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「昆布とQ&A」Program 3:講座とディスカッション「料理のサイエンスQ&A」<全記録>7/11
Program 3:講座とディスカッション「料理のサイエンスQ&A」<全記録>
講師紹介
Q3:風味調味料とだし
- 本物の昆布や鰹だしのだしと、だしの素等の味覚の違いが、一般の消費者にどれだけわかるのかが街中の一般食堂の気になる所であると思います。それによって原価率も変わると思いますので宜しくお願いします。
- しかし私自身はやはり文化伝統を重んじるので、昔から続いているだしの引き方を続けていきたいのですがね。
Answer(2/2)
風味調味料と鰹だしの成分にはどういう違いがあるか。家庭用の風味調味料を溶かした状態にしてそれを分析したデータはないんです。家庭用の風味調味料で一番多いのは塩です。グルタミン酸ナトリウムの濃度は風味調味料が多いですね。グラニュー糖が家庭用風味調味料に入っています。甘味を足すというより固める、かたちを作るためのものです。乳糖も入っています。風味調味料には鰹節が入っていて、イノシン酸も追加で入っています。カツオエキスも入っています。カツオエキスの成分は何が入っているかはわかりません。クエン酸ナトリウムは酸味です。コハク酸ナトリウムはうま味です。澱粉は固めるためのもので、味はありません。ヒスチジンはアミノ酸の一種で酸味のあるアミノ酸です。乳酸も鰹だしには多いです。鰹節を削って濃厚な鰹だしを作ると結構酸っぱい、酸味がある。慣れてない人は酸っぱい味がする。それはヒスチジンと乳酸の酸味です。違うか、同じかというと、違うといわざるをえません。グルタミン酸ナトリウムのうま味が強いのが風味調味料かもしれない。ただ濃度の部分も大きいです。グルタミン酸ナトリウムを鰹昆布に分析値にあわせて薄めればどうなるか。それは香りが違ってくると思います。業者が推奨している希釈率の時の香りと、もっと薄めた時の香りは違ってくる。香りが重要で、何が違うかというと香りだと思います。香り成分を保持して、製品に詰め込むことは大変なことです。
風味調味料は、粉末、液体のものあります。業務用でも作られています。原材料を見ると、鰹節とイノシン酸ナトリウム。イノシン酸は分解しすいので、追加する必要があるということだと思います。鰹節から工場で作って無菌でパックしている。結局、どこで抽出しているかの違いではないか。風味調味料は、うま味成分とカツオエキス、鰹節とかが入っている。風味調味料はどこで抽出されているか。鍋の中に粉を入れた瞬間に抽出が行われている。鰹節も入れた瞬間に水に抽出されている。お客さんの目の前でその場でとったものが多分、ベストです。香り成分は水に溶けるものと油に溶けるものがある。鰹の中にはその両方入っている。水に溶けるものの中に溶けるか、油に溶けるものはどんどん揮発していく、それがいい香りになる。お客さんの目の前でとったもの、午前中の営業の時にとったものか、前の日にとったものかで、全部違ってきます。ということは、その前に工場で作ったもの、どれを選ぶか、どこを選ぶか、どこで線を引くかが料理人さんの個性、考え方に基づくものであると思います。
どこで切るか、ここがベストですよ、といえないのではないかと思います。
重要なのは飲んでみて品質がどうか、それだけで、品質に満足さえすれば、どれを使っても、あとはストーリーがお料理には重要ですから、お客さんの目の前でとったんですよというストーリーが重要な場合もあります。これは品質をどこで判断されるかが重要かなと思います。成分的には風味調味料に入っている成分も天然に入っていますし、うま味成分とはなんの違いもありませんから、どう考えるかですね。
もう一つ提案として、だしの考え方をぐっと範疇を広げることができないか。そもそも、だしとは何かとういうことを考えた時に、うま味は必須です。食材の持っているうま味成分をその香りとともに水または熱抽出したもの、これがだしといっていいのではないか。そう考えると、うま味成分が多い素材は、昆布と鰹以外にもあります。マッシュルーム、トマト、海苔、アスパラガス、パルメザンチーズというふうに、うま味成分、グルタミン酸ですが、イノシン酸は別ですが、いろんな個性のあるものがとれるはずなんです。これを抽出してみて薄かったら濃縮すればいいわけです。それだけのことだと思います。どんな食材でもとれるんです。ある素材から水抽出をして濃縮した時の味を見て、これって使えるんじゃないか、ということもあると思います。うま味成分にこだわる必要もないし。ちょっとあればいいのかもしれない。他から入れればいいかもしれない、と。こういうふうに考えると、ソースとか、タレという概念がグッと広がると思います。例えば、トマトソースはだしでしょうか。水は入れません。濃縮したら別ですが、トマトのグルタミン酸がどこに抽出されているか。トマト自体の水分に溶け込んでいます。これはだしではないのか、わかりません。考え方による。便利に使う人はいると思います。というような考えを持っています。だしについては。



