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「昆布とQ&A」Program 3:講座とディスカッション「料理のサイエンスQ&A」<全記録>2/11

「昆布とQ&A」Program 3:講座とディスカッション「料理のサイエンスQ&A」<全記録>2/11

Program 3:講座とディスカッション「料理のサイエンスQ&A」<全記録>

講師紹介

Q6:水について

質問者:上村 和世さん
「ジョヴァノット」オーナーシェフ
  • 最近は水について考えています。軟水、硬水という以外に、水の種類は多様です。料理でも使い分けしたほうがいいのではないかと、いろいろ試しています。そこで質問。
  • そもそも、水の美味しさを量るもの、成分とか他の基準とかがあるのでしょうか。
  • 料理と水との関係において、水を見分けるときのポイント(あるいは基準)は、何になるのか。そのポイントによって、どんな種類分けができるのでしょうか。
  • また、その種類ごとによって、効果がもっとも良く得られる温度も異なるのでしょうか。異なるのであれば、それも教えてください。

Answer(2/2)

純水は何も使えないのか。工業的には使われています。鰹だしを純水または水道水で抽出した実験があります。水道水にはカルシウムとかが溶けています。純水は何もない。純水で抽出した鰹だしはだし風味が強いなと感じた人が多かったり、厚みとか広がり、えぐみが少ない、雑っぽさは一緒とか。まろやかなとか。純水を料理に使うのも選択肢としてはあるのかなと思います。
大量に飲むのはだめですが、料理には抽出されていきますから純水を使うこともありかなということが見えてきます。純水を買うのは大変ですが。以上が高純度化の話とミネラルとの違いです。
アルカリイオン水を、その場で作るものもあります。これは水を電気分解してアルカリ性にしている。水に何も加えず、中性の水を電気分解することで酸性とアルカリ性に分かれる。アルカリイオン水をつくれば、酸性用水もできる。そのうちのアルカリイオンを使うと、酸性のところは洗浄力が高いから洗う方に使おうと。アルカリイオン水はアルカリ性の水です。実験で明らかになっているのはアルカリイオン水は、鰹だしのグルタミン酸、イノシン酸の促進、香りの増強の傾向があったとか、ダイコン、ニンジン、カブ、ソラマメ、サツマイモ、サヤインゲンの水煮で柔らかくなるのが早かった傾向があったり、ゴボウの水煮では白くあがらないという欠点もあった。アルカリイオン水は研究があって、何らかの効果があるようです。

グルタミン酸のうま味というのは、Phが中性付近で最も感じるといわれています。ところが昆布だしをとると、弱アルカリ性から中性のミネラルウォーターを使うと弱酸性に変化します。中性のミネラルウォーターを使ってだしをとったら昆布だしが酸性になってしまった。その理由はミネラルウォーターは炭酸と結合して昆布に含まれるグルタミン酸、アルギン酸がミネラルと結合して炭酸が分離してしまいます。炭酸が水の中に分離すると溶液自体が酸性になる。酸性になると本来はPh7付近で最もうま味を感じるわけですから、同じ成分が入っているのに、うま味が弱くなります。解決法はわかりませんが、何かアルカリ性のものを入れるなら、中性に戻すと同じ量でもグルタミン酸のうま味を強く感じる可能性はあるということです。

門上さん:川崎先生、ありがとうございました。最後に、木下先生に今日の講義に関してコメントをいただきます。

木下さん:赤ワインソースを作るときには、野菜を炒めて、表面を焼いた肉を入れて、ワインだけ入れ煮詰める。そうするとタンニンがどんどん出てくる。ワインを先に入れて煮詰めるとそれだけうま味成分が大きくなったところに、だし汁を入れる。そうすることでワインの味が薄くなるのではなく濃くなったものがだし汁に溶け込むことになり、さらに煮詰めることですべての味が濃くなりコクが生まれる。
水のことについては、水は、ヨーロッパは硬質で、日本は軟水だと。何を抽出すれば味が出やすいかということを考えると、野菜よりも肉の方が抽出しやすいということもあります。1983年にニースのホテル・ネグレスコで研修していましたが、シェフのジャック・マキシマンが、画期的なブイヨンを発表しました。私の記憶では彼は初めてだと思いますが、野菜だけを(アスパラガスも入っていた)ゆっくり煮出して、第三のブイヨンという野菜のブイヨンを作り、自分の料理に使っていました。
今、その延長線上にあり、科学的なことが証明されているのではないかなと思います。もう一つ大切なことは、科学的に証明されても舌が感じることは脳科学的なことであって、官能的に味が変わることもあります。この辺は川崎先生のご専門だと思いますが、香りも人によって感じ方が違うものです。感じ方が違うと、個人差があり、はっきりと計測するのがむずかしい。その辺が未知のものであって、それが料理の面白いところであると思います。曖昧にしているところが料理の面白いところである。科学的なことは、ある程度、頭に入れておく必要はあろうかと思いますが、官能、感性でやっていることが多いものかなということかなと思います。今まで料理人が経験からこうだろうなと思ってきたことが証明されて、次にいけることは、こういう講習会で勉強できることが重要になって大切なことになってくると思います。本日は誠に有意義な時間を共有できたと思います。

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