Program 1:料理プレゼンテーション(試食提供) [中国料理]
講師紹介
「叉焼とそうめんカボチャの春巻き 燻製フォアグラがけ」

「空心」の大澤シェフから学んだことで一番といえば創造性です。市場に行ったときはいつも、いろんな食材を見る中で、見たことがない食材があったらこれをどう仕上げるか、思ったことを思ったとおりの状態にどうもっていくかというのを鍛えられました。大澤シェフも面白い食材があれば、いろいろ試作されていました。それを見ながら、どのようにして自分の創造を具現化させるかっていうことを教えていただきました。
今回、春巻きにした理由。料理を供するとき、熱がよく残った状態で会場の皆様に届けられるのが春巻きではないかと思ったからです。また、何でそうめんカボチャなのか。市場の端っこに絶対あるのが、そうめんカボチャです。ほとんどの食材が旬にあわせて入れ替わっていくなか、そうめんカボチャだけずっとあるし、中華料理ではあまり使わない食材なので、今回試してみようと思いました。そうめんカボチャだけで食べていただいても熱を感じてもらえますけど、食べ応えがないと駄目だなと思い、叉焼(チャーシュー)を中に入れました。量が多い春巻き1本をしっかり食べていただいたときにどう感じてもらえるのか、楽しみな料理に仕立てております。
レシピにはそうめんカボチャを春巻きに巻いて揚げると書いてますが、レシピを出した後で考えまして、巻くよりも上に乗せて食べてもらうほうがおいしいんじゃないかなと思って試作したところ、しっくりきたので、変更させていただいてます。ごめんなさい。あと、全部甘いような春巻きになっています。叉焼も甘くて、中にカボチャが入っていて、上から煮詰めた甜醤油をかけています。一番味がないのがそうめんカボチャなんですね。ですから、味のないそうめんカボチャに、この甘味を全部足して甘味があるように感じてもらえたら成功かなと思っています。意図的にはそんな感じです。



春巻きは本当にシンプルな料理です。まず叉焼を置いていきます。そして、カボチャのペースト。フォアグラを低温調理したときに出る脂、これももったいないと思って、上海でデンプン質なものを中華鍋で炒めて水分を飛ばしていく料理があるんですけど、それをイメージして、フォアグラの脂でカボチャを炒めます。そうめんカボチャのソースみたいに思っていただけたらいいのかな。1回目は力を入れて、あとは空気が入るようにふわっと巻いていきます。いつも揚げる油の温度はは175℃とか180℃ですけど、今回は中に入ってる具が全部火が通っているので、割と高めの温度でさっと揚げて皮だけに火を通します。それと、今回のそうめんカボチャは普通茹でたときにキュウリみたいな香りがするんですけど、薄かったので、レモングラスの香りがするオイルをちょっと混ぜました。甜醤油は煮詰めて保存しておいて、それをのばして使うのが基本的なんでが、今回は春巻きの中に染み込んでほしくないので、固いどろっとしたまま使います。フォアグラを薫製にしたのは、普通に低温調理したフォアグラだけだったら負けてしまうのと、香辛料を煮詰めた香ばしい甜醤油にもコクがプラスされるので、薫製にしました。ここから、冷凍して、薫製フォアグラをたっぷりかけます。こちらで完成になります。



大澤シェフにはよくいろんなところへ食べに連れていってもらいました。中国に行ったとき、「空心」は創作料理の店ですが、僕らもいつも中国の創作料理の店に行くんですよ。でも、大澤シェフには、その創作料理を持ち帰って創作料理を作ってるっていう感じになるのはあかんとよく言われました。ちゃんとした基本があって、それを派生させないと意味がないと。誰かの創作料理を食べて、それを自分なりに作ろうとする考え方ではぐちゃぐちゃになってしまうというのはよく言われてて、だから、どこにもないものを考えるほうが絶対にうまくいくのだと教えられていました。「空心」で修業を始めたのが二十歳ですが、大澤シェフは僕がその歳でもメニューをいっしょに考えようと言ってくれる寛大さがあるんですけど、そんな中でも、僕は何の知識もなくて、食べに行けるけどそれをコピーしたり自分で変えようとかしてしまうので、うまいこといかなかったですね。大澤シェフはそうではなくて、きちんと学びなさいというので古典的な本ばかりくれるんです。今その本を読み返したときに、そういうことだったのだというのが最近になってようやくわかってきたっていう感じですね。あと、創造性も大事だけどルールがあるという話で、その場で一番おいしいものを作るっていうのと、途中で止めないっていうことですね。途中でこれ面倒くさいから止めとこうかってなると、その料理というのは、自分の頭の中で完成していても実際に完成していないということもよく指摘されました。やり切る力っていうのも教えていただいたような気がします。


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