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分科会&コンフィデンシャルランチ「牛肉研究~手当の心と妙技~」Part5
Part5:質疑応答
Q なぜしっとりとした仕上がりになるのか教えてください。
昔は肉質にまで微生物を届ける仕立てにしていましたが、一時から菌の瘡蓋をつくり、それ以上水分が外に出ないように、保水するイメージで仕立てるようになりました。ですからしっとり仕上がるのだと思います。熟成のさせ方も、菌をたっぷり付けて香り重視する方法、肉付きが悪い肉には菌をコーティングし手当する方法もあります。また水分の代わりに肉にある脂の力を借り菌付け手当する方法などがあり、その都度見立てて仕事をするようにしています。
Q 今回の牛肉にはどのような熱源が良いですか?
料理人さんによって、どのような仕立てにしたいかで変わると思います。それによって熱源も炭なのか、薪なのか、ガスなのか選択が変わると思います。そして道具や、品種によっても違います。そう考えた時にまず私は料理人さんにわたすお肉は全部骨付きにしています。料理の仕立ての幅が増えるからです。当店では炭で火入れしています。炭は難しいですね。保水して火を入れないといけないので。しかし肉本来の味わいを引き出せると感じています。
Q 脱水と熟成の違いについて
屠殺し死後硬直を解す意味もあり二週間は枝肉として吊すことが必要だと私は考えます。そしてカットし骨付きで置いておくとある程度水分が抜けた状態になるのも確かです。しかしそれは熟成とちょっと違うと思います。私が言うにはですが、作業において第一行程と第二行程があるんですね。温度、湿度のコントロールをすること。そして品種ごとにどのように菌を付けるかが私たちの専門性が出てくると考えますので、この第二行程がとても大切です。
Q 昔食べたジビーフと違うような気がします
なるほど、変わった理由はいくつかあると思います。昔は松脂のような香りがし個性的でした。その当時は8頭から30頭くらいを肥育していたように思います。現在は100頭を超え、放牧する場所が東京ドーム5個分の広さ、そして放牧地を2~3年で循環しているそうです。頭数が増えたことで牛糞など土地が肥え、土壌が活性化し、餌となる草の質が変わったのが原因かもしれません。
Q 料理人ができる手当はありますか?
あります。料理人さんも当店に研修に来られます。しかし、西洋の料理人さんに限って「きちんと焼ける!」と思い込んでいる人が多いですね。逆に日本料理のかたは一から食肉の扱いについてきちんと勉強したいと思う方が多いようで、正しく扱いについて学ばれてかえります。扱うお肉の状態を見極めてこそ、料理人さんが考える手当ができると思います。
Q 食べ頃のピークはどうですか?
熟成させる期間は最短のもので20日、長くて60日くらいの期間があります。基本的にはピークの時に出荷しますが、このような手当したお肉はピークが長いようです。しかしある一定過ぎるとど~んと味が落ちるタイミングあります。それは日々触っていないと分からないと思いますし、品種や部位によって、そしてお店の冷蔵庫の保管状態によっても変わります。
参加された方の声として、
- 熟成については色々情報がWeb上でもとれるが、リアルに食べるだけで無く肉の状態を触れる機会があって良かった。
- 精肉店で何も考えずに仕入をしていたが、どんな特徴があるお肉かを知ることがとても大切だと感じました。
- 知ることは、心が豊かになることですね。経産牛の見方が変わり、もっとしっかり表示を確認しようと思いました。
- 美味しい不味い、好みはそれぞれの食べ比べたお肉には感じましたが、それぞれの生まれの出自や特徴を知ることが大切ですね。
- サカエヤさんの内臓の取り扱いや、牛革の取組みまで。トレサビリティーをしっかり意識して使い切る精神に感動しました。
など感想が集まりました。コロナが明け、再始動的なコンフィデンシャルランチでしたが、次回の企画にご期待ください。



関西食文化研究会では、今後も引き続き会員の皆様を対象にさまざまなイベントを実施していきたいと考えていますので、ご期待ください。
