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1 theme STUDY vol.02「ラーメンのスープ研究」Program 2:料理デモンストレーション+試食[拳ラーメン]

1 theme STUDY vol.02「ラーメンのスープ研究」Program 2:料理デモンストレーション+試食[拳ラーメン]

Program 2:料理デモンストレーション+試食[拳ラーメン]

講師紹介
山内 健吾氏
「拳ラーメン」店主
メニュー
「拳ラーメン」

和鹿、甘鯛、丹波黒地鶏を主材料にしたベーシック・スープの作り方(スライド上映)とそのスープを使った拳ラーメンを披露していただきました。麺は国内産小麦粉を使用した特製麺です。

私はもともと和食でして、ラーメンの作り方を知らずに居酒屋を経営していたのですが、おでんの機械が店にありまして「鶏ガラでだしをとっている」と前の店主に聞き、そこから創作で鶏ガラを使って今のラーメン屋になりました。和食が長かったので、ニンニクや油、鶏ガラとか動物系は使い慣れておらず、ラーメンにパンチが足りないと悩みながら作り続けていました。京都はとても味の濃いラーメン屋が多く、ヘビーなパンチのあるラーメンがお好きな方には和風のあっさりは不向きです。それを、研究しながらやっと今のラーメンになれたことを公表させていただきます。

拳ラーメンは、鮮魚の甘鯛と鶏ガラだけ、グルタミン酸とイノシン酸だけのスープで和風のラーメンにしていました。それが濃いラーメンの味を求める方には頼りなく、スープを残されるお客さんが多かったのです。毎日限定で特別のスープも作っているなか、フレンチの食材屋さんに鹿のバラ肉を教えていただきました。それをスープに取り、あわせたところ、あっさりしつつ、コクのあるパンチのあるスープになりました。調べるとリノール酸が加わり効果を挙げたようです。そうすると、今までスープを残されていたお客さんが完食されるようになりました。うま味調味料を使わずに作ることが一番の希望で、健康に配慮して塩分も含まずうま味のあるスープを求めていましたが、ようやくできるようになりました。

まず、鹿のバラ骨をガス・スチームコンベクションオーブンで300℃、一気に焼き上げて、それを水だけで24時間、とろ火の100℃で炊き上げると上質のコンソメスープになります。鹿のバラ骨を300℃でしっかり焼くとアクも出ず、うま味もあるリノール酸のスープが仕上がったことになります。

店のそばには京都の中央卸売市場があります。いつも魚屋さんに旬の魚の頭をキープしてもらっていますが、今回は甘鯛の頭。100匹を半分に割り、ガス・スチームコンベクションオーブンで300℃に焼き上げ、弱火で24時間炊きます。それだけではうま味成分は足りないので、羅臼昆布と干し貝柱を入れて炊き上げます。ラーメンは700円とか800円ですから、昆布と干し貝柱を常に使うと原価率が上がります。そこで、スープを取った後に捨てるのではなく、塩ダレに投入して原価率を下げてうま味を出すことを考えました。昆布と干し貝柱が塩ダレを吸って、余計にうま味成分が足されてコクのある鮮魚スープが仕上がるようになりました。

丹波の黒地鶏を仕入れ、胴ガラとモミジ、それにヒネの鶏の切り身を入れてうま味を出すように8時間炊き上げています。8時間以上炊くと鶏は臭みが出るので取り出して氷水で一気に冷まし、冷蔵庫に保管します。

鹿のバラ骨スープ、甘鯛の頭と羅臼昆布・干し貝柱のスープ、黒地鶏のスープを7:1.5:1.5の割合であわせています。化学調味料を使わず、コクとうま味が重なって、遠回りはしましたが、やっと理想のスープが作れました。店では、そのままスープを味わってもらうために具材なしのベーシックのものを、醤油と塩の2種類提供しています。

醤油は生醤油で、引き揚げの醤油を自分で64℃くらいまで火入れして、香りとうま味を損なわないように作っています。2段階の醤油と、小麦を使っていないたまり醤油を足して3種類の醤油をブレンドしますので、コクとうま味が出ています。香味油は、今回は鶏節、鶏の胸肉をスモークして削り香味油に使っています。鶏節はキロ3000円しますので、香味油だけではなく、揚げた鶏節を捨てずにミキサーにかけてペーストにしてかける。原価率を意識して、捨てるのではなくうま味に変えておいしさを倍増することにしました。チャーシューは、豚もも肉10キロの塊をガス・スチームコンベクションオーブン58℃のホットエアで10時間焼いて、しっとりとした、うま味の逃げない仕上がりになっています。それに赤タマネギとメンマとノリ。野菜は滋賀県の農家から直接、有機野菜を仕入れて使っています。麺は平打ち麺。麺の説明は、「麺屋棣鄂」の知見和典工場長からよろしくお願いします。麺を投入します。この麺で1分40秒。その間にタレを入れます。そこにあわせた引き上げ醤油の生醤油を30cc。鶏節の入った鶏の油を入れます。あとは具材。麺が仕上がる前に香りだけの油を最後にかけます。しっとりと。盛りつけます。はい、完成です。

知見 拳さんの麺は、すべて国内産の小麦粉です。北海道産きたほなみ、中力粉で本来はラーメンにむいてない、柔らかいのを、製粉会社各社にいろんな引き方をしてもらって用意しました。この麺に関しては4種類の引き方が入っています。形状は1.9ミリ幅で切っています。平べったい感じの麺です。

門上 国産の小麦粉を選ばれた理由は何かありますか?

知見 近年、国内産の小麦は良質になっており、固いのも取れるようになっています。風味がよくて味はいいのですが、伸びにくかったり、伸びやすかったりするところを、スープに負けない、うまい味を出したいということで、内麦で麺を作らせていただきました。

門上 このスープだからと?

知見 平べったくして、なめらかさを出すのが目的ですね。

門上 この麺とスープの相性はどうですか?

山内 麺とスープのからみがよかったですね。小麦の香りもしっかりして歯応えもあって。柔らかく伸びた時でも麺の味がしっかりとして、おしいですよ。

門上 鶏節も生きていますね。

山内 鶏節はラーメン界では有名ですが、洋食屋さんにはあまり知られていないので、この機会に紹介させてもらえたら、ありがたいなと思っています。

門上 松原さん、ご覧になっていかがですか?

松原 山内さんは、もともと和食の料理人あがりなので細かく仕事をされているなと感じました。鹿肉とかスチームコンベクションオーブンでしっかり落とすのは、機械に頼りながらも知識もあるということで勉強になりました。

門上 では、続いて、松原さん、お願いします。

「拳ラーメン」

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