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「つなぐ」~受け継がれるDNA~Program 2:プレゼンテーション解説 1/4

「つなぐ」~受け継がれるDNA~Program 2:プレゼンテーション解説 1/4

Program 2:プレゼンテーション解説 1/4

講師紹介

川崎 寛也氏
農学博士、味の素株式会社食品研究所エグゼクティブスペシャリスト

講演:料理のデザイン思考は受け継がれるか

今回は「つなぐ #2受け継がれるDNA」を見える化してみます。まず、料理人の考えていることを手がかりにします。「菊乃井」の村田吉弘さんの言葉「素材のどこにスポットを当て、何を組み合わせ、どう切るか。まずは頭で考えて筋道を立てて、それから調理せんとあかんよ」。つまり、まず手を動かすのではなく、先に素材に向き合い、何をしたいのか考えよ。これって、全ての仕事に通ずることだと思いませんか。ということは、料理の中にいわゆるビジネスで使われるような言葉とか、概念を持ち込めるわけですね。

■料理のデザインとは(参照:図1)

僕は、料理はデザインであろうということをずっと言ってきています。どうデザインするかという前に、調理技術でどうやって作るか、どんな成分と構造ができて、それがお客さんにどう感じられるか。そういうことを考えましょうと提案しています。では、そもそもどうデザインするかを言葉でやり取りをしている中で、見える化ができないか。つまり「料理のデザイン思考を見える化できないか」と思ったのがきっかけです。

図1:料理のデザインとは

■ラダリング+DEMATEL法(参照:図2)

何をしたかというと、一流料理人が新しい料理を創出する際の思考パターンを探りました。料理人には特有の癖ってないですか。新しい料理を考えるときに、何か癖みたいなパターンがあるはずと思われて、それを調べてみました。
・調べる対象は、月刊専門料理(柴田書店)の「京料理のこころみ」という連載記事です。連載の内容は、京都の料理人が8人で毎月1つの食材について議論しています。雑誌に残された文章から、料理人が何を大事にしているかを探るのです。
・調べる手法は、ラダリングという方法とDEMATEL(Decision MAking Trial and Evaluation Laboratory)という方法を組み合わせました。ラダリング(はしごという意味)はもともとインタビューの手法になります。その技術を使って、月刊専門料理の記事に載る多くの言葉のうち、特にいっぱい表現されている言葉を抽出します。連載記事は何十年分もありますから、取りあえず10食材分です。1つの食材で2か月連載しますから、10食材分に関して20か月分。2011年から2012年までの記事を使いました。その記事からラダリング手法で抽出した言葉をデザイン要素と決めました。そのデザイン要素に対して、DEMATELという手法を用いました。DEMATELは確立されている方法で、もともとは専門家同士で議論して決めるための方法です。それを応用して、専門家が何を考えているのかを見える化するための方法として使いました。実際にはアンケートをおこないました。それで、何が見えるかというと、ある思考パターンが図として見えるんですね。これが全体像です。

図2:ラダリング+DEMATEL法

■ラダリングの説明(参照:表1)

まず月刊専門料理の記事「京料理のこころみ」に載る文章を読み、評価している部分を抽出します。それを評価項目とします。例えば「スダチのええ香りがして、京料理らしい上品な仕上がりですね」という文章がありました。このうち評価している部分が「香りが良い」です。その部分を評価項目としたときに、評価項目の要因となる部分をラダーダウン(はしごを降りる)特性項目とします。ここでは「スダチ」ということになります。次に、この評価項目によってどう感じるか、なぜそれがポイントかという値打ちですね。ここでは「京料理らしい」や「上品」をラダーアップ(はしごを上がる)価値項目とします。こういうふうにすると、この評価項目っていうのを文章の中でぱっと見つけることによって、その前後関係でピックアップできることになります。こういう料理に関することだけをピックアップしていきました。そうすると、10食材に関するディスカッションから抽出した項目のうち、特に評価項目としている部分と価値項目としている部分、これが出現頻度が4以上、4回以上発言されているというような項目を抽出をしたのがこちらです。

表1:ラダリングの説明

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