Program 3:トークセッション 1/4
講師紹介



参加コアメンバー:山根 大助氏(「ポンテベッキオ」オーナーシェフ)、吉岡 勝美氏(辻調理師専門学校中国料理技術顧問)、髙橋 拓児氏(「木乃婦」三代目主人)
進行:門上武司
門上 皆さん、お疲れさまでございました。皆さんのプレゼンテーションと川崎先生の講義も含めて、まず、山根さん、今日はどういうふうに思われましたか。
山根 いわゆるSDGsとか、持続可能なもので食材を作る、例えばウニを守るとか、新たに利用できるような形に持っていくとか、人を「つなぐ」とか、まさに継続していくための話だなと思いました。川崎先生の講義を聞いて思ったことは、料理人は今さらですけれど、おいしいものを作ればいいというものではなくなってきたなと。ストーリーを食べているところもあるし、手に入りにくいものを手に入れるとか、なかったら作るとか、そういう背景にあるものが食べることにものすごく重要になってきている。もともとそうなんではあるんですが、ますますそういうふうになってきて、料理人を続けていく、持続していくのはなかなか大変やなと思いました。勉強することがあまりにも多いですから。
門上 ちょっと意外でした。山根さんはそういうところを実践しておられるのかなというふうな感じでしたから。「木乃婦」の髙橋さん、京都は代を「つなぐ」土地でもありますが、皆さんがプレゼンテーションされたことにどんな印象をお持ちですか。
髙橋 川崎先生の講義では都市部かローカルかというところがすごい面白くて、京都って割と都市部でもありローカルでもあるので、その部分の使い分けはほかの都市とちょっと違うところかなと思いました。京都や大阪は、都市的、コスモポリタン的な要素が強いから、料理も前衛的になる。ローカル色を前面に出すよりも社会や世界にどう発信するかみたいなことが要求されるんです。中東君は京都市の一応左京区ですけど、市内から1時間くらい車で行ったところなのでほぼほぼローカル、山の京都っていうか、そういう立ち位置でやってる。鹿を守ろうとか発酵食品を大切にしようとか。また、山口さんの料理は瀬戸内の未利用の魚を使おうということなんですけど。私が小学生の頃にはフランス料理を神戸に食べに行くような、神戸はフランス料理の文化が根強くあるから、都会的な発信もあって、瀬戸内の自然もあって、都市部でありつつグローバル。梅さんの「レスピラシオン」はスペイン料理と金沢、そこの結びつきがまだ若干弱いなというのが印象です。ですが、これからどういうふうにスペイン料理と金沢を結びつけていかれるのか興味深いなと思いました。
梅 今回のテーマ「つなぐ」を聞いたときにぱっと頭に浮かんだのは、何料理というより、生産者と僕らが未来にどうつながっていくかでしたので、すみません、スペイン料理ではないですね。
門上 吉岡先生は教える立場で、そのあたりはいかがでしたか。
吉岡 マスメディアによって、地方にあるレストランでも広く知られるような時代になりました。その土地で生まれた人が店をオープンする、あるいは大きな賞を取って活躍されシェフが地方で始める、近年そういったケースが多い。食文化は急速に収斂されていく流れと多様性を維持しながら、それを大切にしていく流れがある。この2つの流れが激しく交差しながら発展しているのが現代なのかなと思います。そういう影響も少なからずあり、地方が今すごく問われていると考えていました。
シェフが自分で米や野菜を作る、あるいは、狩猟に行って得た肉を加工したり、自分のレストランで提供する。そうしたステージが今地方のレストランに求められている。魅力的な要素を求められる戦いで、言い方はおかしいですけど、地方にはこれまでに負けてきた食材がいろいろある。そういった食材にどうやってスポットを当てられるかが、つながりをつくるポイントかなと思います。
中東さんのお話の中で、食材を磨くということを使っておられましたけれども、食材を磨くとはどういうことなのだろうと思いながら拝聴していました。例えば北京ダックの魅力は変わることは恐らくこれからもないと思いますが、負けた食材はどうしても進化するとか変化しなければ存在できないわけですよね、消えていくわけですから。食材の真髄だけを残してしっかりとそれをアピールしようという、そういった試みが中東さんの調理の中にたくさんあったように思います。恐らくシンプルな表現を実現するためには、多彩で複雑なテクニックが用いられてこそ可能なのかなと、そう感じながら拝見いたしました。

