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1 theme STUDY vol.01「うどん研究」Program 1:講義:「うどんも、だしも」~レッツ!こんぶ!!~

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Program 1:講義:「うどんも、だしも」~レッツ!こんぶ!!~

講師紹介

喜多條 清光(きたじょう きよみつ)氏
昆布問屋代表

本日は、大阪と昆布の歴史は端折りまして、昆布そのものの話をさせていただきます。会場の皆さん、日頃使っていただいている昆布の値段が1キロ2000円を超えていますか。というのは、 2000円以下だったら今から話す意味があまりない。それはなぜか、というところから話を始めます。

昆布はどこからだしが出るか。表面からではなく、断面から出るのです。どの程度出るか。1枚の大きな昆布をそのまま使うのと、1ミリに切って小出しで使うのとを比べてみました。1種類の商品で同じものを半分にして、片方は大きいまま、片方は1ミリにして、10グラムずつを1リットルの水に入れ、うま味成分が24時間後どれだけ出るかを30回調べました。その結果、1ミリに切ったもののうま味成分は、大きいままに比べて137%になりました。分析していただいたのは食品分析センターです。ただ、1ミリに切る加工賃が少なくとも1キロ800円近くかかります。2000円以下だったら細かく切る費用を800円かけた意味がない、それで2000円で線を引いたわけです。

今、世界では昆布が非常に注目されています。なぜか。2000年、味覚は5つあると世界は認めました。それまでは4つ、甘味、塩味、酸味、苦味。そして2000年に確定されたのは、うま味です。このうま味は1908年、池田菊苗博士が昆布からグルタミン酸を見つけて発表したものです。グルタミン酸はうま味の元、そのグルタミン酸受容体が舌の味蕾にあることが2000年に発表されて、ようやく、うま味が認められたのでした。そうして、世界では昆布のうま味に関心を高めています。ところが日本では、逆に昆布は使われなくなってきています。特にだし昆布が使われなくなっています。

私が昆布屋になったのは40年前。その当時、日本で生産された昆布は3万トンといわれていました。戦争以前はサハリン、南樺太が日本の領土でしたから、8万トン近くの昆布がとれました。その昆布はすべて順調に消化され、場合によっては足りない時もありました。ところが、去年は1万4800トン、今年は1万7000トン近く。私が昆布屋になった当時に比べても半分です。それがまだ残ろうとしている。残る理由の大半がだし昆布としては使われていません。佃煮昆布、トロロ昆布はそこそこ売れています。だし昆布の需要が日本では急激に落ちています。3万トンというのは干した状態で3万トンです。ほとんどの乾物は干したら10分の1になると思って間違いないと思います。本日、持ってきましたこれは、羅臼昆布の現物です。海の中では茶色です。この大きさ、ここが根っこ。根っこの部分で岩にしがみついています。栄養分、胞子はすべて昆布の表面からとります。ワカメはここにメカブがあって、ここから胞子が出る。こういう感じで海の中で育っているのです。

だし昆布が使われなくなった理由は3つ挙げられます。昆布問屋の団体でアンケートをとりました。それまでは「どこで買いますか、どのように使いますか」などプラス方向でのアンケートでしたが、マイナス方向のアンケートをついにとりました。その結果、わかったのです。一つ目は「だしの使い方が難しい、わからない」。二つ目は「家で和食をつくらない(昼食、外食では食べるが、家食ではつくらない)」。三つ目は「だしをとった昆布を捨てるのがもったいない」。この三つ、確かにそのとおりだと思います。

昆布の一番おいしいだしのとり方は、前の日から水に浸しておいて60℃で40分、ゆっくり煮出す。利尻昆布、羅臼昆布、どんな昆布でも、このとり方でやると一番おいしいだしが出ると思います。ただこれが、たくさんお使いになるところに進めていいかどうかは別です。でもこのとり方が考え出されたのはすばらしいことだと思います。それと昆布を買われる時、何々産の一等、二等、三等とか表現されています。一等、二等は何を意味するか。はっきりいいましてサイズです。品質を意味しているわけではありません。1枚の大きさ、重さです。今日は真昆布、函館近辺のものも見本で持ってきました。平成16年産です。どこで見分けるか、ラベルを見てみましょう。ここに北海道魚連のマークが入っています。これが北海道の生産者が魚連を通してつくった昆布です。すべての産地の昆布に証明書がついています。産地によっては5キロ、8キロ、10キロ、15キロ、20キロと種類別であります。判子がついています。今日のは二等。等級分けは紐の色でみます。グリーンが一等、赤が二等、紫が三等、黄色が四等です。そういうふうに分けています。産地はここにあります。白口浜、尾札部産など。ここには漁業協同組合の名前が入っている。これでわかります。品質はどこでわかるか。ここです。何とか産地、走り、後獲など。走りというのは旬。収穫に向いている時期です。走りに対して後獲、後からとる。「午」の場合と「後」を書く場合がある。収穫時期が遅れていることを意味しています。走り傷はとる時に傷がいったもの。人の手で昆布をとっていますから傷がつく場合がある。干す時に疵がいく場合がある。すると、等級は落ちます。「白」というのは乾燥する時の天気が悪ければ粉ができる。その昆布は「白」という表現です。品質、グレードを表すのは走り、後獲で表す。等級は産地でとれた昆布の大きさ、幅、長さ、長さは場合によっては同じ長さに切り揃えます。日高昆布は105センチで切り揃えます。尾札部昆布は折り曲げますから1枚になります。決して等級だけで品質を表すとは思わないでください。

主婦の方にこういうもので話をします。うちの会社がブレンドした1ミリに切った昆布です。「これを昆布水にしてください」といいます。単に10グラムを水1リットルに浸けてうま味水として使う。山根シェフは早くから昆布のうま味を使いこなされています。昆布屋も昆布水を使うのは、ごく最近でしか気づきませんでした。山根シェフに後で教えていただきたいと楽しみにしています。お手元に配りましたのは、①、②、③、④と番号を打った昆布、1ミリに切って10グラム。あえて商品の名前を書いていません。全部違うものです。よかったら、このまま昆布水で使ってもらうとか、普通にだしをとって鰹節、いりことあわせる。このまま佃煮にされても結構です。種類は4種類、全部、北海道産です。どれがどれであるかは、後日にホームページに発表されます(下記参照)。まず、先入観なしに昆布を使ってみてください。

完成した料理を商品として出す場合、昆布でだしをとったものがすばらしくおいしくても、できあがりが必ずおいしくなるとは限りません。私自身も料理が好きですから、いろんなことをやりました。おでんとかいろいろつくってみました。おいしいだしができたところに、おでんを入れたらどんどんまずくなって泣きたくなるような経験を何度もしました。皆さん方がお客さまに出されるものは昆布だしを出されるのではない。うどん屋さんなら、うどんを出す。そのお手伝いをさせていただくのが我々昆布屋です。そのために、まず使っていただく方にはいろんな昆布があるんだということをわかっていただきたいのです。もしもだし昆布を使っていない方がおられましたら、どうぞそのハードルを下げてください。このように1ミリに切ってある昆布を1リットルの水に3時間以上つけていただいて、できあがった昆布水を水代わりに使ってみてください。ご飯を炊く時のご飯の水を昆布水でやってみてください。レシピを読み替えてみてください。水というのを、昆布水に置き換えてみてください。和食でなくても結構です。カレーでも水を昆布水に置き換えてみてください。1リットルの水に10グラムの昆布で昆布水ができると申しています。ただ、だしガラを、そのまま放っておくと2日するとカビが生えてきます。私は、エキストラバージン・オリーブオイルにだしガラを漬けこんで混ぜておきます。そうすると3週間は保ちます。知らずに冷蔵庫に入れておいたら真黄色に固まりました。固まったおかげで昆布をいっしょにつくって料理することができました。オリーブオイルは黄色になって固まっても品質が落ちるというわけはないそうです。

本日は皆さんといっしょに勉強させていただくつもりでまいりました。先程の昆布の種類の回答は1週間後に事務局でホームページで発表していただくそうですので、何かありましたら、その時にお話させていただきます。ご静聴どうもありがとうございました。

当日、会場で配布しました昆布4種について、喜多條 清光さん(昆布問屋代表)からの解答です。
名称収穫
年度
天然/
養殖
産地等級容量概算単価
(1kg)
① 真昆布平成24
年度産
天然黒口浜
瀬田来(せたらい)
加工用1等1mm
カット
10g入り
約4,500円
② 羅臼昆布平成24
年度産
養殖羅臼産傷2等約4,000円
③ 利尻昆布平成25
年度産
天然稚内産走り4等約3,500円
④ 釧路昆布平成25
年度産
天然昆布森産長3等約2,500円

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