- 定期
![料理の発想ワークショップ part3 7つのキーワードから発想する「麻婆と豆腐」の再構築Program 1:プレゼンテーション+試食 [フランス料理]](https://food-culture.g.kuroco-img.app/v=1774927652/files/topics/720_ext_2_0.jpg)
料理の発想ワークショップ part3 7つのキーワードから発想する「麻婆と豆腐」の再構築Program 1:プレゼンテーション+試食 [フランス料理]
Program 1:プレゼンテーション+試食 [フランス料理]
講師紹介
「ホットな山口麻婆豆腐1」「クールな山口麻婆豆腐2」

麻婆豆腐1と2、2種類つくりますが、7つのキーワードを分解して再構築してつくったものです。材料や分量のルセットはお手元にあります。
・山口麻婆豆腐1は、小籠包をつくるような形になっています。材料はミンチに胡椒と山椒と塩を入れて攪拌します。ジュードプーレ、鶏のだし汁をゼラチン質でコロンコロンになるような状態のブイヨンを用意しました。アパレイユをつくります。ソースはキャベツとタマネギをバターで炒めてブイヨンを加え、野菜が柔らかくなった時点で生クリームを入れて仕上げます。
もう一つはコンディメント、福神漬けのような感じで添えるものを用意したのがクリームチーズを燻製にした生クリーム。クリームを表面積が多い状態の器に入れて燻煙がついたボールの蓋をしてボールにも燻煙がついて生クリームを入れて洗い流すと燻煙のエッセンスが効いた生クリームができます。クリームだけでなく、ジュースに燻香をつけたいものとかをサーモンのソースをかける。これも一つの分解の中のパーツとして引き出しの中に入れておくとよろしい。燻煙の生クリームとフレッシュチーズを混ぜ合わせます。コンディメントの外をシューで表現します。シューは水とバターで、真空パックする必要はありませんが、水とバターを沸かして小麦粉を入れ、ボールに移して卵を入れてシュー生地をつくる。その時にカイエンヌペッパーで辛味を加えることで色的にも辛い色になる。
香味油は山椒のオイルとニンニク醤油に乳化しないと香りが出ない。油に溶けるものと水に溶ける香りが行き来できないのでアルコールを媒体にして乳化させます。油の香りが水に、水の香りが油に移る。乳化した後はアルコールだけを気化させる。突発して危ないので圧力鍋で行います。中では、油と水が分かれて油の蓋ができて水があるのでボンボンとなってアルコールが飛んでいく。すると、香りが思う以上に飛んでしまう。ガストロバックとか気圧をコントロールして沸点調整をできるものを使うと、より香りが残る状態になる。器具の進化は料理の進化そのものだと思います。山椒と醤油の香りがついた醤油はすべてが移ったわけではないのですが、それを使います。その時に出た副産物で山椒の香りのついたニンニク醤油、山椒とニンニク醤油の香りがついたオイルをつくりました。
ラビオリは、手元ルセットにある材料を混ぜて生地にしたものを薄く伸ばして冷蔵庫に入れています。フォアグラのテリーヌは、ガストロバックを使って低温で加熱して流れてしまっていた油脂分をフォアグラの中に止めた状態。なめらかな状態のフォアグラのテリーヌをつくっています。
キャベツのスープをつくります。バターとキャベツと少し塩をする。「塩で火を入れる」といいますが、塩を入れると脱水効果があって炒めるのが早くなる。フランス料理は調味料がないので鍋の中とかで化学反応を起こしながら調味料をつくっていくわけで。色づかないようにして火を入れていきます。



ファルスは、ミンチを入れて塩、胡椒、山椒の粉を混ぜていきます。4分。ミンチから粘りが出てきてつながりがよくなる。混ぜた後、ゼラチン質でプルンプルンになります。ジュースとかブイヨンではなくゼラチン質がある。それを加えていきます。ほぼ4分練ると粘り気が出てきます。点心をつくる時、練っていくことが必要ですね。練ることによってゼラチンの部分をしっかり抱いてくれます。麻婆豆腐の中のうま味の部分とフォアグラをラビオリの中に包み、油脂分が入っているので口の中に入れて「熱い」と味わってもらわないといけない。ゼラチンたっぷり。これだけでも美味しい。豚肉は100%です。また4分間、練って生地にします。練り込んだものを冷蔵庫で冷やして固めたものがミンチのラビオリ生地。これをセルクルの型で抜きます。接着に卵を塗ります。こういう形にします。ここにフォアグラのテリーヌを詰めます。
フランス料理には麻婆豆腐のように熱々のものはなかなかない。敷いて包み込んで熱さを保持した形でフォアグラの脂とキャベツのヴルーテの中に香味オイルを加えることで「熱さ」を表現したい。うま味はフォアグラのもつ油脂の美味しさが口の中に広がっていく。20gのファルスは一口でいけると思います。フォアグラを乗せてラビオリを包み込みます。しっかりと縁を押さえて。粘りが出た状態でつくりあげて。豚のもつグルタミン酸、ラビオリの粉、糖質、西洋料理は3大栄養素を巧みに使って、最大の使命は命を次の世代につなぐこと。食べることはエネルギー補給、カロリーがあるものを美味しいと思わないと、僕たちはここに存在しないわけで。3大栄養素がしっかりあるので、美味しいものになると思います。汗をかくようにキャベが炒まりました。ミキサーをかける。これはヴルーテ系のソース、ビロードのようななめらかな舌触りを表現します。フランス料理の場合、モンテ・オ・ブール、ここにもっている熱で油脂分を溶かし込んでいく作業をするのですが、オイルを熱したものを水分のあるヴルーテの中に入れて沸かします。そうすることで手元で「熱い」ということを表現したい。通常のフランス料理ではないテクニックで、モンテではなく熱を保持させる意味でオイルを入れます。香味オイル、ニンニク醤油、山椒の香り。人間は扁桃体で味覚も香りも分析する。山椒オイルの香りがするだけで山椒の辛味を感じる、インプットされている辛さですね。バニラは甘いと感じるのと同じです。バニラの香りを嗅いで糖度の低いものを食べても甘さを強く感じることを利用する。香りオイルを使うことでコントロールできるか。今後はカロリーではなく、糖質のことがいわれるようになる。油脂をうまく使う。油に溶けやすい香りを水に溶けやすい香りに移すことによって今まで以上に香りを料理に取り込むことができれば、新しい料理の世界が広がると思います。
クリームチーズの中に燻製のクリームを混ぜ込んでいきます。召し上がる時、赤いシューがあります。その中にクリームが入っていますので赤いのを2つ、お好みで召し上がっていただき、熱々のラビオリを口の中に入れた時、僕の麻婆豆腐が出てきます。辛いですよ。燻製のクリームを混ぜ込んだものがシューの中に入っています。絞り袋に入れて。オイルは熱々になったものをキャベツのヴルーテの中に入れてひと煮立ちすることで熱々のヴルーテのソースが出来上がったと思います。熱々のヴルーテが出来上がりました。カイエンヌペッパーを入れて温めているシュー生地のもの。カイエンヌペッパーを使ったのは辛さもありますが、赤い色は普通よりも強まるのではないかと思ったから。視覚による味覚のコントロールも狙っています。シュー生地が沸き上がったところに小麦粉を入れる。ベースのシュー生地をつくる時、鍋肌にこびりつく状態までしっかり入れて、この状態で煎った状態でボールに移して規定量の卵を加えていくとシュー生地が出来上がります。絞って焼き上げたシュー生地に燻香のクリームチーズを加えて、香味オイル、ソースの中に入れた山椒とニンニク醤油の香りのしたオイルを足してカイエンヌペッパーを乗せたものが、皆さんに配膳したシューです。ラビオリは2、3分で湯がけますので、シューのヴルーテを皿に盛って熱々に。ラビオリの中でフォアグラが溶けて脂がにじんでくる。熱々の状態ですが、ラビオリ、ミンチから練り込んだジュースが溶けてきて口の中で油脂と水が広がって「熱っ」という感じです。これで一品目、山口麻婆豆腐1が出来上がりました。
・続きまして山口麻婆豆腐2。牛乳と生クリームの中に葛粉を入れてひと煮立ちさせ、冷蔵庫で固めたものが2皿目の豆腐の食感のなめらかさです。その中に入っている要素は小麦粉と粉糖、カイエンヌペッパーを入れたものに卵白を入れてチュイルをつくる。麻婆豆腐のデザートですね。混ざり合わさったところに澄ましバターを入れてチュイルのアパレイユが出来上がります。相当辛いですよ。チュイルのアパレイユを30分冷蔵庫に入れて生地が落ち着いた状態で薄く伸ばしてシルパット、180℃で色づくほど焼いたもの。辛味のあるチュイルですが、サクサク感がある。シューもサクサク感を狙っています。刻んでいきます。乾燥トマトはうま味の部分ですが、トマトのグルタミン酸が野菜の中では多いので水分を蒸発して味を凝縮したもの。なめらかさを演出したくて豆腐のような状態にします。口の中に入れた時のうま味をトマト、辛さをチュイルに閉じ込めました。辛いのを召し上がってから追いかけるように甘いものを召し上がってください。チュイルは3枚ついています。山椒を上に振っています。デザートの時は香りを嗅いで山椒の香りをインプットしてなめらかさといっしょに召し上がっていただければと思います。これが2品目です。いかがでしょうか。
「分解と再構築」は、料理人にとってそんなに非日常的なことではありません。「熱い」というのは温度が高いことですが、冷たいものでも熱く感じる。逆方向に-198℃、フライにするものを液体窒素を使い、山椒のアイスクリームパウダーをつけたものを上に乗せています。デザート用に熱いのではなく、冷たすぎるデザート。何かの料理を食べて「美味しい」という印象があった時、フランス料理でなく違うジャンルでも自分の料理に取り込むことは常からやっていることなので、「分解と再構築」は違和感のない仕事なのかなと思います。「これは僕の料理です」という料理人がいますが、そんなの、あるのかなと。自分でつくったものも、どこかで誰かがやっていることかもしれない。文化は一人でつくるものではない。いろんなところでつくっているものを、うまく取り込むのが料理の進歩にもつながり、僕らがしなくてはいけないことかなと今回のテーマで改めて認識した次第です。


