やまがた屋」山形 崇さん)

「飲みの場の話題を、ここまで価値のある会にもっていけたのは「JOK」の皆さんの底力だと思います」(「うずら屋」宮本幹子さん)

「今まで参加させていただいたイベントと全く違いました。皆が“義援金を送るんだ”という思いに集中していたし、全スタッフが禁酒するなど規律もしっかりとありました。私立の高等学校を間借りしたということもあり、まるで道場のような集中力を感じましたね。お客さんも乱れることなく、整然と楽しまれていたように思います」(「川添」川添雅嗣さん)

「震災直後は、何をすれば役に立てるのだろうかと自問自答でした。だけど、料理人の労働力を使うこの義援活動に共感し、参加させて頂いたのです。また、今回のイベントでいろんなシェフたちと、新たな繋がりを持たせて頂けたのも嬉しい」(「釜たけうどん」木田武史さん)

当日の収益は全て日本赤十字社へ寄付。その収支はホームページ上にて8月中旬に公開予定。運営メンバーの松本喜宏さんは「来年も再来年もやりますので、参加して頂ける料理人はご連絡ください。今後5年は続けていきたいですね」と話してくれた。

運営メンバー「JOK」の皆さん。料理人、精肉店店主、ワインショップ店主、医師、クリエイターほか、その道のプロフェッショナルが集まった。
前半・後半でメニュ−のみを変える、二部制で実施。料理店同士のコラボレーションメニュ−も登場し、話題を集めた。
コテを豪快に振る、運営メンバーの松本喜宏さん(トラットリア パッパ)。鉄板カレーナポリタンを提供。
各ブース前には長蛇の行列が。「最後尾」の看板を持ったスタッフたちが至るところに。
ワッシーズダイニング・スープルは、「オマール海老のロースト カレーソース」を提供。
運営メンバー、代表の戸田誠さん。イベント終了後の打ち上げ会場にて。
立ちあカーレー OSAKAID 2011
web http://osakaid.com/

[ 掲載日:2011年7月27日 ]