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「油脂」Program 2:料理デモンストレーション[フランス料理]

「油脂」Program 2:料理デモンストレーション[フランス料理]

Program 2:料理デモンストレーション[フランス料理]

講師紹介

山口 浩(やまぐち ひろし)氏
「神戸北野ホテル」総支配人・総料理長、
関西食文化研究会コアメンバー
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「鴨モモ肉・ジャガイモ・タマゴ(卵黄)の3種のコンフィの取り合わせ」

フランス料理はソースの中に油脂をたくさん入れ込みます。仕上げにバターをソースの中に入れてコクを作り込んできたんですが、ほとんど今は、そういうことをしなくなってきています。あえて本日は、フランス料理で油はどういうふうに使っているか。油の特性を知ることによって加熱をする媒体として取り上げて、油の性質を考えてみました。

まず、鴨のモモ肉に塩をふります。肉の重量の1.2%の塩と0.1、2%の胡椒。12時間~18時間ほど香辛料と一緒にマリネするんです。塩で脱水が起こり味が凝縮していきます。グレスドア、つまり鵞鳥の油の中につけてコンフィにします。90度~95度くらいでローズマリーとかニンニクを入れてじっくり火を入れていきます。油の中に食材を入れて加熱しますと、油は旨み成分を溶かしこまないけれど、水分と鳥がもっている油分が油の中に溶けだしていきます。オイルには香りがつきやすいので、長時間火を入れていくと、漬けこんでいる香りがどんどん油にしみ込んでいきます。その状態にしたものをほぐして、召し上がっていただいた時にニンニクの風味、香辛料の香りがちゃんと移って味が凝縮していると思います。

ジャガイモは火入れの仕方を2つにしました。1つは薄切りにして、1センチくらい、お米の長さにして同じようにコンフィしました。オイルの中にバニラを少し入れてバニラの風味をジャガイモに移そうと。ポテトのご飯仕立てにするために、硬めのジャガイモを90度を越えるオイルの中に入れていきます。水分を含んでいないので、柔らかくなりすぎない利点があります。これを裏ごしすると、厚みがあり、一粒一粒がご飯に似たような状態になります。これにコンスターチをまぶしてペーパータオルで余分な水分を吸い取ります。このまま蒸気で蒸します。もう1つは、潰しポテト。湯がいたジャガイモをコンフィにした後の状態で、少し潰して塩胡椒で味を整えます。これで、2つの違う食感のジャガイモができあがります。

加熱媒体として油を使い、でき上がりでは油を落としていますので、摂取する油はほとんどないと思います。コンフィができ上がったあとオイルの温度が高い時は、粘度がそんなにないので、油をきれいに落とすことによって、浸透圧が起こりません。味が凝縮された状態で肉の中に味がしみ込んで、香りが移った状態になるということです。

タマゴを目玉焼きした時、白身はちゃんと火が入っていても黄身はとろけます。それをつくる時にオリーブオイルの中に卵黄だけを入れ、50~55度で火入れ。64度を過ぎるとだんだんタンパク質が固まるのでタマゴが凝固しない温度帯に注意します。油は水よりも熱伝導がよいためにその熱を油が吸収してタマゴに伝わりやすいのです。浸透圧の関係で、タマゴから味も流出しにくいのもよい点です。盛りつけをする時にも水臭さはありません。お好みによって、香辛料を入れることで卵黄の中に香りも含ませることかできます。塩を入れておけば、ゆっくりした時間の中でタマゴに塩味を伝えていくことかできます。面白いなと思いまして、皆さんにご披露したいと思います。

鴨のモモ肉のコンフィは、丼のイメージをしていただけるとよいと思います。親戚丼です。この料理の中には加熱の媒体では使いますが、あまり油脂が含まれていません。食べ比べができないなと思いまして、カンパーニュのパンにバターを塗って、これをフライパンで焼いて香ばしく。加熱によってバターが焦げて、おいしさが増します。丼にはバターやオイルは入ってないのですが、添え物として使うことによって油脂のおいしさを味わっていただこうと考えています。

セルクルの中にシグレットを入れ、余分な油を取ったタマゴを上に乗せます。少し食感が出ますので、パンをつけて。今日は上にトリュフの塩で香りも楽しんでいただきながら召し上がっていただけたらと思います。今回は、こういう形で、油の解釈の仕方を加熱するための媒体、味を凝縮するための道具、香りを移すために食材、調味料として使ってみました。

「鴨モモ肉・ジャガイモ・タマゴ(卵黄)の3種のコンフィの取り合わせ」

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