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料理の味を引き立てる「香り」Program 2:料理デモンストレーション+試食 [イタリア料理]

料理の味を引き立てる「香り」Program 2:料理デモンストレーション+試食 [イタリア料理]

Program 2:料理デモンストレーション+試食 [イタリア料理]

講師紹介

山根 大助(やまね だいすけ)氏
「ポンテベッキオ」オーナーシェフ、
関西食文化研究会コアメンバー
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「菜の花とブッラータチーズを詰めたメッツァルーナ 香りの多重攻撃」

菜の花の素材にある青い香り、各種のチーズや生ハムの乳酸発酵による香り、そしてスモークによる燻製香。こうした多重の香りをラビオリの一種メッツァルーナに詰め込み、時間差で楽しめる仕立てを披露していただきました。

まず、菜の花の香りオイルをつくろうと思います。菜の花とオリーブオイル。それに、昆布水、昆布を一晩水につけておいた水です。真昆布を使います。フードプロセッサーに入れます。あまり潰しすぎると漉せなくなるので大体潰します。これを鍋にかけます。昆布は菜の花とあわせると、菜の花の味が強く出るけど、昆布の味が強く出るという感じはしないのですね。野菜でも肉でも一緒にあわせるものの香りとか味が引き立つような気がします。弱火にかけて炊いていきます。一旦、菜の花の香りを出して、オイルに移したいのですが、少量の水分に溶けて、さらに水をあわせることでゆっくり香り成分が油に移っていくのではないかと。オイルが緑色になるように。その間にチーズをスモークにかけます。

プロヴォローネは南イタリアの代表的なチーズです。適当にカットして並べます。削りやすいようにするには少し乾燥した方がいい。チップを固め煙を出します。振りかけたのは紅茶です。火の上は熱いので火から遠ざけて蓋をします。スモークが弱い時は2回、ゆっくりと。簡単にスモークができます。そのまま冷蔵庫に入れ、冷燻に近い状態にします。

次にオリーブオイルをフライパンに入れます。ピューレ状のものを料理に使う時はある程度水分がないと漉せませんが、水っぽい感じがするので、できるだけ水分を加えないで菜の花を昆布水とオリーブオイルでつぶしたピューレです。さらに煮詰めたい時、オリーブオイルの中でピューレを炒めます。いろいろやってみました。トマトソースをオイルの中で煎り付けるように炒める。あまり入れていくと色が飛んでしまうので、一回休めます。少し冷やしてスーパーバックで漉します。たいがいのものを絞っても異常なくらい細かくて丈夫な素材でできています。あまりたくさんピューレが入ってオイルの割合が減ると鍋にピューレを煮詰めているようになるので、そうではなく、オイルの中で揚げるようにする。香りが出ます。こうするしか香りを濃くする方法はないなと思って、よくやるのはアスパラガスのピューレ。アスパラガスも水っぽいピューレしかできないので、こういう方法をとります。焦げないように。これでかなり最初のピューレの状態に比べると水分が煮詰まって香りが出たと思います。香りが強いピューレです。ちょっと冷します。

今日は詰め物のパスタをつくりますので、ファルスをつくります。ブッラータチーズ。普通は中まで詰まっているのが、これは中がぼよぼよで柔らかい。ブッロというのはイタリア語でバターのことです。バターみたいなとろとろのおいしいチーズ。適当に刻む程度で、あまり細かくなく。ブッラータを刻みました。パルミジャーノを50g、ピューレが130g、全卵を入れるのはファルスが固すぎるのでちょっと溶けるものがほしい。ピューレを入れることで香りや味も大きいですが、あまり固めたくないのでピューレを入れるとファルスに火が入っても柔らかいままなんです。菜の花の下の方は処理して先のおいしいところに塩少々、真昆布でつくった昆布水を少々。蒸し煮にします。パスタに塩と胡椒。イタリア人は胡椒をあまり使わない。僕の知る限り、イタリア人は白胡椒を使わない。黒胡椒です。香りは黒の方が強い。鷹の爪を使う料理には胡椒は使わないですね。

パスタを詰めていきます。配合はレシピにあります。特徴として、じゃがいもを練り込んでいます。その理由は中身がとても柔らかい詰め物です。生地が歯応えのしっかりした腰のあるパスタだと麺しか残らない。中と外のバランスですから、この場合の生地はもちもちとして食感が強すぎない、腰がやや柔らかい感じの方が合います。卵を入れます。色がきれいに出ます。詰め物を入れ閉じていきます。三角に折って空気が入らないように。麺は湯がくと少し大きくなるので、一口で食べられる大きさのがおいしい。詰め物パスタは内包する料理だから切ったらあかん。具材の多い詰め物パスタもあかんと思います。香りですよね。香りは散りばめてあります。三角に折る、指を使って押し出す。できたものから半月に抜きます。200人前で400個ですよ。綴じ目をギュッと、きれいにつくっていますが、イタリア料理はあまりきれいにつくりすぎるとおいしくなくなる。歪な、揃ってないところ、不揃いであることもおいしさの一因になりうるんです。前に川崎先生からホモとヘテロの話がありましたが、全く同感です。デザインもそうですが、バラバラ感、混沌としているのがいい。均一であると食べ飽きるのでしょうね。ブッラータもあえて粗く切ったんです。

地味な作業しながら。OK、できたね。もっている水分で火を入れるのがおいしさです。おいしくするのは素材をみて、香りも、これは水分を抜いてやった方がおいしいか、それとも水分の量を変えない方がおいしいか。水分を増やしておいしいものは少ないです。もともともっている水分量を変えないのも一つ。アスパラガスを凝縮すると干物みたいになる。ジューシーに食べられるのがおいしい。茹でて水っぽくしたのもおいしくない。こういう火の入れ方が丁度いいと思います。麺を湯がいていきます。塩を約1%入れて、茹でます。その間に焦がしバターをつくります。

たくさんつくる時は、澄ましバターの状態になったら脂を少しとります。乳性の部分をとりたい。焦がしバターをつくるのに、澄ましバターも少しつくる。じゃがいもをスライスしたものをゆっくり煮るのに結構、澄ましバターがいるんです。あまり焦がしバターを使ってなかったので、澄ましバターをとった下の牛乳みたいなの乳性の部分の使い道がなかった。焦げるところでこれに使ったらいいのやと思いつきました。パスタのソースのベースは昆布水です。そこに菜の花のオイル。パスタは麺が固すぎてもおいしくないので。オイルの上澄みをとる。沈殿の部分も苦みもなくておいしいので使っていいと思います。むしろ入った方がパスタはあえやすい。その代わりバターを入れて、からめるんです。からめるのもソース状にパスタの場合はつなぎは柔らかめです。水分が下に残るくらいがいいです。そこにパルミジャーノを。イタリア人のお約束で、かけることになっているのです。これで香ばしくなって甘さを連想させるバニラとチーズの発酵の香り。いきすぎる時には昆布水とか液体を入れて止めます。さらに、お待ちかねスモークチーズ。このチーズを削るのが大変です。盛り付けが難しいな、困ったなという時は上からチーズをかけます。結構、かっこうがつきます。はい、こんな感じです。

香りがテーマなので、まず菜の花の香りをオイルに移して、それを生かしたこと。食べていただくとわかりますが、最初にスモークチーズ、生ハムとかチーズの発酵の香りが次にくる。菜の花はピューレで焼いた香りを移していない状態。それとスモークの香りがあわさると、連想としは野菜を直火で焼いた時のような香りを感じる。香ばしさもある。メイラード反応です。分析したらいろんな要素が入っている。メイラード反応、発酵臭、油に溶ける香り、結構そういうことなのかなと。以上です。

「菜の花とブッラータチーズを詰めたメッツァルーナ 香りの多重攻撃」

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