Program 1:プレゼンテーション+試飲食 [イタリア料理]
講師紹介
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「ウズラのピッカータ ウイキョウと葱のフワフワザバイオーネ 玉葱フライ添え」
「水出し煎茶」

植田 「ポンテベッキオ」でも出せるもの、料理の中にフレーバーをつけられるもの、というような観点で山根とディスカッションしながら考えていきました。店ではアルコールを飲まない方のために新しい飲み物を創作して供していますが、今日はより簡単に誰でもできるものを提案させていただきました。煎茶はお湯80℃くらいで抽出するのですが、水出しにしました。柔らかく出して12時間程たったところで、そっと混ぜて飲んでいただく。でも、それだけでは楽しくない。いろいろ試して、番茶を香ばしく炒ったものと、煎茶を水出ししたものをプラスしたらスモーキーな香りがつけられた。番茶は高温で出さないと風味もうま味も出にくいので、熱湯で出したものに水を加えて12時間くらいゆっくり出しています。インパクトは弱いかもしれませんが、じわっと広がる飲み物になりました。分量の割合はいろいろやってみましたが、意外に半々でうまく重なる感じになった。それを今日の料理、おいしい唐揚げに合わせました。こじつけですが、最初はワインと同じ成分で考えました。ワインは果実味、タンニン、酸味の3つの要素がありますが、タンニンはゆっくり出すことによって大粒ではないタンニンが出ます。水出しで煎茶を出すことで甘味も出ます。酸味については、人間の舌はよりスモーキーな香りから酸味を感じると思うので、燻った番茶から酸味を感じないかと、成分的に考えました。料理には野菜の甘味、うま味、フルーツの甘味、うま味、それぞれ違うものが入っています。ザバイオーネにスモーキーな感じを出すと卵嫌いの人も食べられるのではないか。卵は口の中にへんな感じが残るのでそれを払拭できれば全体としては正解なのかなというところで、こういう飲み物にさせていただきました。
山根 今日はウズラですが、マリネは牛乳を使います。ウイキョウとかパセリといっしょに牛乳を入れて真空パックでマリネします。酵素、酸の働きでタンパク質が柔らかくなる効果を狙います。もう一つはハンバーグの生地を作るのと同じで、牛乳を加えます。これはうま味が身の中にしみ込んで、よりジューシーにおいしく、コクがあるようになるのではないかと思います。マリネして水分をとっています。味付けの胡椒、なぜかフランス料理の人はホワイトペッパーを使います。イタリア料理では黒胡椒です。これに粉をまぶします。一応、ピッカータとしていますが、唐揚げです。そもそも唐揚げは揚げ方と衣が特殊で、イタリアにはない。粉をしっかりまぶした全卵の衣です。ただし低温でゆっくり衣が散らない程度に揚げていきます。130℃の低温です。しっかり卵でまぶして。温度が下がるので調整します。昨日はウズラを100羽くらいさばきました。忙しかった。ゆっくり揚げます。その間にザバイオーネを作ります。卵黄です。白ワインでエシャロットをスライスしたものを煮込み、塩をします。湯せんにかけて。低温でゆっくり色付けなくてもいい。湯せんの温度に気をつけながらダマにならないように。ザバイオーネはイタリアのお菓子に使われるもので、機械を使えば常温でいい。今日はなぜかフレンチがマルサラ酒を使って、僕は白ワインを使う。しっかり混ぜます。これにウイキョウと白葱をソテーしてフワフワに。フワッとしたソースです。これをかけていきます。ウズラでつくったソースもメイラード反応しています。合わせて温める。その間にコンロ150℃にして、ウズラを2度揚げします。普通の唐揚げよりも身がジューシーで柔らかくなります。20分くらい、ゆっくり揚げたものです。



最初、この料理を選んだ時は飲み物の影響を受けなくてもいいかなと思ったのですが、植田がいろいろ考えてくれて、少し「ニュー」の要素があったらいいなと。油で揚げていますし、油脂が使われている料理なので、僕の感じでは「ニュー」の部分は、渋味、タンニンで。全体にやさしい料理なのでハーブとか入れてもよかったんですけど、あえて使わなかった。料理から必要な要素を省いて飲み物で補うのは、やってできないことはないけど、あえてしませんでした。
植田 成分を調べてみますと、煎茶はビタミンCが一番多いお茶です。蒸すことで飛ばなくて水に溶け込んでいる。その酸味も少し感じていただけたらと思います。料理は全体的に甘い、ソースも甘いので酸味が必要になるかなと思い、スモーキーなイメージ的な酸味と煎茶のもっているビタミンCを感じていただいて料理を締めることができないかなというところで考えました。カフェインは番茶をよく煮ることによってほとんど飛んでしまうので煎茶から感じていただく。ほんとは、ここに抹茶、玉露を入れると、もう少しうま味成分を入れることはできたんですが、そうすると意味がなくなるのではないかと思い、煎茶にして今回の飲み物を考えました。

山根 ウズラの風味を引き立てる要素を飲み物に加えることもできますが、そうすると料理のソースがわからなくなる。わざと料理から要素を省いて飲み物で感じてもらうとかは困った時にやります。それは、果たして飲み物なのか、料理を構成しているソース的な一部なのか、わからなくなりますから。今日のは、お茶なので「ウォッシュ」の部分が多くなると思いますが、そこに若干、「ウォッシュ&ニュー」でいきたいのですね。
植田 そうですね。どちらかというと控えめに、ですが。今日のスモーキーな感じをどうとらえるかで方向性が変わってくるのではないかと思います。スモーキーを良しとするか、臭いとするか。引きずりますから。
山根 あまり入れ過ぎると飽きる感じですね、正直。
近藤 質問です。薫香、燻している香りがもうちょっとあってもいいのかなという感じがしたのですが。どうですか。
山根 番茶と煎茶が半々くらいなので、薫香は口にあてるような感じで、表面的にガツンとくるのではなく、じわっと効いてくる感じでいいんですね。

会場の会員 スモーキーは私にとってはきつすぎて、料理の味にもうちょっと甘味がほしい。甘味があった方が、ソースが生きるような、料理もすすむなということは感じました。スモーキーで洗われて、スモーキーを打ち消したくなるので、また料理を食べたくなる。先程のリンゴもそうでした。お皿が進む組み合わせだったと感じました。
山根 濃度の違いということもある。料理に合わせる時でも濃度を合わせる。例えば、シャバシャバのものと固形物だと中間のものがほしくなる。つながらなくなる。その意味では、飲み物がシャバすぎて洗ってしまうことはあるかもしれない。ワインを飲む時、食べ物は口の中に残っていない。飲み込んだ余韻にワインを口にする。口の中に食べ物がある時にワインを飲むと食べ物にワインをぶっかけていることになって、おいしいとはならない。ワインもあわせて楽しむ。ところが、お茶は意外にいっしょにほりこんでいる可能性がある。明らかに濃度的に料理を薄めている。濃度の違いが甘さとか要素を水臭くしている可能性があるのかな。お茶はソースのようなコクはないから若干の違和感を覚えるのかなと思います。


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