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「料理と飲み物の相性」Program 1:講義:料理人のための「料理と飲み物の相性」のサイエンスとデザイン 2/2

「料理と飲み物の相性」Program 1:講義:料理人のための「料理と飲み物の相性」のサイエンスとデザイン 2/2

Program 1:講義:料理人のための「料理と飲み物の相性」のサイエンスとデザイン 2/2

講師紹介

川崎 寛也(かわさき ひろや)氏
農学博士

<シェア>共通の香り成分を持つと相性がいい可能性がある。Foodpairingで検索すると出てきます。ある会社がこういう提案をしていて、ある機械を使って香り成分を測定する。同じ香り成分を持っているものは相性がいいという前提でグラフをつくる。ローストチキンに関して同じ香り成分があるものはヨーグルト、ゴルゴンゾーラ、サラミ等々同じ香り成分とかと合わして試してみたらどうかという提案です。しかし、これだけで決められるものではないと思います。共通だからいいというわけではない。料理人は今までの経験で合わせようとしますが、その前提を外す、自分の先入観を外して試してみるといい。

<ドミナント>これは新しい概念で、どちらもがドミナント(優勢)だと嗜好性が低くなる。いろんな料理に対していろんなワインを合わせた時、そのバランスと嗜好性を調べたデータです。バランスがワインに優勢になりすぎたり、料理になりすぎたりすると嗜好性は下がる。どっちも強くない状態の方が、嗜好性が高いという実験です。もうひとつ、時間変化をみたデータです。横軸が時間で、最初はワインの酸味がして、ベリー風味がしてアルコール感がある。その後、ブルーチーズだけを口に入れ、最後にいっしょに食べてみた。全部合わせることによって、えもいわれない違う感覚になった。ベリー風味とか、アルコール感、酸味・塩味だけでは表現できない何かを感じていると考えられます。

以上、相性の「要素」の分類案です。さらに、相性の「ルール」がないかを考え、3つにまとめてみました。
*図2:全体としての印象に関する相性のルール

*図2:全体としての印象に関する相性のルール

<COMPLEXITY: コンプレキシティ>複雑さ。ある程度短い間にさまざまな感覚や風味を感じることが複雑さになる。口の中に入れてパーッと変わっていくのがコンプレキシティ。<HARMONY: ハーモニー>ただ複雑だけではだめで、一体感が必要。そして<BALANCE: バランス>ドミナントが偏っていない、バランスがいい。この3つがルールとして提案できないかと考えました。あくまで提案ですから、皆さん方からご意見をいただきながら網羅していきたい。他にあれば入れていきたいと思います。

最後に、相性のフレーバーデザインについて。料理をどのようにデザインすればいいか考えます。
*図3:相性のフレーバーデザイン
*図4:Non-alcohol相性のフレーバーデザイン

*図3:相性のフレーバーデザイン

*図4:Non-alcohol相性のフレーバーデザイン

まず、バッドフレーバーは避けましょう。方針を選択するとき、ワインはウォッシュさせたいのか、シェアさせたいのか、ニューにしたいのか。そして、何をドミナントさせるのか、バランスをとるのか。複雑なものにするか、シンプルにするか。という考え方で料理と飲み物の相性をデザインできないか。ノンアルコールの飲料でも同じように考えられます。ウォッシュか、シェアか、ニューか、という方針を選択。ウォッシュの場合は、ノンアルコールだと炭酸なのか、タンニンを入れるのか、それをドミナントさせるのか。いろんなものが使えるかもしれません。複雑なのか、シンプルなのか。ノンアルコールの飲料は(ワインもそうかもしれませんが)、料理の中のもう一つ別のソースと考えたらいいかもしれません。さらに、フレーバーデッサンをすすめます。お客さんの風味体験を時間軸にそって「デッサン」して、料理人とソムリエで共有すれば、意思疎通がよりやりやすくなると思われます。そして、機能美の表現。機能美とは、機能を追求することによって自然に出てくる美。料理やワインが感覚を刺激するという機能を徹底的に理解して追求することで、最終的に勝手においしく感じさせる方が自然というか、シンプルな表現になるのではないかと思い、機能美という言葉を使いました。以上で終わります。
*図5:「フレーバーデッサン」による機能美の表現

*図5:「フレーバーデッサン」による機能美の表現

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