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![甘さは、なぜ必要か。「甘くて、旨い」Program 2:料理デモンストレーション [フランス料理]](https://food-culture.g.kuroco-img.app/v=1774927650/files/topics/631_ext_2_0.jpg)
甘さは、なぜ必要か。「甘くて、旨い」Program 2:料理デモンストレーション [フランス料理]
Program 2:料理デモンストレーション [フランス料理]
講師紹介
関西食文化研究会コアメンバー
「鱈と白子の取り合わせ 白子ソースと野菜ソース」

砂糖を使わないフレンチでは、何によって甘味をだすのかという実演です。ひとつが、野菜のジュ。今回はさらに甘いと感じるように、シェリー酒を加えています。また、鱈の身と、その白子は、揚げたもの、ソースにしたものとを組み合わせ、ただ甘いだけではない複雑な味わいになっているのです。
「甘くて、旨い」ということなのですが、フランス料理は基本的には料理に砂糖は使いません。ですからデザートが進化した。フランス料理の甘味は野菜でとることが多いですね。15年前、ブイヨン以外に野菜のジュをとることが一世風靡した時代がある。ジュー・ド・ギュームを作ります。まず、オリーブオイルで野菜を炒めます。キャベツ、タマネギ、ポワローネギ、ニンジン、セロリラブ、ニンニクとローリエ、香辛料。すべて汗をかかせるように炒めます。この野菜から出した甘味には香りはありません。野菜の香りはあるけれども、野菜の香りが甘味にイコールになることはありません。今日は何を加えたか。シェリー酒です。甘味を強化するためです。中国料理ですと紹興酒。それを入れることによって甘いと感じる。生活習慣が違うと、そんなに感じないんですが、シェリー酒や紹興酒は日本人には甘く感じられる。匂いを嗅ぐとシェリー酒は甘いと感じるんですが、飲むと甘味を感じないと思います。5%くらいの糖分しかないですから。でもその香りを感じることで甘味を感じて、味でも甘く感じる。コース料理では必ずデザートまで起承転結を考えて終わらせる。料理で甘さをもってくると料理は楽かもしれません。すべての人が本能的に甘さ=おいしいとインプットされているわけですから、でも甘味をあまり使わずに料理を作っていくテクニックは、香りのコントロールかなと思います。シュエして、水を加える。そしてこれを一煮立ちさせながらゴトゴト3時間くらい炊くとこんな状態になります。なるべく蓋をしながら炊いていきます。それを漉します。漉したものをさらに煮詰めていきます。こういう色に変わっていきます。これもメイラード反応とか、褐変が起こって、人が好きな色になっていく。
今日はもう一つ白子のソースを作ります。白子をこのまま加熱しても、それなりにおいしいんですが、もう少しおいしさを加えようとすると、バターを入れて、高温で加熱します。白子は鮮度のいいものですから臭みはない。臭みをとるために加熱しているのではなく、香りの複雑さをどんどん作っています。白子の質にもよりますが、上質であればあるほど、時間はかけずにした方がいい。もともと水分がない、素材に入っているので炒めすぎるとソースにした時にボソボソになってしまう。鮮度の落ちているものは時間をかけてキャラメリゼする。もともとは野菜では蕪でやっていました。湯がいてピューレ状にしたものをキャラメリゼしてスープを作ったりします。こういう形で褐変していくと複雑な味のソースになっていく。おいしさからすると、このまま食べた方がおいしい。



この間、木下先生と川崎先生とご一緒することがあって、いろんなヒントをもらいました。ホモとヘテロ、もともと遺伝子の話ですが、「均等化されているものと不均等」という話です。これはこのまま食べると不均等ですね。焦げているところや、まろやかなところがあって。でも、ピューレにすることによって均等化してホモ化していく。しかし、食べた時の印象はこれをこのまま食べた方がおいしい。料理に仕上げる時はヘテロの方がおいしいので、白子にパン粉をつけて揚げて食感を出します。鱈の方は表面をパリッと焼き上げてヘトロ化する。メイラード反応とヘテロ、香りを司ることで、とんでもないものができるのかな、と思います。お菓子の販売もやっていますが、ヘテロ感にあふれている方がバカ売れしている商品が多いなと気づきました。
さて、このくらい色がついたらミキサーに入れます。パコジェットで冷凍してからかけてもいいと思います。その方が、ロスが少ない。白子を塩胡椒しています。白子に小麦粉をしっかりつけてしっかり落として、襞の中にもパン粉がつければおいしいかと思います。鱈の方はジュー・ド・レギュームにシェリー酒を入れて、香りでも新しさを感じてもらう。シェリー酒も開けておきますのでソトロンの物質を前提に味見していただければと思います。皮は小麦粉をつけました。簡単に色つけができますので。白子のパン粉づけしたもの。180℃の油で揚げます。中はクリーミーな状態で表面はカリッとする。少しバターを入れて。僕たちは片面だけ当てて、パリッと焼き上がったら蓋をして蒸らす。バターを加えて水分をとる。焼くのと仕上げるのと一緒の状態でやっています。鮮度のいいものは身が1枚1枚はずれていって、おいしいかなと思います。こちらはピューレにして、せっかく色をつけたんですが、ホモ化したソースですね。これはほんの少しあたたまる程度で火を入れていくとタンパク質が変化しますので、ある程度、あたたまる程度でいい。白子のピューレソースを真ん中に敷いて、野菜は、あえて入れません。この匂いでは甘味は、あまり感じない、全くではなく、感じにくい。シェリーを入れることでソトロンという物質の働きで香りを嗅ぐだけで、甘いなと感じる。上の面が蒸し焼きの状態になって皮の粉がパリッと揚がっています。上の白子は色目が歯ごたえをつけたもので仕上げてみました。はい、こういう形ででき上がりました。
ピューレの中に少しオイルが入っていますが、僕らがフランス料理の修行をした時のようにバターの脂肪分を中に溶かしこんでいって甘味をつけることは最近あまりしないですね。香りを多様化したり、ここにウニのアイスクリームを載せるとか、液体窒素で固めたフォアグラのパウダーを入れるとか、食べた時、口の中で時間差で変わっていく味わいの方が今っぽい。牛肉の煮込みのように口の中に入れてダイレクトに、おいしいと思うのも喜んでもらえるんですが、ガストロノミーといわれるレストランにいくと、直球では喜んでもらえない部分もあります。コースの中で直球や変化球とか起承転結をちゃんとしていかないといけないのが現状だと思います。

