Program 3:講座とディスカッション「料理のサイエンスQ&A」<全記録>
講師紹介
Q5:B級グルメについて
- 料理のサイエンスから見た、高級料理といわれるカテゴリーとB級グルメのカテゴリーの味の構成の違いの説明が可能ならお願いしたいと思います。
- うま味を単純に重ねるだけで料理の完成が進むのかというと、そうではない。料理を作っていく中で引き算ですね。単品とコースの違いによって起承転結をしたりとか。作り方が違うことはわかっているんですけど、ご説明をお願いします。
Answer(1/2)

この研究はありません。僕の仮説が多分に入っています。とはいえ、こういうことに興味があるので考えさせていただきました。
B級グルメの定義は何か。ないんですね。B級グルメを想像されると人によって違うと思います。ウィキペディアでは、B級グルメとは安価で日常的に食される庶民的な飲食物、とあります。安ければいいのか、ということになります。同じメニューをとっても、豚骨ラーメン、豚骨も入っているがアサリを入れてみると上品な感じがする。四川料理のタンタン麺。タンタン麺はB級グルメではないですね。高級店でタンタン麺2500円ですよと、少なくとも安くはない。で、値段だけではないなと。他にB級グルメというと、関西では、お好み焼き、焼きそば、焼きとり。人によって共通の部分とこれは違うだろうというものが出てくる。

仮説ですが、成分で考えてみたいと思います。
食品の主要成分では、栄養学的な話ですが、3大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)があります。まず、炭水化物、澱粉です。澱粉は糖が長くつながっています。炭水化物は味がないんです。ご飯を口に入れて、その瞬間は味がない。よく噛んで唾液のアミラーゼで、澱粉を分解してグルコースにして初めて甘味を感じます。甘味を感じるのに時間差があります。コンマ何秒の違いか出てくるはずです。
タンパク質はアミノ酸が長くつながったもので、タンパク質を分解してアミノ酸にして初めてうま味が生ずる。熟成の食品はうま味が強いということです。脂質も味はありません。味のないものをたくさん食べつづけることはできません。例えば、小麦粉という炭水化物は水で練っただけでどれくらいの量を食べられますか。積極的に食べたとしても、多分、20や30グラムで飽きる。そこへ、だしを入れる、調味して、うどんのかたちにする。一人100グラム以上は食べられる。
だしと醤油とか調味料を入れることは何か。調味料とは、基礎栄養成分を積極的に摂取させるようにシグナルを付与するもの、と定義できないかと思います。ヨーロッパの料理には調味料がないといいましたが、日本人が考える調味料は塩とか、醤油、味噌とかうま味を含んだもの。ヨーロッパではそういう調味料はない。イギリス人はカレー粉にしたり、ウスターソースにしたりが得意ですが。コンディメントはフランス人やイタリア人は実は厨房の中で一からやっている。大きい考え方でいくと、調味料を作っていることではないか。調味料の中でメイラード反応が入ってきたり、うま味成分がある濃度で入っているということは、厨房の中で濃縮してうま味を強くするとか、焦がしてメイラード反応を作っていくことは、調味料を広い意味で、基礎栄養成分をたくさん摂取させるものを作っていくことではないかというのが僕の考えです。これが僕の調味料の原理原則の仮説です。


