Program 3:トークセッション 3/4
講師紹介



門上 問題はあるが、期待できると思うということですね。フードテックという話が出ました。それこそ科学であったり、技術であったり、そこがきちっと食文化と紐付けされていないといけないし、そこの部分はちゃんと勉強しないといけないということでした。
中東さんに、花背での土壌づくりに土壌研究の先生のサポートがあるかと思いますが、食の文化的要素は何について研究が進められてるんですかっていう質問です。
中東 まず、植物を育成させるためには土作りが必要とされています。こういう植物を育てたいと思ったときに、ではどういう土が合うのか、それを調べなくてはきちっとした生産物はできません。ですので、まず自分たちが何かを作ろうとしている圃場の土の成分を調べて、そこで何を入れるかっていうのを調べて、そこからその植物に合った土作りをしていきます。作物を作るための土壌研究ということなんです。
門上 続いて、梅さんに質問が来ております。先ほどホエイを使うという話がありました。ホエイは、チーズ製造で大量に発生するので廃棄が多いと聞いている。ほぼ水分なので傷みやすく、輸送に向かないことなどから、チーズ製造業者の隣接地でなければホエイを利用することができないというのがネックになっている。それで、今日はホエイはどういうふうに調達されたんですかという質問です。
梅 真空で持ってきました。僕らは金沢の隣の河北潟(かほくがた)にある牧場でほぼ毎日牛乳からチーズを作っていただいて、それを使っています。そこで出たホエイですので、ほぼ毎日フレッシュな状態でうちには届きます。今日は、真空して普通に持ってきたということです。
門上 次の質問です。食文化は本来ローカルなものだと思うが、近年海水の温度は上昇して、地域の伝統的な食材、海産物が採れなくなり、伝統料理ができなくなっているケースがある。一方、養殖技術の発展で地域に関係のない食材が生まれるケースもある、これは陸上養殖のことですね。こういう変化の中で食文化と伝統をどう考えればいいのか、という質問です。これは山根さんにお願いします。
山根 伝統料理というのは、かつては結構ネガティブな要素によって作られているものが多かったと思うんです。例えば、山で魚がないからチーズを作ろうとか、暑いから体を冷やせる食べ物を食べようとか、逆に寒いから温めようとか、そうして脈々とそこで続けられたものが伝統料理となるわけですよね。現代においては、それが当てはまらないケースが出てきてるということなんです。気候変動もあるけれど、流通が変わったからです。地産地消だって、多分二、三十年前は逆に今ほどその地のものを食べてなかったような気がするんですね。日本中が似たような食材を使ってたような気がするんです。僕の考えですけれど、そういうネガティブから発生した理由がないならそこに伝統料理がずっとあり続けなければいけない明確な理由にはならないと思うんです。変わっていくべきなんじゃないかなと。だから、そういう地理的、気候的などの要素、ネガティブ要素から生まれた料理というのは、その状況が変わったときに当然違うものに変化していくのが自然なのではないかというふうに考えます。
門上 今の問題、養殖の話が出ましたけど、魚に関して日本料理ではすぐ天然か養殖かっていう話になりますが、考えれば米や野菜も品種改良もされてるし、昔から栽培されているのは養殖だといえますよね。髙橋さんはこの質問に関してどういうふうにお考えですか。
髙橋 家畜の肉なんかも養殖ですね。養殖物がどんどん増えてきて天然物は減ってきているし。唯一残さなくてはいけないのは、京都だったら京都の表現方法といいますか、そういうものが残っていれば、それほど食材にこだわる必要性はないのかなと思います。京都には昔からいろんな食材が入ってきて、それをどのように工夫して、どのように表現するかっていうのが京都に求められてることでした。ですから地産地消と言いますけど、どこから来てもさすが京都やなと言われる表現の仕方をするのが一番守らなくてはいけないものだと思います。多分どんなものが来てもできる力量をずっと兼ね備えていくのが「つなぐ」ことじゃないかなと思います。

