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![「火入れ」Program 3:料理デモンストレーション[日本料理]](https://food-culture.g.kuroco-img.app/v=1774927648/files/topics/552_ext_2_0.jpg)
「火入れ」Program 3:料理デモンストレーション[日本料理]
Program 3:料理デモンストレーション[日本料理]
講師紹介
関西食文化研究会コアメンバー
「ぐじのからすみ粉焼きと菜の花」

和食ではやらないような調理方法の中に次の和食のヒントがあると思っていますので、今日はそういうようなことをやっていきたいと思います。
使いますのはグジです。上身にして、皮も引いていますけど、脱水したものです。コブ水、大体1%くらいの味をグジにつけたいわけです。2%くらいの塩水をつくっておくと1%になります。コブをなぜ入れているか。グジの持っているイノシン酸とコブの持っているグルタミン酸で、グジは水分の中に何らかのおいしさは溶けだしているでしょうけども、それを補填するための、うま味が入っていると思っています。これは漬かりあがった後ですが、1時間後のもの。
そして塩をしたもの。これを切ります。串を打って焼くわけです。今日は、使っている油は太白胡麻油です。ゴマの香りもない油です。火は通っているけれども、色が生のピンク色は残っています。塩をしたグジを油につけてタンパク質の凝固温度といって、サーモンとかでもやりますけど、42度くらいで固まります。グジの場合は42度でやりますと、ゼラチン質が多いのか、柔らかすぎる。手に持てるようなギリギリという感じになってしまいます。グジの場合は60度にして、一回、切ってみましょう。中の油が鈍色に光っている。油は拭き取ります。
次はカラスミの粉。これは何か足らん、香ばしさが足らんと。タンパク質が焼けた香りがメイラードを起こそうと思うと、ある程度火が入ってしまうわね。他の香ばしい香り、もっと簡単に香りづけができる方法、これを上からサラマンダーで炙って、回りをと...頭の中でできているだけでね。まだ食べたことないんです。
次は、あしらいです。菜の花です。葉っぱをむしって、これに油を入れてガストロバックで気圧を下げることによって60度以下でも沸騰するようになる道具があります。植物は気圧、持ってるわね。それを低気圧にすることによって空気が出てしまうわけです。もちろんこの温度帯ですと、ペクチンは硬化していますよね。ペクチンが硬化していながら、この温度帯で加熱している。気圧をもとに戻すと吐き出した空気の分、オイルを吸う。油を使っていますが、菜の花、生と変わらない。湯がいたのと同じ状態に色はなっている、発色しているのは油を吸うているから。食べた時には、生のような触感、カリッとした触感があり、油を含んでいるから、うま味が出ている。



洋食はこれで、ええかもしれんが、和食の場合は、これではまずいので、沸騰するお湯に通してサッと油をとってやりました。すぐに冷水に漬けることによって、色止めと、火が通ってしまうのを防ぎます。和食の場合はこれに味をつけないといかんと思うわけですな。味をつけないといかんというのは、地づけにするか、何かまぶそうかと。僕が考えるのは、何でも味を含ませたり、味をつけることが、ほんまにおいしいことなのか。日本料理は一つずつ、これはこれでおいしいとやっていくわけでしょう。だしばかり重なってくるわけでしょ。この頃はそんなことはやめて、菜の花のホロッと苦いのが、ええやんと。これは塩だけでええやん、というふうに考えてるのは、和食では僕と、あと何人かくらいですかね、そういうふうに考えています。シャリッとした菜の花で「ああ、春やな」というふうに感じていただけたらと思いますので、そのまま盛ります。
このグジ、今までにない火の入れ方やなと思うけど、これがおいしいかどうかは、また別の話で、串を刺して炭の上でビチッとやいたものと比べて、どうなんかというのは、調理法の一つではあるけど、どっちが好きかというのは料理人の考え方によるわね。
菜の花も、今までの和食の中にはない方法やけど、苦みも残っているし、菜の花のにおいもよくするし、生のサラダのような感じもするけど、これが今までの菜の花の、からし和えと比べておいしいかどうかは、その料理人の判断、考え方の問題です。
関西食文化研究会としては、それだけの幅のテクニックを知っていることは料理人にとって必要なことやろなと。職業が料理人やから。今日はタンパク質のキュイールでグジをやり、ペクチンの硬化と他の香りを持っていくという考え方から2種類をやりましたけども、そんなところで、よろしいですか。はい、どうもありがとうごいました。

