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料理に使える「乳化の技」Program 2:料理デモンストレーション [製菓]

料理に使える「乳化の技」Program 2:料理デモンストレーション [製菓]

Program 2:料理デモンストレーション [製菓]

講師紹介

西原 金蔵(にしはら きんぞう)氏
「オ・グルニエ・ドール」オーナーパティシエ
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「カトルカール、パートシュクレ、パートサブレ」

バター、粉糖、全卵、薄力粉の4材料を同じ分量ずつで作る、洋菓子の基本型のようなカトルカールの生地づくりを実演。常に温度計で温度を示しながら、乳化と温度の関係を解説していただきました。乳化させたパートシュクレ、乳化させないパートサブレの見本も付けていただきました。

西原 初めてパティシエに声をかけていただいてありがとうございます。今日は皆さんに最もベーシックなパウンドケーキ、フランス語でキャトルキャール(4分の4)という、4つの素材がすべて100gで作るベーシックなケーキです。ここになぜ乳化があるかを説明して、その後にシュクレとサブレという甘い生地も味わっていただきます。

フルーツとかをのせて焼き上げる丸いタルトがありますが、パートシュクレはその土台になる生地です。もう一つはサブレという生地。いずれも製法は異なります。パートシュクレは、室温で乳化させてそこに粉を加えて生地を作ります。サブレは、すべてが冷たい状態でバターの粒子をより小さくし、小麦粉とあわせて仕上げていきます。特徴は、パートシュクレは生地がしっかりとし、固い食感。サブレは比較的固いが、もろく、サクサクとしている。サブレの語源はさらさらとした砂です。

お菓子を作る上で最も適した作業温度は23℃~25℃です。ここに室温に戻したバターをおいておくと、バターが18℃~20℃くらい。バターが安定して攪拌されても変化しないのが18~20℃くらいです。バターを攪拌し、水分を分けていくわけですが、バターができあがった温度が18℃で安定している。この状態をそのまま継続し、そこに水分を加えて乳化をさせていく作業を行います。乳化させる必要がどこにあるか。小麦粉に大きな影響を与えます。乳化できていない油の部分と別々になった状態で、油の中に先に小麦粉が浸透してしまうと、結構、後から入ってこようとする水分を寄せつけてくれません。この逆で、水分が先に入ると水分は次の油分を受ける。小麦粉が生地として成り立つのは水分です。水分が適当に小麦粉の中に浸透し、攪拌され、粘りができるとつなぎができあがる、生地が成り立つ。油が先に入ると、パサついた、あるいはもろいものになりやすいことが前提にあります。

今ここの室温は26℃、覚えておいてください。この条件でこれから作業します。このバターを計ってみます。お菓子屋さんは温度をいちいち計りますが、何回と体験していくと室温がこれくらいだからというのが見えてきます。今、25℃です。次に乳化ということがうまくいくかどうか、念のために4分の4のバター、粉糖、卵、小麦粉の温度を測ります。卵の温度が24℃。冷蔵庫に卵をおいておいたものをすぐ使うと、この作業はうまくいきません。作業手順は、砂糖とバターをよくすり合わせ、そこに全卵を少量ずつ加えていき、乳化がきれいに起きたところで小麦粉を一気に加えて生地を作ります。こちらにはベーキングパウダー、膨張剤を加えています。ベーキングパウダーがない場合は泡立て器でしっかりと攪拌します。そうすることによって、よりバターがクリーミーになります。ベーキングパウダーが入るので卵とともに抱き込むような空気の力を借りなくても一気に全体を仕上げてくれます。ここではバターの粒性を壊さないようにします。

こうして粉糖とバターがまとまりました。ここに香りのものとして塩とバニラを加えました。レモンの皮のすりおろし。これから卵を少量ずつ加えていきます。一気に加えるとなかなか乳化が進みにくい。クリーム状になりにくい。ボールも小さいので行うと作業が進まないので、30cmくらいのボールを使っています。ここでつながりました。卵を加えてつないで、つないで徐々に乳化作用を大きく広げていこうということです。卵黄レシチンが乳化を促進させてくれるわけです。

川崎 僕もお菓子については、理解するのに苦労して臨んでいるんですが、今、何が起こっているかなと考えています。バターは水と乳脂肪の乳化物で、全卵は水とたんぱく質とレシチンと卵黄油。今、どういう状況かなというと、小麦デンプンと小麦たんぱく質、砂糖の水溶液中に、乳脂肪と卵黄油が分散している状態ではないか。それを加熱して水を飛ばすのが焼く作業。お菓子では、焼くまでが乳化されていて、焼いて水がなくなって乳化ではなくなる。焼くまでで、いかに乳化の小さい油脂の滴を作ることをされているのだろうなと思っています。

西原 卵がまだ残っています。26℃くらい。これが冬場だと、もっと早い時点でこういう状態になります。ここで大切なのが温度です。乳化をより促進させる温度、25℃から促進がしやすい。今は23℃で、さらに分離してしまう。これは乳化が起きてない状態です。よく分離してしまっているので粉でつなごうとすることが結構多いが、それは基本的には×です。ここで粉が入ると油分を先に吸ってしまう可能性がある。パサつきやすい。乳化をしっかりとさせてやる方法として湯せんするのはいいですが、1℃、2℃の調整は難しい。そこで、ドライヤーをよく使います。温度計を見ておいてもらって、まさに実験ですね。できればバターの粒性を壊したくない。強く攪拌する感じではなく、温度を上げていく。ドライヤーであたためると空気をあたためるので、効率よく、やさしく全体をあたためることになります。ただし、周辺がこの熱でバターが溶けないように注意しましょう。焦って攪拌しないことです。少しずつ、つながってき始めたかなという感じです。今、25℃を示しました。

川崎 温度を上げているのは、バターを少し溶かしバターの乳脂肪の粒を小さくするためにかき混ぜながら温度を上げているんですか?

西原 できたらバターを完全に溶かしたくない、ぎりぎりの状態、25、26℃くらいの溶解するところを攪拌して、卵黄のレシチンが乳化をより促進させる、同時に温度を上げることで乳化がより促進していくのです。先程は完全な分離の状態でしたが、つながりました。マヨネーズになりました。温度を加えることによって乳化がより促進したのです。

川崎 温度にかかわるのはバターがどれくらい液状化しているか。温度を上げることでバターを少しだけ液状化させたかった。剪断力を加えつつ、どんどんバターの油脂の粒子を細かくして安定化したと。

西原 今、26℃くらい。こういう状態にしてやる。この後、小麦粉に向けて水分だけが先に入ったり、油だけが小麦粉の中に浸透する状態にしていくのが、より生地をうまく作りあげるポイントになります。この後、配合上、牛乳を20cc入れます。本来の基本的配合からすると、この水分は加えません。基本的な配合ではありません。これは生地をより軽くするためで、ちょっとした水分、水でもいいんですが、牛乳を後から加えます。乳化ができた状態で入れます。のの字を描くような状態で入れていきます。全体に粉がまとまった状態で最後に牛乳を加えて攪拌する。分離しやすいので全体がまとまる程度。この時の牛乳の温度も25~30℃くらい。水分を加えて生地ができあがります。

パウンド型は、長さ12cm、高さ6.5cmの型に、120~150gを入れてもらうといいと思います。今日は絞り袋を使っていませんが、端っこに生地を入れる形から徐々に流し入れることをやります。この生地をいかに乳化の中にありながらさせていくかが伝えたいことのポイントとしてデモンストレーションしてみました。型の端っこに生地が行き渡るように少し押さえて。今日は焼きまではいかないので、代替のものをもってきています。こうした状態です。これを最初、200℃のオーブンで10分程度、盛り上がってきて表面に色がついたらパレットナイフにバターをつけて真ん中にスッと筋目を入れます。バターのついたパレットで。そこに油分が入るのできれいに割れてくれます。ガイドラインを入れるときれいな状態で焼き上がる。真ん中がきれいに割れるように焼き上がります。10分したら表面に色がついた時にガイドラインを入れて、さらに15~20分。真ん中の盛り上がった生地が出たところが、ほんのりと色がつく状態で。日本では、パウンドケートはしっとりした状態を求められることが多い。4分の4は、パサパサとはいいませんが、どちらかというと噛み応えがある生地です。ジャムを添えてあります。まず、ジャムがついていない状態で食べていただき、焼き菓子にジャムをつけて食べていただくと季節の果物とともに楽しみになります。フルーツケーキを後から加えてフライパンで焼き目をさっと焼くと、とてもおいしいです。強火でテフロンのプライパンでサッと焼くとおいしい。パウンドケーキが時間がたったなという時に、それをされると蘇ります。

ここで二つの生地を同時進行で行います。私はパートシュクレ、タルト台の生地を焼きます。こちらは乳化をさせます。片方はサブル生地です。乳化をさせない。冷たい小麦粉に冷たいバターを入れて攪拌する。フードプロセッサーによってより小さくバターを切ってしまう。作業が速いです。容器もよく冷やしてあります。白くなっています。小麦粉も砂糖も冷やしてあります。バターは小さめに切っておいて、バラバラにさせる方が、より作業がしやすい。大きな固まりがあると団子になってしまう。バターをより細かく小麦粉の中に点在させる。方や小麦粉を水状にし、ここにバターを室温に戻して入れます。塩、バニラシュガー、粉糖、卵。パートシュクレは卵黄だけが使われることが多いですが、しっかりさせたいので全卵を使っています。水分が少し入ることでより生地がしっかりする。ここでバターが入ります。冬場は手ですると作業が進みやすい。体温が働きをしてくれる。四角いものがタルト生地のもの、丸い方がサブレです。なめらかに合わさっていきます。4分の4の配合からすると卵の水分の量が少ないので、まだ安定しやすい。こうした状態でクリーミーな状態になりました。バターの中の水分、全卵を使っているので卵白が水分になります。しっかりと油分とともによくあわせておく。この中を触ってみて1mmくらいのバターの粒子になればいい。まだ大きいです。これを手でつくると作業台に出してカードで切り込んでいく。最終的には粉とバターを手の間ですり合わせて全体を作っていきます。サブラージュといいます。砂のように作る。これをフードプロセッサーで手早く、冷たく冷やしておかないといけない。バターを絶対に溶かさないようにして。方やこちらは完全に溶かしてしまうわけではないですが、水分とよくあわせる。乳化が促進しやすいのはレシチン、卵黄の成分に含まれている油分が乳化を促進させると同時に、もう一つは温度です。26℃の温度ですが、冬場では10℃を切る、なかなかこういう状態にならないので、この作業が結構大切です。これでほとんどあるかないかの状態、小さいバランスがよくなりました。ここに卵黄を加えます。きれいに乳化が起きた部分に粉をあわせます。5本の指を広げる状態で全体をあわせます。サブレの方はこうして卵黄が加わって全体がまとまります。サブレ生地はこれでまとめて、すぐに自分で焼きたいサイズに切って、すぐに焼くことができます。生地は休ませないといけないというイメージが強いですが、水分がほとんどないから休ませる必要がありません。休ませる理由は、小麦粉のグルテン質が出るからです。ここではグルテン質が出る状況ではないので早く成形し、焼きたいサイズにして即焼く。冷蔵庫で休ませるとバターの量が多いので、とんでもない作業が必要になります。生地をいためてしまう。試食していただく丸い方は、昨晩作って、抜き型で抜いて焼いたものです。

タルト生地の方は最も基本的な作業です。卵とバターがあわさったものと小麦粉を均一化させる。こちらはボソボソした感じです。手で押さえることで均一化します。かつ、手からも外れやすい状態にする。これでパートシュクレができました。これはグルテン質を休ませるというより、作業性をよくするために、少しバターが冷えた方がいいので、タルトならば厚みが2mmぐらいの大きさにして型にのせていく、今のこの状態では伸しにくいので、休ませるというより、ちょっと冷蔵庫で冷やします。サブレの方はこの状態でまとまってきたらすぐに成形する。こうした棒状にして粗い目のグラニュー糖の中に転がして周辺にグラニュー糖をつけて、それから冷蔵庫で冷し、希望のサイズの丸い状態、四角い状態で焼くと周辺だけが砂糖がついたものになります。この表面に全卵と卵黄一個ずつ溶きほぐしたものを塗り付けてやると、きれいな焼き色がつきます。1cmくらいで焼きました。この状態で即、焼けます。休ませると成形ができません。以上です。

「カトルカール」

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