• 定期
「つなぐ」~食が色々なモノ、コト、ヒトをつないでゆく~Program 3:トークセッション 4/4

「つなぐ」~食が色々なモノ、コト、ヒトをつないでゆく~Program 3:トークセッション 4/4

Program 3:トークセッション 4/4

講師紹介

門上 吉岡先生、中国料理も地域で料理はいろいろありますが、この問題にはどういうふうにお考えですか。

吉岡 地方色豊かな料理がその国の食文化を支えているのは間違いないことですが、徐々に崩れていっているのが現状なのです。変わっていくものと変わらないものがあるが、例えば日本にある沢山の伝統芸能、代表的な歌舞伎ですら現在にマッチするように少しずつ変化している。変わらないものは博物館に入っていますよね。ですから、料理が果たしてそのままでずっと生き残れるのかと。要は、食べ物ですから。食文化は、芸術の中でも特異な分野ですよね、生命に関わることですから。そんな中で生き残るということは、全く別の意味を持っているわけです。変わるものと変わらないものとはある程度の線引きがなされていると私は思っています。

門上 川崎先生、食文化と伝統という話が出てきまして、変化の中でどう変わっていくのかみたいなところですね、ご発言いただいてトークセッションを締めたいと思います。よろしくお願いします。

川崎 伝統を残すとか継承するというのは、いつも話題になります。日本料理アカデミーの日本料理ラボラトリー研究会でも話題になります。フランス料理の場合、クラシックがいいんだ、クラシックこそが大事なんだという料理人さんもいっぱおられるし、それをおいしいという人もいっぱいおられる。そういう中で、じゃあ同じものを作り続けることが大事なのか、作り続けられるように食材なり、保存しておかないといけない、というようなことをしないといけないのか、何かそういうことをいろいろ考えさせられるわけなんですね。なぜかといえば、食べ物ですから食べてしまえば消えてなくなるので、食べ続けないと残らないし、作り続けないと残らないというのが食の世界だと思います。
では、伝統とはいつの時代のことを言っているのか、クラシックっていつの時代のことなのかっていうのも多分重要で、何となくこういう話題になると今我々が生きている時代から我々が認識できるぐらいのことしか考えてない気がしていて。つまり大体100年ぐらいですよね、ぎりぎりその世代の人が生きてるか生きてないかぐらいのところで。その先というか、前の古い時代のことってあまり伝統と言わない、クラシックと言わないので、これは科学者だからかもしれませんけど、ではそれって普遍的じゃないなってすごく思ってしまうんですよね。つまり今言っているクラシックってたかだかそれぐらいの時代であって、結局どんどん変わってるじゃないかと。つまりノスタルジーとして単にその時代のものを残そうとしているだけなのではないか。意地悪な言い方をすると、そういうふうな捉え方もできる気もします。もちろん僕は個人的にはそんなことは思いませんけど、何か普遍的な考え方をすると、そうなってしまう。
ただ、残そうとする人もいっぱいいる。つまり変わろうとしなくても、勝手に変わる。地球温暖化は、地球の変化なんか止めようがない部分もあるから、そこで食材も変わる。それを止めようとする人もいるし、それに対して無理やりあかんって言ってもしょうがないんですけれども、そうやってどうしょうもない部分が変わっていく。そうなったとき、残そうと動く人もいれば、変えようと、フードテックもそうですけれども、何か変えないといけないと思い込んでる人もいるんですね。だから、それはそれで放っといてもいいと思うんですけど、変えないといけないと思ってる人と残したいと思ってる人がこうせめぎ合いがあって緩やかに変わっていくっていうのが本質かなと思うんです。自分の価値観でどっちサイドに立つのかっていうのは、それはその時々でいいと思うけれども、重要なことは常に考え続けるということだと思いますね。何が自分にとってベストなんだろうというのを考え続けて、これは進めたほうがいいとか、残したほうがいいっていうようなことで、100年後も豚カツみたいなのを食べておいてほしいなと思うんだったら、残したらいいみたいなことだと思っています。

門上 ありがとうございました。「つなぐ」というテーマでの初回でした。食文化の食べる楽しみっていうことの本質とか考え方がちょっと見えてきたかなというふうに思います。冒頭に申しましたけれども、コミュニケーション、交流っていうのはこういうリアルなことがあって、またいろんなお話が出てきたと。次の回につながっていきます。関西食文化研究会、本当に久々に開催ができて、すごくこう何か楽しかったし、いろんな世界が見えてきたなと。皆さんどうもありがとうございました。

他にもこんな記事が読まれています