大阪ワイナリー協会

2012年10月に設立した「大阪ワイナリー協会」。大阪府内でワインの醸造をおこなうワイナリー6社による団体だ。(「カタシモワインフード株式会社」、「飛鳥ワイン株式会社」、「仲村わいん工房」、「株式会社 河内ワイン」、「株式会社 ナチュラルファーム・グレープアンドワイン」、「島之内フジマル醸造所」)
ここで大阪ワインの歴史を遡ることにしよう。明治11年頃に甲州の苗木が移植されたのが、大阪でのブドウ栽培の始まりとされている。そして昭和初頭、大阪府はブドウの収穫量・生産量ともに日本一であった。おもな生産地は、柏原市をはじめとする河内地方。しかしながら第二次大戦後、ブドウ畑は住宅地へと変わり、栽培面積はほぼ半減。昨今は高齢化が進み、耕作放棄地も出てくるように。
「大阪ワイナリー協会」代表である髙井利洋さんは(カタシモワインフード株式会社 代表取締役)、当協会設立の趣旨をこう話す。「現在、日本のワインにおける大阪の認知度は、山梨や北海道などに後れを取り、ほとんど知られていない状況です」。また、国内におけるワインの消費量は、アルコール全種の3%。さらにその85%が外国産…と、日本ワインもとい、大阪ワインを取り巻く環境は厳しい状況となっている。そこで。「大阪のワイナリーが一致団結し、“大阪ワイン”ブランドを全国に発信しなければ」と、その昔は敵対心を持ち合っていた同業者がタッグを組み、当協会が誕生したのだ。
活動は多岐にわたる。2013年6月、天王寺都ホテルで開かれた決起集会を皮切りに、阪急うめだ本店の催事では「大阪ワイン祭りin祝祭ダイニング」と題し、イベントを実施。お客様には大阪産のワインを試飲して頂きながら、当協会のメンバーによるトークショー、ワインに合うイタリア料理の提供などを行った。このような百貨店イベントはその後も数多開催している。ユニークなところでは、大阪モノレール「おおさかワイン列車」の運行に携わったこと。万博公園駅〜門真市駅〜大阪空港駅〜万博記念公園駅の区間を走行するモノレールのなかで、大阪産のワインを楽しみながら、ワインに合う軽食も提供。さらにはワイナリー6社の代表がモノレールに乗車し、ワインの説明も行うという企画であった。
さらには。野外イベント「おおさかワインフェス」を過去2回、主催。2015年4月、羽曳野市内の公園で開いた第2回目のイベントでは、当協会メンバーが醸造するワイン約40種を、グラスで販売。また、飲食店22店舗の屋台も登場し、大阪の食材に特化したフードメニュ−を提供した。前売り券を1500名分用意したが、即座に完売。関西圏はもとより、遠方からも多くのお客様が訪れ、おおいに賑わった。「来年は柏原市内の河川敷で実施したいと考えています。今後は、大阪市内など発信力があるエリアでも」と髙井さんは話す。
勉強会にも余念がない。ブドウ栽培の技術を学ぶ会、ワイン醸造の最新技術を学ぶ会、酵母菌や発酵技術の研修、さらには国税局の指導員や税務署の担当者による法律の勉強会など。参加者は、当協会員をはじめ、それぞれのワイナリーの従業員も。「商売敵という概念を捨て、このように大阪のワイナリーが集結し、情報共有や勉強会を実施することは、“大阪ワイン”ブランドのさらなる品質向上に繋がります」と髙井さん。「大阪だけでなく関西近郊のワイナリーの方々にもお声掛けさせて頂いているんです」とも。
当協会のメンバーであり、2013年3月、大阪ミナミに都市型ワイナリーを立ち上げた藤丸智史さんにも話を伺うことができた。この協会では、若手メンバーのひとり。2010年に柏原市の耕作放棄地を借りて栽培したブドウを、自社のワイン醸造に活用している。「今後は、ウチのワイナリーの真似をしてくれるような若者が増えると嬉しいです。また、都市型農業の窓口として『大阪ワイナリー協会』が存在することで、ブドウ栽培やワイナリー研修の受け入れなどの役割を担うことができればいいですね」と期待に胸を膨らませる。そのような体制の強化により、ワイン醸造に携わる人が増えれば、大阪ワインの活性化に繋がるに違いない。最後に髙井さんは、こう話してくれた。「都市部から1時間以内にワインの産地があるというのは、国内外どこをみても大阪にしか存在しません。その最大の利点を生かしながら、地産地消のワインとして、大阪に観光で来られ方々に飲んで頂きたいですし、外国人観光客に向けても大阪ワインの魅力を発信していきたいです」。






HP | http://www.osaka-winery.com/ |
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[ 掲載日:2015年8月7日 ]