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1 theme STUDY vol.02「ラーメンのスープ研究」Program 2:料理デモンストレーション+試食[龍旗信ラーメン]

1 theme STUDY vol.02「ラーメンのスープ研究」Program 2:料理デモンストレーション+試食[龍旗信ラーメン]

Program 2:料理デモンストレーション+試食[龍旗信ラーメン]

講師紹介
松原 龍司氏
「龍旗信」店主
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「龍旗信ラーメン」

近年力を入れている、鶏たいたん白湯スープの作り方(スライド上映)とそのスープを使ったラーメンを披露していただきました。麺はオーストラリア産小麦粉を使用した特製麺です。

ラーメン屋をやって15年目に入りましたが、龍旗信のスープは拳ラーメンさんのと同様、あっさりした清湯(チンタン)を専門でやってきました。なぜかというと、こってりとか否定的ではないのですが、好みでいうと豚骨や鶏のこってり白湯(パイタン)系は苦手だったからです。食べてもらって文句のいわれないスープを作らないといけないと思い、スープのトレンドを追いかけなかったのです。けれど、今や日本のラーメン屋さんの5割くらいが鶏白湯を導入し、しかもその工場までできるようになっています。それで鶏白湯の研究を始め、食べ歩きしたり、試作したりして、2年前から導入しました。以前、あるレセプションで、山根シェフから「松原君、ラーメンスープについてどう思うの?」。山口シェフにも「作ったスープは絶対に残されない。ラーメンのスープは残される傾向にあるよね」などと言われました。分量的には300ccくらいあり、麺を含めると1杯のご飯くらいの量で残されると言われたことが記憶に残っていて、こってりの弱点である「もたれる」「重たい」「スープを残される」とか、そのあたりをどう克服していくかが課題でした。そこで、過剰な塩分、過剰な調味料、過剰な油とかを引き算した白湯スープ作りを目指してきたのです。

今回、14年やっているストレートスープを皆さんにも飲んでほしかったのですが、拳ラーメンさんとどっちがうまいかとなると困るので、あえて鶏白湯。これからのトレンド、二本立てのメニューになってくる、鶏白湯のレシピを解いてみたいと思います。

鶏白湯のスープ作りは2本の鍋で、ひとつは鶏ガラとモミジ、タマネギ、ニンニク、生姜を8時間くらい炊きます。下処理、ボイルしたり、水に浸けたりする店もありますが、一発目で上がってくるアクを取りきれば下処理はしないでも大丈夫という考え方です。アクをくまなく取ることによって下処理のレベルはできると思っています。もうひとつの鍋ではゴボウと鶏ミンチと鶏皮、これはスープの片方が8時間になった時に1時間半くらいかけて炊きます。直径60センチの寸胴で、ここにモミジを入れるのはゼラチンとか、とろみを出すため。タマネギは甘味、ニンニクはうま味、生姜は臭い消し。これを8時間炊きます。

炊き上げたスープを大皿で押しつぶしながら漉します。鶏ガラとモミジは30キロ強入っていまして、水35リットル入れて炊き出します。それに鶏ミンチ、ゴボウ、鶏皮を炊き上げたものをブレンダーに入れて粉砕し、スープに足します。スープはこれで完成ですが、鶏白湯では40キロくらいの材料を入れるとこの量になる。40キロくらいの食材で40杯、1杯のラーメンスープに約1キロの具材が入っている。これを計算したら原価率は50%でした。それに、どこでも鶏白湯を始めたのでガス料金がグッと上がっていると思います。うちは狭山店で仕込んでいますが、2年前からガス費用が3倍です。長く清湯スープで頑張ってきましたが、僕は好きで白湯をやったのではない。周りからは「龍旗信らしくない」とスタッフや常連さんの反対もありましたが、もう一方でスープを炊く時代がきたかな、と。若い人たちが来るくらいのものを作らないといけないと思った結果が、40キロで40倍という結果です。

白湯スープは清湯スープの塩分の半分で済んでいます。タレ、油、スープの構造でラーメンスープはできていますが、もともとあっさりスープは塩ダレを30cc入れ、320~330ccのスープを張るんですけど、この鶏白湯スープは同じ塩度の塩ダレ12ccで大丈夫です。鈴木先生から味覚センサーの結果資料をもらい、大量に使っている鶏の体内にも塩分があることに気づいたのです。こってりで濃度が高いものは、たくさんの塩分を入れないとうま味に変わらないと思っていたのですが、その部分は、鶏自体にあるグルタミン酸のうま味がうまくマッチして、いい具合になっているのかなと思います。塩だから、これでいけていると思いますが、醤油とかでは、うま味の塩分濃度が少し違うのかな。ということで、鶏白湯の調理実演に入ります。

最初に、先に8時間炊き上げたスープを抜いてきました。これを漉していきます。この作業が40杯だと1時間半かかります。ラーメンスープは骨の髄までおいしいといいますが、下に残っている骨粉の舌触りが苦手なので、このくらいの目で漉していきます。別のスープ、ゴボウとミンチと鶏皮をなぜ使うか。鶏白湯で、こってりした濃度をつけるのにポテト粉を入れたり、米を入れたりしますが、もったり感が苦手で、どうせなら、鶏の肉肉しいスープにしたいなと。ゴボウのとろみ、デンプンは食物繊維があって、もたれないし、こってりのスープだけど後味があっさり。こってりであっさり感のある鶏白湯にしています。約1分、粉砕します。漉した鶏ガラとモミジのスープを足します。ラーメン業界流行のダブルスープです。鶏白湯のダブルスープはやらないと思いますが。この作業が鶏白湯づくりの中で慣れるのに大変でした。これだけ絞りだして1杯分くらいしかとれません。

鶏ガラとモミジを炊いている時、強火であたると下が焦げて苦味で出るので最初の半年間は3日にいっぺんくらい、40から50キロくらいを捨てていました。こんな大変な作業とは、と改めて思いました。先程のスープに熱を入れます。ラーメンを完成させるのは、タレと油とスープ。タレは14年使っている帆立て貝からとった塩ダレです。鰹、昆布、椎茸でだしをとったところに貝の濃縮したエキスをもってきて塩をあわせたタレです。香味油は、塩ダレをつくる時のムール貝とか帆立てや海老、ダシガラを少しでも使っていこうと。油なので味はいらない。味はしませんが、多少砕くと風味が残っています。それを溶かした油に入れます。使った貝とか海老も砕いていくと油の香りが移るので使えるものは最後まで使って、ラーメンの原価が下がればいいと。これを漉せば油の完成です。店では自家製麺ですが、今日は、「麺屋棣鄂」さんの多加水麺です。麺をうつ時にスープに重きをおきたい。麺はしっとり、もっちり、太くなく。売っている麺に近いものをリクエストしました。麺について説明お願いします。

知見 龍旗信さんの麺は、オーストラリア産のプライムハード小麦100%です。歯切れがいいのと色調が鮮やか。お湯に入れてもらうとピカンと光ります。松原さんはきれいなラーメンを作られるので、色合いを大事に考えました。今回、拳さんと龍旗信さん、あえて同じ形にしました。同じ形状だと仕上がりの違いなどが見てもらえると思ったからです。

松原 鈴木先生の味覚センサーの結果を示す味チャートを見ると、鶏の体内の塩分、うま味が塩ラーメンには敏感にマッチしているような気がします。僕は舌で感じますが、センサーでみられてどうですか?

鈴木 データにももちろん出ていますが、いきなりスープだけのと、麺をからめて食べているのでは味の感じが違いますね。結果として、麺を入れることでバランスがよくなっていると思いました。

松原 通常、ラーメンは油を15~20cc使いますが、僕は油分を15ccくらいで少なめにしています。今日は鶏も別に作ってきてコンフィ調にしてチャーシューとか甘タレに浸けています。スープは甘味とか入れると飲みやすくなる。鶏白湯は2カ月くらいでトッピンクを変えていますが、揚げ物が抜群にあうと思います。今日のは長ネギの天ぷらですが、あいませんか? 薬味は三つ葉を使います。白湯スープにはブラックペッパーもあいます、カレーもあいます。スパイスをあわせておいしく食べることができると思います。ご静聴ありがとうございました。

「龍旗信ラーメン」

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