関西のパティシエや関連企業が集結。技術向上を目的に交流をおこなう。

ヌーベル・パティスリー・デュ・ジャポン

「本会」の模様。朝から夕方まで、長時間におよぶデモンストレーションが繰り広げられる。

昭和51年に発足した「ヌーベル・パティスリー・デュ・ジャポン」。会の設立に携わったのは、ホテルプラザ 初代製菓料理長・安井寿一さんだ。「おやじ(安井さん)は、関西で活躍する菓子職人の技術向上などを目的とし、この会を立ち上げました」。安井さんのもとで修業経験のある、当会幹事長・木山寛シェフ(ジョエル)はそう話す。現在、会員はホテルや個人のパティスリーなど56社、賛助企業28社。

活動内容は、会員を対象にした「講習会」をメインに、会員以外の同業者も交えた、当会主催のセミナーなども実施する。
「講習会は年に10回は開催します」と木山シェフ。その講習会はおもに3つの分科会に分けられている。ひとつは、技術を競い合う「コンテスト」だ。
「飴細工、ケーキデコレーション、チョコレート、この3つの部門で会員が競い合います。入賞者は、東京で開催される全国大会の出場権を獲得できるのです」。この全国大会は、WTPC(スイーツ世界大会)の登竜門だという。

ふたつめは、毎月第3水曜におこなわれる「本会」。こちらは、会員や賛助企業協力のもと、デモンストレーションや試食などをおこなう。「本会には、100人前後の会員が集まりますね」と木山シェフ。先日開かれた本会では、フランスにある製菓材料の総合メーカー「DGF」のデモンストレーター、アルノー・ゴティエ氏が来日。イチゴのコンフィとマンゴ、アプリコットのクレームをピスタチオのビスキュイでサンドした「ル・カヴァイヨン」ほか全5品の実技と試食を実施。受講者からは、絵画を思わせるような、フランス特有の色使いが大変参考になった、など反響の声も寄せられた。

そして興味深いのは「ヌーベル・ジュニア」という名のもと、就業3年未満の若手パティシエを対象にした実技向上のための会だ。「洋菓子業界は、ホテルなど大きい場所になればなるほど、ひとつの部門だけで10数年、経験を積むことが多い。ですから、職場ではできないことを若い方たちには経験してもらいたい」と木山シェフ。講師は、当会理事をはじめコンテストの優勝者など、会員が受け持つ。木山シェフはチョコレートに飴を練り込んだ「プラスティックチョコレート」の細工を披露。「この技法は、モチーフの線書きや、色合い、そして影の付け方など、美的センスが問われます。その重要性に少しでも気付いてもらう、という講習会でした」。

このように、技術を重んじ、技術を学ぶための「ヌーベル・パティスリー・デュ・ジャポン」。「おやっさんは、技術のレベルが10までいったら、1に返れと、よく話をしていました。常に技術面も人としても初心を忘れるな、ということです。当会ではそんな安井イズムを受け継ぐこと、そして、技術を共有・競い合うことで、パティシエのさらなるレベルアップを目指していきたいですね」。

今年5月に開催された「本会」では、製菓の国際コンクール「WTPC」チョコレート細工部門で優勝をした藤田浩司さん(ヒロコーヒー ケーキ工房)のデモンストレーションがおこなわれた。
藤田さんは、ガトークラシックジャンドゥジャをはじめ、バハマ、オリジンザッハ、ガナッシュ抹茶、ローズフランボワーズ、クッキーサンド、黒氷、この7種類のスペシャリティを披露。
2011年6月の「本会」の講師は、エリック・ペレス氏。このように、国外から、もパティシエを招き、講習会を開催する。
エリック氏は、長年、米国のフランス領事館や各国のリッツ・カールトンホテルでメインパティシエを務めた経験をもつ。
エリック氏は、ガトー・オ・ヤウート・エ・パレ・ドゥ・フリュイ・ルージュ、アントルメ・シトロン・ジョーヌ・エ・ショコラ・ブランほか、計7種のスペシャリティを披露。
2011年7月の「本会」では、「ヌーベル・パティスリー・デュ・ジャポン」北陸ブロックのパティシエが技を披露。
ヌーベル・パティスリー・デュ・ジャポン
発足 昭和51年
会員 近畿圏の製菓業界(ホテル・パティスリー・企業)と賛助企業

[ 掲載日:2011年12月5日 ]