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ハグくむワークショップvol.1「集客」Program 4:まとめの座談会 2/2
Program 4:まとめの座談会 2/2
講師紹介
河内 パートナーと言えば、社員も含めてということになりますが、基本的には信頼しあえる関係づくりだと思っています。仕事も人生も同じですね。取引先の業者さんには仕事を発注してお願いしているのですが、家族ぐるみでお付き合いをさせてもらっている方もいますし、時にはお酒を飲んで議論することもあります。私は会社の経営者といっても一人の人間なので欠点だらけですし、わからないこともいっぱいあります。デザインができる人に私たちの想いをデザインとして最大限発揮してもらうには、心を開いて「ここはわかりませんから、お願いします」という姿勢で、いっしょに何かをつくり上げる、そういう関係です。
門上 最終的にはどんな時代になっても人と人なのですね。佐々木さんのカウンターも1対17ではなく、1対1という、人が今日の大きなポイントかなと思います。佐々木さんはお二人の話で印象に残ったことはありますか。
佐々木 薬師寺さんの商品力、宣伝力、販売力という考えはまったく同感です。河内さんには店にもよく来ていただいていますので、講演を聴くまでもなく、共感するところが多かったです。僕はお二人より年下ですので、一つだけ質問させてください。テレビの特番とかに取り上げてもらう中で、よく「佐々木さんにとってお客さんとは何ですか」と訊かれるんです。まさか、神さまですとは言えないし、お二人はお客さんをどういうふうにとらえてはるんですか。
薬師寺 私たちはお客さまあっての商売です。ただ、今は選ばれる百貨店、選ばれるコーナー、選ばれる人にならないとだめだと思っていまして、それを逆にみれば、私たちを息長く支持していただけるようなお客さまであってほしいなと思います。では、そういう関係を築くにはどうしたらいいか。例えば、催しの間は毎日会場に張りっぱなしです。そこでお客さまのいろんな話を聞くわけです。メディアにも出させていただいたり、宣伝をさせていただく関係で、お客さまのニーズとか、いろんなことを教えていただきます。お客さまからは売上より大事なことを教えていただくことがありまので、一言でいうとお客さまは師であり、導いてくださる師匠であると思っています。
河内 当社には「合掌カレンダー」という日めくりカレンダーがありまして、創業者の私の父である会長の言葉を掲げています。その中に「お客さまは裁判官」という一行があります。お客さまが私どもの会社を必要とされなかったら、私どもは黙ってリストラされる。だから、お客さまは裁判官であるというのです。ただ、好みがありますので、すべての人に「マールブランシュ」を好んでいただくこともできません。その代わり、私どもを好んでいただけるお客さまには絶対に切り捨てられないように、もしくはもっと愛してもらえるように、自分たちを磨いていこう、裁判官はイエスかノーをはっきり教えてくれるという内容です。日めくりカレンダーですから、31日に一回必ず出てきます。朝礼では「お客さまは裁判官」と唱和しています。
門上 「師匠」と「裁判官」という言葉、佐々木さんはぜひ参考になさってください。今日は、事前に3人で打ち合わせをしたわけではないのに、共通する話が多くありました。第一線でヒットされている方々の姿勢にはまさしく共通したものがあると思いました。では、この機会にご質問があれば、ぜひどうぞ。



質問 今日は素敵な講演をありがとうございました。大阪の福島で日本酒と和食の立ち飲みの店を去年4月にオープンさせた会社の従業員です。オープンして10カ月ほどで、ある雑誌の表紙を飾ることができました。掲載された月からお客さまが増え、それまでの常連さまからはいつもいっぱいやと言われる状態になりました。それから5カ月経った今は落ち着いてきていますが、果たして常連さまが戻ってきていただいているのか疑問なんです。店としては雑誌に載ることに関しては宣伝になりますのでありがたいことなんですが、商売としては常連さまを大事にしていきたいので、どうなのか、自分の中で迷いもあるんです。どう判断したら正しいのか、この機会に3人の方からご意見をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
佐々木 ホンネで話します。僕も初めて店をもったとき、最初に『家庭画報』から取材がきたんです。いきなりメジャーですよ。それから、雑誌の取材が次々ときました。当時は借金していたんで、「なんでもやるよ」と断る余裕がなかった。何でも出ましたから、後で思うと失敗やったなと思うこともあります。雑誌に序列をつけて見るのはおかしいですが、自分にとってどうなのか、うまく見極めるのもいいのかなと思いますね。
河内 私どもも小さいですが飲食店を何件かやっていますので、辛いところですね。満席にしたいし、常連さんも大事にしたい。私どもは、佐々木さんと同じ経緯で、断る余裕がありませんでしたから、マスコミにどんどん取り上げていただきました。ただ、一つだけヒントになることを申し上げます。私どもの北山本店はオープンして今年で 35年になります。最初はお客さまにはまったく来てもらえませんでした。35年にして、ようやく土日はお客さまでいっぱいになりました。すると、近所の方から「開店の時から利用しているのに、ケーキ買うのに並ばせて、偉そうにするな」と言われます。偉そうなんてしてないんです、ペコペコしてるんですけど、怒られてしまう。それで、対応策を講じました。隣のビルの1階を借りまして、古くからのお客さまには会員になっていただき、フリーダイヤルでご予約いただいたら特別に隣の窓口でケーキや進物品のお渡しをしたり、特別ルームでごゆっくりと商品を選んでもらったり、そういうことをしています。飲食店は難しいですけど、特別室とか特別席を設けておくのも一つの手かなと思いますけど。
薬師寺 “知っていただく”というのは大事なことで、いくらおいしくても、いくら環境を整えても、知らないとお客さまは来られませんから。表紙を飾ってから来られるのは、どこまで長続きできるかということですよね。新しいお客さまもつくっていったらいいんじゃないかと思います。世の中、どうしてもスクラップとビルドがあるんですね。絶好調で集客できている時、それをいかに継続させられるか、味と接客が大事かなと思います。必ず人は飽きたら離れていきますから、そういうふうに考えていかれたらどうでしょうか。
門上 ご対応ありがとうございました。今日は人を集める「集客」というテーマで、関西食文化研究会でもこれまでとは少しアプローチを変えた試み“はぐくむ”企画でしたが、いかがでしたでしょうか。薬師寺さん、河内さん、佐々木さんには貴重なお話をしていただきましてありがとうございました。
