Program 4:まとめの座談会 1/2
講師紹介


出演いただいた3名で、あらためて集客についてのまとめとなる座談会をおこなっていただきました(進行:門上 武司)。以下は、その要約です。
門上 3人のお話をうかがいますと、ものではなくコトが大切だなと思いました。ところで、薬師寺さん、大ヒットした企画とは別に、失敗もあるんですか。
薬師寺 失敗は、成功の3倍も4倍もありますよ。じつは成功率は20%くらいで、あとは全部失敗なんです。これは売れるぞと思って1日1000食くらい用意したのに300食しか売れなかった、なんてこともあります。そういう時には、ロスを少なくするための手を打ちます。いかに速くものをつくるのを止めるか、材料の仕入れを止めるかに注力いたします。北海道に大好きなカニの炊き込みご飯、カニ飯があります。ある催しで、お持ち帰りのカニ飯を用意しよう、味も関西風にしようと、カニをふんだんに入れてつくったんです。ところが、宣伝用に撮影した写真がよくなかった。カニの爪が5つと棒肉の身が2つしか映っていない。ご飯の中には崩したカニ身がいっぱい入っているんですが、見た感じに全く豪華さが出ていない。爪より棒肉のほうがおいしいに決まっています。そんなことに気づかず、値段は1480円にしました。北海道の弁当は2000円前後しますから絶対に安い。これなら1日150万円は売れるぞと目論でいたら、見事に失敗しました。それ以降、宣伝をどうするかということまで注意するようになりました。おいしさの追求だけでなく、お得感があるか、見栄えがいいか、撮影の仕方まで気を抜かないようにしています。おいしいものを伝えるのは難しいですね。
門上 河内さんのところは、京都に限っても数店舗になっていますし、「マールブランシュ」の商品を扱う店舗は全国に、それに海外へと広がっています。そういう現場の情報はどういうふうに把握されているんですか。
河内 当社にはデイリーレポートというものがあります。社員もパートナーさんも全員が毎日、担当する現場のレポートを自由提出できるようになっています。私のパソコンには毎日300通くらいのレポートが入ってきます。それを365日欠かさず読んでいます。みんなの失敗も成功もあるレポートに目を通し、20から30件を抜粋して、それに私がコメントを書き、お客さまの声を含めて社内報にして全員に届ける、ということを20年やっています。これが当社のキーポイントになっているのかなと思います。
佐々木 河内さんとはよくお会いしたり、遊んでいただいているんですけど、すごいなと思うのは、社員さんがみな同じ方向を向いてはることです。主要メンバーにも面識のある方がいますが、その方々も全員が同じ方向を向いておられる。だから、会社がどんどん成長しているのやなと思いますね。方向性ってすごく大事やと思います。
門上 その背景には、毎日300通のレポートを読んで、フィードバックされている作業を365日やってはるんですね。
薬師寺 すごいの一言です。毎日目を通す。アンサーしていく。そして返すという、そういうシステムをつくり上げていることは、とても真似できそうにないですね。すばらしいです。
河内 私はお菓子をつくれません。以前は北山本店で販売をしていましたけど、今は販売もうまくできません。企画も何もできないんですね。お菓子を一生懸命つくってもらう、一生懸命販売してもらう、そうしたことを応援するしかできないので、この方法がよかったのかなと思っています。決してすごいことではなく、それしかできないのでそういう方法にしているだけです。
門上 薬師寺さんがつくってこられた催事のスタイルはデパート業界のひとつのモデルになっていると思うんですが、後輩にバトンを渡して、次のステージを考えられたりしておられますか。
薬師寺 私が13年前からやってきたことは、もう終わりでもいいと思っています。世の中はすごく動いています。お客さまのニーズは多様になり、それに応えようとするなら、新しい人が新しい考え方で取り組むのがいいでしょう。佐々木さんが言われる「絶対これはしてはいけない」ということ以外は、何をしてもいいのですから。基本は「取引先は大事なパートナー」という考えです。これまで、いろんなところに行きましたが、取引先とは食事したり、酒を飲んだりする機会も多くなります。おごられることもあるわけですから、こちらに来られたらきちんとお返しする。フィフティ・フィフティで、いつもパートナーと思えばいろんな情報が集まってきます。そうすると、いろんなコト要素も生まれ、良いものもつくられていきます。主と従の立場ではいいものはできません。後輩にはそういうことをしっかり伝え、私は自由にやらせてもらっています。
門上 フィフティ・フィフティであるからこそ情報の交換もできる。佐々木さんも、お客さんの情報を引き出すのがお上手ですよね。カウンターだけでなく、どこへいっても情報を引き出してくる。すぐにパートナーになれる。そういう掴みの感覚は、どのように培ってこられたのですか。
佐々木 僕が料理長になったのは27歳でした。対するお客さんといえば、40歳代や50歳代の方ばかり。若輩の分際で料理長になったから、なめられたらあかんと力んでいたわけです。ある人が「いつも恐い顔して立ってるな」と言わはったんですね。それで気づきまして。お客さんはホッとしに来はるのや、力まんでもええ、うちの親父くらいの歳の人やから甘えたらええのやと思ったんです。甘えてみると、お客さんはいい感じで対応してくれて、いろんなことを教えてくれたり、導いてくれるようになったのです。それから後は経験ですね。
料理デモの時も話したと思いますが、若い子にもお客さんと向き合う機会を設けて主役になってもらう。そうして経験を積んでもらっています。
門上 河内さんの場合は、材料の仕入れとかデザインとか、より多くのパートナーシップが求められている立場にあると思いますが、パートナーとはどういうふうに関係を保たれていますか。




