京料理の技法をヒントに、低カロリーのフランス料理を。

京都フレンチの会

当会1回目の勉強会、テーマは「フォアグラ」。フランスにおけるフォアグラのトップブランド『ルージェ』のシェフ、ドゥミエ・ジョスラン氏を迎え、デモや試食会を実施。

2013年2月に誕生した「京都フレンチの会」。京都市内でフランス料理店を営む、シェフによる集まりだ。

代表の石崎耕蔵さん(アーム・ドゥ・ギャルソン)は、当会の主旨をこのように述べる。「京都に、観光やお食事で来られる方々にとって、京都=京料理というイメージが強いと考えます。では、“京都フレンチ”というイメージがあるのかというと、確立されていないのが正直なところです」。当会を設立する以前、石崎さんは、2012年の「世界料理オリンピック」日本代表という快挙を成し遂げた、「円居」の総料理長・伊藤 道彰シェフ(当会副代表)とともに、京都におけるフレンチの未来について危惧していたという。「このままの状況が続けば、5年、10年先、京都のフレンチ料理人も減り、技術や知識も低下するのではないだろうか」。しかも、バターやクリームなど油脂を多用するフランス料理は、コースで2000kcalを超える場合も。「女性や健康志向の方にとって、このカロリーは、なおさら敬遠してしまう要因。そこで、ランチ800kcal以下、ディナー1000kcal以下で、京都ならではの低カロリーのコース料理を作ることはできないか」。そこでヒントを得たのが、京料理の技法だと石崎さんは言う。「素材の持ち味を生かし、昆布やカツオなど旨みをのせることで、油脂に頼らない深い味わいを実現できる。これこそが京料理の強みです。それをヒントに、新しい、京都ならではのフランス料理を見出したいと考えるように」。

現在、メンバーは約15名。それぞれの店で、低カロリーのコース料理を実現させるべく、さまざまな勉強会を行っている。例えば「フォアグラの会」。フォアグラの輸入販売業者と輸入元の専属シェフを迎えて勉強会を実施。「フォアグラの起源にはじまり、例えばハンガリーではガチョウの肝臓を用い、フランスでは鴨の肝臓を使うなど、地域ごとの特徴を知ることは、ひじょうに勉強になりました」と石崎さん。ヘビーと捉えられがちな食材だが、「京野菜やタンパク質を効果的に用いることで、フルコースの総熱量800kcal以下というローカロリー献立も可能だということに気付きましたね」。その後、石崎さんは、フォアグラだけのランチコースを実現。例えば、オードブルで供する「万願寺唐辛子とフォアグラ」。肉厚の万願寺唐辛子にフォアグラと黒米を詰めて炙り、醤油とみりんをベースにした甘辛ソースとカツオ節を添えた。この他、前菜の「テリーヌフォアグラ京都」、メインの「フォアグラ・ポトフ」、そしてデセールは「梨と柿のミルフィーユ」。これら4品で、620kcalというから驚きだ。「フォアグラの次は、豚がテーマの会を。その次は、京料理の料理長などをゲストに迎える予定です」。

これら低カロリーのコース料理。現在は、当会に属する料理人が、各店舗で試行錯誤している真っ最中だという。「今後の展望はやはり、“京都フレンチ”というジャンルの確立です」と、石崎さん。

京都市内のフランス料理店で、シェフの個性を生かした低カロリーのコース料理があちらこちらで味わえるのも、遠い日ではない。

石崎シェフが考案した、「テリーヌフォアグラ京都」。フォアグラのテリーヌは、山椒や七味を加えたポルト酒でマリネ。テリーヌの中心に生麩を入れ、生湯葉で巻いた。
「ヒラメの塩昆布詰め “京都フレンチ旅籠屋風”」。今後は各店で、低カロリーのメニュ—ができ次第、ランチやディナーで提供する予定だという。
京都フレンチの会
発足 2013年
会員 京都市内でフランス料理店を営むオーナーシェフ
連絡先 アーム・ドゥ・ギャルソン 石崎耕蔵
TEL.075-213-3016

[ 掲載日:2013年9月24日 ]