Program 2:料理デモンストレーション [フランス料理]
講師紹介
関西食文化研究会コアメンバー
「高坂地鶏の蒸し焼き」

今からつくる料理は、フランス料理の歴史に名を残す偉大な料理人のひとり、アレクサンドル・デュメーヌの蒸し鶏料理です。彼は「ラ・コート・ドール」の料理長で、戦後、一世を風靡された料理人です。その後、いろんな料理人が、この料理を引き継いでいます。川崎先生がいわれた分解して再構築する手法については、1970年代後半からずっと取り組みがされていまして、もちろん、この料理でも現代につくる場合にはそうした部分が現れてきます。僕はフランスで学んで、それを1991年、日本にもって帰ってきたんですが、当時、フランス料理はバターとクリームという時代です。土鍋で時間をかけて蒸し上げる料理が日本で通用するとは思えませんでした。けれど、それから約20年経って、こうした料理もようやく価値がわかってもらえるようになりました。
そんなに難しい料理ではありません。ただし、お金はかかっています。鶏は、北丹波農園の高坂さんが大切に育てられている高坂鶏を使います。脂ののり具合もブレス鶏と似ている感じです。こうして、フランス産ではなく地の食材を使い料理できるようになったのも、近年のことです。この鶏をコニャックとポルト酒を鍋に入れてアルコール分を飛ばします。そこにトリュフジュースを混ぜこんでマリネする。トリュフの中でも最高のものを使っていますから、材料だけでも既にン万円。スライスして、鶏の皮の間に手を入れて香りを移し、ブランデーの香りもまぶして、1週間くらいマリネします。
さばく時に内臓を取り出すんですが、レバーは残しておきます。フォアグラ、野菜はポワローと人参と蕪。それらを千切りにしてから蒸しました。レバーは、殺菌の意味を考えて表面だけ焼きます。フォアグラは新鮮なもので、本日は表面だけソテーしますが、通常は生のまま使います。



漬けていたものを上げ、マリナードは抜いて後で使います。フォアグラとレバーと野菜、塩コショウして、千切りしたトリュフもこの中に入れます。マリナードも入れて混ぜ合わせ、そして鶏の中に詰めていきます。この料理法が面白いのは、壺の中にジュースがあり、鶏のだし汁、ジュ-・ド・ヴォー、子牛の肉からとった汁など、ずっと炊き足しているものが、この下に入っています。
壺の中の台に鶏をおいて、蓋をし、濡れ布巾で蒸気が漏れない状態にして縛り、約1時間15分程加熱します。中では、コトコト、水蒸気蒸留が起こっていて、だしから出ている香り成分が中で対流し、「蒸す」ということのおいしさと、その中でメイラード反応が起こらないものをつくっているという、その意味では、すごいなと思うような料理です。
どうしても鶏肉はパサつきますので、油脂分があるポテトをつけて召し上がっていただいた方がおいしいだろうと考え、付け合わせは、ポテトのピュレです。ポテトと海老芋を半分半分にしたものでつくって少しバターとか牛乳が入るんです。試食用は、真空パックで加熱したものを召し上がっていただいています。初めての味だと思いますが、どことなく懐かしい味がすると思うんです。
店では、壺は、お客さまの前で開けます。パフォーマンスによって、おいしそうな雰囲気をつくることも料理をデザインする要素だと思います。開けると湯気が立ち上って、すぐにお客さんに香りを嗅いでいただくんです。油がしっかり乗っているので、ドンドン出てくるんですけど、これも大変おいしいです。
トリュフも添えて、壺の中に入っているソースをさらにかけて。この量は贅沢ですね。普段は調理場で処理してしまうもので、あまりお客さんのところにいかないのですが、こういうふうにするとお客さんにも召し上がっていただけるのですね。


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