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「料理と飲み物の相性」Program 2:料理と飲み物のマッチング(実演と講評)+試飲食[イタリア料理]

「料理と飲み物の相性」Program 2:料理と飲み物のマッチング(実演と講評)+試飲食[イタリア料理]

Program 2:料理と飲み物のマッチング(実演と講評)+試飲食[イタリア料理]

講師紹介

山根 大助(やまね だいすけ)氏
「ポンテベッキオ」オーナーシェフ、
関西食文化研究会コアメンバー
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「河内鴨餃子」

鴨肉を詰め物にしたパスタ料理を、山根さんはあえて餃子と呼んで試行することテイク7の料理を披露。いくつかの要素を組み合わせることで別の世界が開けるという相性のひとつの方向を実証していただきました。これに岡さんが合わせた飲み物は、ピノ・ノワールの赤ワインでした。

今日はテーマが「相性」ですが、何を合わせるかを楽しむ会かなと思ったんです。鴨の料理をやろうと。熱々で出したかったのでいろいろやっていたら餃子になった。でも、普通の餃子ではないですよ。料理を作るよりも相性に重きをおいた方がいいと思い、作り方は簡単にします。

中身は鴨のムネ肉、これはモモ肉。モモと皮の部分をトロトロに煮込んだもの。皮の部分がトロトロになるようにブイヨンで煮ました。ゼラチンになるように。わざとモモの部分を炒りつけて少し香ばしい香りを出したもの。ちょっと複雑でしょう。そこにソフリット、タマネギと白ネギを刻んで炒めたもの。最初の重さベースで3分の1まで小さくなっています(それがミソ)。アスパラガスをみじん切りにしてゆっくり火を入れます。凝縮します。うま味のもとになります。鴨のイノシン酸とかアスパラギン酸が合わさる。ダシのベースに昆布水を使うのでグルタミン酸も加わります。

鴨の皮から出た脂を入れます。塩。ブラック胡椒。全卵です。混ぜ合わせます。これはラビオニとか中身をつくる時、僕のやり方ですが、ボローニャでは煮込みの肉とかを詰め物にする時、生の肉とかを潰して入れます。ロースとか煮込みの肉を潰して使うところもあります。生を入れるのは面白い。ハンバーグみたないもので、生肉が凝固する作用で粘りとか出て中身をジューシーに感じさせる、つなぎになってくれる。煮込みだったら、ただ煮込みを崩したものが中に入っているだけであまり面白くない。固まって一つの世界ですが、生肉を混ぜるのは意外です。煮込みの部分と生肉と鴨の液体汁、ブイヨン、脂も入れて詰め物にした。ハンバーグよりはもう少しパスタに近い。鴨のソースも鴨の骨とかを焼いてつくったフォンです。バルサミコ、赤ワインとか入れてスープを作ります。ギョーザの生地は普通の全卵を使わないパスタ。一人前が約30g。ギザギザつけて、包みます。パスタマシーンで薄く伸ばして餃子の皮も簡単に作られる。中華だと詰めるのに伸ばしますが、それは難しい。前に試作したのは003番で、今回は007番目の試作品テイク7です。

ワインと合わせる基本の一つ目は、同じタイプの香りを持つグループで合わす。高橋さんは香りの共通点で合わせていましたね。赤い果実の感じのニュアンスがあるから、そういうワインを合わせるとか、ハーブの香りを持っているワインを合わせていくとか。これが一つ、基本的なやり方です。二つ目は足らないものを補う。生牡蠣にシャブリ、酸味が強いからレモンをかけるかわりにシャブリを使うと酸っぱくなる。ワインの中にはトリュフの香りがする熟成したワインがある。そういうのとトリュフの料理を合わせようというのは一番目。ワインにトリュフの香りがあるなら料理にトリュフをかけないでもいいのではないか。トリュフ抜きでトリュフの香りのワインを合わせる。逆もある。トリュフを使った料理だからトリュフの香りのワインはいらない。足らない要素を補うような合わせ方です。料理を食べた時にバランスとして完成する考え方です。三つ目が「ニュー」、二つが合わさることで予期しない別の世界が開ける。タンニンがあることで油脂が丸く感じられたり、油脂があることでタンニンの角がとれて丸い感じになることもあると思います。そういう感じを出すのかな。口の中でワインと肉が合わさって、それぞれ別々に食べるよりもおいしくなる。補いあうのではなくて、違うおいしさが生まれる。それは何か、この相性のテーマのもとで勉強したいと思っています。

ワインとの相性を考える時、鴨もジューシーさと熱々さを味わってもらいつつ、それに合うものを考えたいのですね。ギョーザにこだわっているわけではなく、鴨のよさ、うま味を組み合わせました。基本的な考え方は、香りを重ねることでうま味がより強く感じられる。うま味が倍加する。そういう感じを狙っています。ソースは鴨のバルサミコが入っているものをベースに、実山椒を軽く振る。オレンジの黄色を入れます。これは香りの相性として山椒と柑橘系がよく合うという取り合わせです。水分は煮詰める。岡さんとのコラボには、できれば何かに合わせる相性を求めるアプローチがあるか、もっと難しそうなものを作って岡さんを困らせるとか、考えられますが、今回は困らないと思います。

盛りつけたら、やっぱり餃子。料理はこれで出来上がりです。鴨の皮の香ばしい香りがします。ハンバーグを作る時、わざと焼いておいた肉をほんの少量ですけど中に入れます。普通に焼いたものより香りが違います。味よりも香りの要素が大きいことがよくわかります。オレンジの香りと山椒の香り、鴨はどこがおいしいのかということを表現して、その状態を作りそれを皮に包んだということです。いかがでしょうか。

 合わせたワインはブルゴーニュのピノ・ノワール。最近ではニュージーランドとか南半球のワインもあります。瑠璃系の赤い色。香りはベリー系をイメージします。ラズベリー、イチゴ、ストロベリー、チェリーなどをイメージさせてくれます。味わいは渋みが強く、酸がしっかり。ラザニアを作っているのかなと思っていましたが、ほんと餃子でしたね。鴨は脂があって肉と骨があって、これにぴったりです。山根さんの説明で一番目のタイプでいくとソースの中にオレンジの香りを吸い込んでいる。オレンジは合うんですね。山椒の実は香りはいいんですが、味が難しいでしょう。刺激的な味になるので山椒を食べてワインを飲むと口の中がシュッとなりますよ。鴨の脂分が山椒の実とあいまって足らないものを補う。二つのものが合わさって邪魔しない。スパイシーな感じをさらに増幅する。うまく考えられた料理だなと思います。白ワインだと鴨の肉の野性的な部分には、ちょっと弱さを感じるかもしれません。好き好きだと思いますが、皮の部分だけ食べると赤より白でも楽しめるのではないかと思えます。この料理、他に合わせられるワインはあるかと問われると、イタリアワインだとサンジョヴェーゼ、トスカーナ地方のワインでも酸味があっていいというイメージがあります。いかがですか?

山根 そのとおりだと思います。ロゼでもいけそうですね。

 ロゼも白に近いタイプ、プロバンス、南フランスのロゼ。特に魚介類はいい。ちょっと濃い目のロゼワインはいいと思います。チリのロゼでもいいし。イタリアにもロゼはありますね。

山根 今日のアイディアのソースにベリー系のものを入れたら香りの要素がもっとあるだろうなと思いましたが、ワインも料理も似たもので通すのは、間違いはないけど…。

 面白くないですね。似たもの同士のグループは。やはり、ニューですね。

山根 日本料理とイタリア料理で香りの出方を比べると、圧倒的にイタリアの方が香りを強く出します。木の芽も使いますが、すごい量なんです。

山口 これ、イタリア料理ですか?

山根 中身はイタリア料理です。山椒はイタリアにはないんですが、グリーンペッパーは似ています。皮はパスタマシーンで伸ばしたし。

 ソースが違いますから。(会場に向けて)白ワインの方がいいなと思った方。赤ワインがもっといいと思う人。やはり圧倒的に赤ワインが多いですが、白もロゼでもいけると思います。ありがとうございます。

「河内鴨餃子」

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