Program 2:デモンストレーション(2)フランス料理
講師紹介
「旨味」と「美味しさ」を区別して考えることが必要。
関西食文化研究会コアメンバー

近年、フランス料理のレストランでは、昔ほど熟成をしなくなった。おそらく経済的な問題もあるでしょう。肉をドライエイジング(乾燥熟成)すると、周囲の乾いたところは全部とってしまうので、材料の歩留りが悪い。また、熟成は、時間と空間、温度、湿度を厳しく管理することが必要で、それが一つのビジネスになっているほど大変なことだから。
今は野鳥でも、なるべくフレッシュなものを出す方が、お客様にも好まれる。あまり熟成させないものが、今のお客様の嗜好と合ってきたのかなと解釈しています。
今日は、ジビエ(野生の鳥獣)の料理で、日本に来てから締めた状態で2週間以上たったペルドロー・グリ(山うずら)を召し上がっていただきます。味見していただくと、熟成の進んだ血や内臓を使ったソースと、あまり熟成の進んでいないものの違いが分かるかと。これは雷鳥。料理すると、とてもくさいんですが、一回食べると、もう一度食べてみたくなる。
ペルドロー・グリのムネ肉に、モモ肉を細かく刻んだもの、シャンピニオン(マッシュルーム)も細かく刻む。タマネギのみじん切りを甘味が出るまで炒めて、その中にシャンピニオンを入れる。シャンピニオンには、旨味となるグアニール酸がたくさん入っている。

僕たち料理を作る人間は、旨味と美味しさを別に考えておかないと、混乱してしまう。旨味は「五味」の中の一つで、美味しさは風味などを加えて初めてできあがるもの。「辛過ぎ」や「甘過ぎ」があるように、「旨過ぎ」というのがある。旨味が強ければ、美味しいわけではない。美味しさを作り出す要素として、香りや食感などがある。
今日は野菜の持っている甘味やブドウのジュースの酸味を加えることで、酸味や旨味などのバランスをとっていく。火加減が難しいが、皮が十分に色づいたら、身は少し熱をあてる程度で中を焼き上げる。フォアグラは、少し表面に焼き色をつけ、フォアグラ自体が持っている糖質を熱によって溶けるものに変え、あとはブドウのジュースで甘味の部分を作る。塩胡椒で調味し、ファルス(肉詰め)の形で使う。ソースは、血を絞り出しや後、そのガラを炒めてジュースをとり、そこに絞り出した血とレバーを加えたもので作る。
フォアグラを焼く時は、皮を焼く時より加熱量を多くしないと色づかないし、油だけがどんどん出ていってしまう。野菜を加熱する時も、温度がまた違う。また、旨味だけではなく、酸味や塩胡椒で少し苦みもある。そういうものが全部合わさって一つの料理になっている。
今日のプログラムで、旨味と美味しさの違い、熟成によってできるものと短時間でできるものなど、違いが区別しやすくなったのではと思います。


