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「火入れ」Program 3:料理デモンストレーション[フランス料理]

「火入れ」Program 3:料理デモンストレーション[フランス料理]

Program 3:料理デモンストレーション[フランス料理]

講師紹介

山口 浩(やまぐち ひろし)氏
「神戸北野ホテル」総支配人・総料理長、
関西食文化研究会コアメンバー
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「牛ロース肉のロースト→リソレ?根菜のブーケ添え」

今日は真空調理の料理を見てもらいます。真空調理がいいですよということではなく、火入れというものを現代風に伝えようとした時には、温度の問題なのかなと。温度で、どういう科学的な反応が起こって、おいしさにつながっていくのか、メイラード反応とかのお話をされましたが、聞いていくうちに、どんどん理解が深まっていったように思います。

今日はガスコンベクションオーブンを使わせていただきます。温度コントロールもダイヤル一つでできますので、ホテルで使う時は、牛ロース肉のロースト-リソレ。基本的調理の中で、火入れというのは、まずフライパンを熱して肉をローストする時は表面をリソレする。焼き固めて、うま味がでない状態にしてからオーブンに入れてローストしてルポゼしてから、ということが通常の考え方だと思いますが、なぜリソレするのか。今回のリソレはメイラード反応を起こしてタンパク質と糖と、おいしさ、香ばしさをつけようと、ただそれだけの目的です。

まずお肉ですが、表面を83度で3分間、加熱します。表面の細菌を殺すことになりますが、通常はリソレすることによって同じ効果が生まれます。オーブンの中に入れますから、表面の温度は高く、中にいくと温度が低くなっていきます。川崎先生の説明の中でも全体が62度の状態ができます、という話でしたが、今日はそれと同じような手法を使うわけです。

作業的には難しくないんですが、ロースをずる剥きしまして。ロース糸で括って、真空パックしました。気泡があると、そこがサウナ室状態になって、熱が入らなくなって事故の原因にもなりますので、オイルを入れて真空パックをして、61度で2時間。中心温度が56度まで上がりました。これが、その料理です。

この温度帯で少しドリップが出ています。これでローストされた状態です。ルポゼも必要ない、リソレするだけです。ただ香ばしさをつけるだけの意味です。味は、リソレした後に塩・胡椒してもいいし、リソレする前に塩・胡椒されてもいい。考え方です。

野菜ですが、根菜、ニンジンは皮を剥いて、油脂分で水分を飛ばすように加熱しました。水分がなくなるので、萎びた状態まで弱火で炒めまして、それにオレンジジュースを入れて煮含め戻した状態のもの、それと大根とゴボウ、竹の子、丹波シメジを使ったものを別々に調理したものをポワロネギでブーケにして召し上がっていただきます。野菜のおしいさ、肉のおいしさを、グルタミン酸とイノシン酸のおいしさを口の中でも楽しんでもらおうかなと思っています。

ソースはジュードトリュフソース、牛テイル肉を関節ごとに切りまして、リソレして8時間くらい煮出したもの。それをソースのベースにしています。ベルナール・ロアゾーという師匠の料理を継承してきまして、モンテをせずに、ニンジンとオニオンのピューレでつないでソースにしています。

高温の方が熱の伝導が速い。あまり中に火を入れたくないので、キンキンの高温で、表面に香ばしい香りをつけるためだけに行います。結構ヤバイですよね。火がつきそうな、このくらいの固まりの肉で2時間、中心温度が上がるまで。通常のローストより長くかけることかできている。だからアミノ酸を変成させて、うま味や、まろやかさが、この肉の中に形成されていると思います。表面を焼き固める。これででき上がりです。普通は、これから始まるんですが、全く反対です。

どこを切っても同じ状態で焼けています。今までは、こういう焼き色をつけるために修業していた。先輩のを見ながら、講習会で、どのくらいでと、目を凝らしていたんですが、そういう必要がなくなってしまったんです。今日、調理場に入った人間に、こういう焼き色ができる。料理人としてどこに個性を出さないといけないか。難しい時代になっているのは間違いないことだと思います。

この調理法ですが、お肉を真空パックにしてオイルを少しだけ入れて加熱する。61度で中心温度が56度になるまで。今までその後に急速に冷蔵した。そうすると個性が出にくい。10分間、出した状態でおきます。その後、10分間、水に浸ける。それから冷水に浸ける。お肉ですと1週間くらいは1、2度が理想的で、おいておくことによって長期保存が可能になる。

フランスで微生物のリスクのチェックをしたところ、83度で3分間加熱してからコンベクションのその温度に設定して、中心温度をそこに持っていった場合、事故が起きないと裏付けもとっています。この温度帯は条件によって変わったりしますので、自分たちの店でリスクマネジメントはしていただきたいと思います。

「牛ロース肉のロースト→リソレ?根菜のブーケ添え」

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