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10年目の「だし」サミットProgram 2:プレゼンテーション+試食 [中国料理]

10年目の「だし」サミットProgram 2:プレゼンテーション+試食 [中国料理]

Program 2:プレゼンテーション+試食 [中国料理]

講師紹介

澤田 州平氏
「中国菜エスサワダ」オーナーシェフ
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「新しい上湯(鰹風味の上湯)と鯛餃子」

私は、科学的なアプローチではなく個人の経験と考えに基づいて実演させていただきます。中国料理にはフレンチやイタリアン、和食に比べて添加物や油を使う部分が多くあります。18年間、中国料理界で働いてきましたが、これでいいのかなと思っていまして、そういうところを変えていきたい、和食や割烹に負けたくない。和の要素やフレンチの技法を取り入れ、新しい中国料理をつくっていきたいと考えてきました。今回は和の要素を入れた「鰹風味の上湯と鯛の水餃子」をつくってみたいと思います。

ベースのスープは毛湯(マオタン)です。鶏ガラと豚の背骨をボイルし内臓等の不純物を取り除き、沸かした軟水に先ほどの肉類、香味野菜の白葱、生姜を入れ、灰汁を丁寧に取りながらコトコト炊いて6時間煮詰めていきます。そして完成したものが毛湯です。

先の毛湯(マオタン)を冷まして、脂なしの鶏ミンチと豚ミンチを混ぜていきます。ゆっくりと少量ずつ毛湯を入れて混ぜます。私が修業した広東料理では、上湯がベースで親鶏や豚モモ肉、金華ハムを使った油のないオーソドックスなスープです。上湯を取ったガラでもう一度炊いたスープが二番だしで料理のベースで使われます。

次に鍋に入れて沸かしていきます。最初は肉があたりやすいので、ゆっくりと混ぜて火が入ると肉が浮いてきて灰汁が出る。灰汁を掬っていくと澄んだスープになります。ここに白葱と生姜を入れ、そして半量くらいまで煮詰めていきます。

その間に鯛を材料に餃子の餡をつくります。鯛をサイコロ型に切ってフードプロセッサーで回します。粗めで大丈夫です。ボールに材料を入れて混ぜます。豚背脂、生姜、塩を少々、醤油、砂糖、蓮根を入れて混ぜます。ある程度混ざったところに片栗粉を入れます。これくらい混ざると大丈夫。1時間寝かせて絞めます。

皮をつくっていきます。薄力粉と強力粉に熱湯を入れてざっくり混ぜます。少ない感じの状態で大丈夫です。混ぜたものを台にとり、軽く全体が馴染むようにひとまとめになると1時間寝かせます。それを練って打粉をして丸く棒状に延ばしていきます。延ばしたものを12gずつに切っていきます。

鰹だしの上湯スープは、和食のシェフとコラボさせていただいた時に「上湯と鰹だしを合わせたら意外と合うし、おいしい」と思い、できたスープです。金華ハムと鰹節は、黴が共通項なんですね。黴び付けし熟成させるプロセスが鰹節と似ていまして、これは金華ハムの代わりに鰹節を入れてやれば同じようにおいしくなるのではないかと思いました。

皮の切り口を上にします。手のひらで潰して麺棒で延ばして餡を包んでいきます。沸騰した湯で6分間茹でていきます。昆布だしと同じように清湯を沸かし、枕崎の雌節と雄節が3対4で混ぜた鰹節を入れ、沈むまで待って漉します。中国料理をやる上で思ったのは、添加物を使わずにどうおいしくするか。それには、だしを大切にしないといけない。海老チリをする時もエビのだしを取ってベースにしたり、魚のだしを使って魚を煮込んだり、清湯とか上湯などだしを使うと、うま味がしっかりあるので自然なおいしさ、食材のうま味が生きた料理がつくれます。

では漉していきます。塩で味を調えます。スープを飲んでいただくと鰹の香りが強いですが、昆布とは違ううま味が、後からくると思います。それが肉のうま味です。

このように、フレンチや和食のよさを取り入れて、新しい中国料理をつくっていきたいと思っています。例えば、魚を炒める時でも下味を入れ卵白でコーティングし、メイラード反応を狙って表面を焼き、低温で油通し、最後は強火で一気に炒めあげます。これは和と中華の要素が入っています。

ずっとやってきた上湯スープは親鶏をぶつ切りにして豚モモ肉の塊と金華ハムを入れて火にかけてつくりますが、なぜそういうスープになったのかを改めて考えてみたんです。ミンチ肉からハムを入れた方がおいしいのではないかとか、でも中国は「医食同源」という言葉が生まれた国です。体のことを考えた料理、体調をよくする、病気を治す料理、体のことを考えた上でコラーゲンを摂取する為そうなったのかな、と。今まで疑うことがなかったことを今回、機会をいただいて再考するようになりました。このままで中国料理はいいのか、この方法が合っているのかなど、18年間、この世界にいてあまり考えられる方もおられなかった。和食やフレンチの方々は勉強熱心な方も多いですが、私の周りにはあまりいませんでした。今の日本では、日本の中国料理は本場のものではなく、日本人がアレンジした中国料理です。私は、日本人だからこそつくれる中国料理をとことん追求してつくっていこうと、日々料理に向き合っております。

仕上げです。出来上がったスープに鯛餃子を入れ、完成です。お味はいかがでしょうか。鰹節と中華のスープの相性はどうですか。今までつくったことがなかったものですが、王道を外れているのではないかとも思いながら、和と洋を取り入れてつくってみました。

香港の料理を勉強して、それを日本に持って帰りたいという思いで、貯金をはたいて香港へ修業に行きました。香港は家賃も高いですが、自分への投資だと思って毎日仕事し、いいものを日本に持って帰ろうと。日本にある中国料理と香港の料理は違うのですが、日本の中国料理を変えていきたいという思いだけでした。今は、いろんな人から刺激を受けて、よりよいものができるのではないかと思っています。フレンチのよさ、和食のよさを取り入れて、日本という国で、どういうものをつくっていくか、日本のいいものを生かしていく、そういう中国料理をこれからもつくっていきたいと思います。ありがとうございました。

「新しい上湯(鰹風味の上湯)と鯛餃子」

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