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「蒸す」Program 2:料理デモンストレーション [中国料理]

「蒸す」Program 2:料理デモンストレーション [中国料理]

Program 2:料理デモンストレーション [中国料理]

講師紹介

南 茂樹(みなみ しげき)氏
「中国菜 一碗水」オーナー料理人
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「汽鍋湯(雲南汽鍋スープ)」

今日の食材、まず、白菜です。中国料理では、冬場の霜がおりて芯がやわらかいものを珍重するんです。今日は、台湾で流通している芯の部分を間引きしたものを一人一つずつ用意しました。鶏肉は骨付きがおいしんですが、鍋も限りがあり、かさがとられてしまうので骨を抜いてきました。それと筍。中国本土では3月~5月が旬で、上海では下処理せず、いきなり皮から茹でたり、煮たりするんですが、今日は糠茹でしたものを使います。干し貝柱は、乾燥20gを水に浸けてやわらかく戻したもの。金華ハムは一人1gくらいのスライス。絹笠茸は戻して、軽く下味をつけています。調味料は、塩、紹興酒です。

こうした具材を入れて、どうやってスープができるのかが、今日の料理のポイントです。用意した鍋には、穴が開いた突起物が煙突状になっています。下から熱して、蒸気を穴の下から上へ取り込んで、蓋にあたった蒸気を蓋の中に溜め込み、中の具材と一緒にスープになるという形になります。

先程の川崎先生のお話でも、中国料理にはたくさんの蒸し料理があります。まさにその一つがこの汽鍋湯で、ユニークな料理なので、皆さんに知っていただくのがいいのではないかと思い、この鍋をもって来ました。雲南省で諸説あるんですが、調べると200~300年前に考案された料理だということです。僕も去年、雲南省に行ってきました。向こうのレストランのほとんどでメニューに載っていました。たいていスープ料理です。

何百年前に考案されて今まで改造されずにきたのかどうか、今回、いい機会なので何か取り組みができないかと、この料理を選んだのですが、思いつくままにいろんなことをやりました。けれど、披露するに至らない結果が多かったんです。最終的にはこのオリジナルがベストではないかという答えにたどりついたんですが、少し考え方を変えようと思って、鍋そのものを調べてみたんです。それでも、全くわからず。そのうち、原理を理解した上で、この調理方法が確立されたのかどうか。だんだん疑問に思えてきたんです。当時、中国ですから水事情はよくないので、そのまま飲んだりはしてないはずだし、蒸留かな、と。

川崎 何に使うかはいろいろ仮説があるんですが、中国は水を使う時に衛生状態もあって、加熱して蒸留させる。硬度が高くても、蒸気は硬度には関係ないですから、カルシウム、マグネシウムは揮発しないので、蒸留水にしてスープをとるということもありそうな気がしました。蒸留することが重要だったのではないでしょうか。雲南省は石が有名なところです。石灰岩とかで水の硬度が高くて、硬度が高いとアクがとりやすいこともあり、スープにするとやわらかくなるんですね。水の硬度を下げるために、もしかすると、こういう方法もありうるのかな、と思いました。

ここで、会場から魏禧之さん(「一之船入」オーナーシェフ)の発言です。

 僕も、10年くらい前から、雲南省へは結構行っています。茸料理が有名で、味の塩分が濃いんですね。雲南省では、どこの店のメニューにもこれが入っている。なぜかというと、まず、水の状態が良くないこと、すごく硬水なんですよ。この鍋で水が軟水になったりするという話は聞いたんですけど、そこからが解明できていない。いろんな人に聞いたんですけど、全然わからない。すごく有名な料理なんです。時間をかけて、好きな分量がつくられる。いろんな素材を入れたり、肉が柔らかくなって、だしも濃いです。難しくはないんです、簡単なんです、おいしいものができる。

 料理を構成する要素が少なすぎて、技術とか経験とか、いらないんですね。

村田 日本料理にしても面白い。下の湯に中に柚子を山のように入れて、柚子の香りがついた蒸気が上がっていき、柚子の香りを付けるとかはできそうやね。

 香りのある、いろんなものを試したんですけど、温かいと、どうしても揮発するのが速いのか、料理として感じられるかというと、そこまでいきません。

村田 アルコールを湯の中に入れて揮発させれば、どうかな。香りが移るのは油とアルコールの2種類やから。アルコールに香りを移して、それを油と混ぜて、低温で火を入れれば油の中にどんな香りでも移るはずです。

川崎 香りが残らないということは、揮発してしまったのでしょう。水蒸気蒸留は冷やすことが肝心です。多分、そこまでトラップしきれていない。料理するのを見ていたら、シュウシュウ湯気になって出ていますから。

 鍋は外気にあてて冷やした方が、スープは溜まりやすいんです。

川崎 上を冷やせばドンドン溜まります。うま味がちゃんと入っているから、こういうやり方でも味がちゃんと出るのでしょう。素材の配合の技術は、すごいものがありますね。

と、南さんの料理に対する討議は、この後のディスカッションへと続いていくのでした。

「汽鍋湯(雲南汽鍋スープ)」

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